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愛する想いを聖夜に込めて――19

「恭ちゃん、なんだか今夜は、人助けばかりしていた気がするね」 「その恋を見守り隊、みたいな?」  繋いだままでいた手を、和臣はぶらぶら揺らした。それに合わせるように、榊は歩き出す。微笑みながら通りを闊歩するふたりの影が、仲良さそうに並ぶ。 「だってやっぱり、うまくいってほしいと思うし」 「俺たちのように?」 「うん!」  笑顔で答えた瞬間、繋いでいた手がいきなり引き寄せられた。 「わっ!」  大きな躰にくっつけられた衝撃で、和臣は両目をぎゅっとつぶる。それと同時に苦しいくらいに、上半身が抱きしめられた。 「そんな優しい和臣が大好き」 「恭ちゃん……」 「キス、してもいいか?」  目を開けると街頭に照らされる、恋人の真剣な顔が飛び込んできた。幼なじみとして、ずっと見てきたその面持ちは見飽きることがなく、むしろずっと見ていても、飽きがこないと断言できるもので――。 「珍しいね、外でそんなことを言うなんて」 「たまたま誰もいないタイミングで、和臣が可愛いことを言うもんだから、思わずしたくなった」  和臣は榊の背中に、両腕をまわした。密着する部分が増えると、外の寒さが吹き飛んでしまうようなぬくもりを感じる。 「恭ちゃんからしてくれるのは、触れるだけのキス? それとも――」  ほくそ笑みを唇に浮かべた和臣に、榊も同じような表情をした。 「珍しく和臣が、俺に二択をさせるのか?」 「ダメ?」  甘えるような声色を聞いて、笑みを浮かべていた榊が真顔になる。射竦めるように見つめるまなざしに、和臣の心臓が早鐘を打った。 「わざわざ俺に、二択をさせる意味がわからない。だって、決まってるから」  和臣が答える前に触れる唇は、ゆっくりと押しつけられるものだったのに、途中から強引に舌をねじ込む激しいものに変わった。 「んぁっ……」  思わず榊のコートを両手で強く掴んで、ふらつきそうになる躰を支える。それに気がついた恋人も、先ほどより腕の力を強めて、和臣の躰を抱き寄せた。 「恭ちゃ、ああっ」  普段こんな場所でしない行為に、榊の動きが止まらない。  和臣の口内を蠢いていた舌が、激しく出し入れするものになった。卑猥な水音が辺りに響いているのに、お構い無しに責められる。  そんな榊の舌をちゅっと吸い上げて、和臣なりに応戦してみたら、眉間に深い皺を寄せて躰を震わせる。 「和臣の大事なところ、すごく大きくなってるのが、俺の躰に伝わってる」  顔を離したところで、榊が話しかけてきた。艶っぽく濡れている唇が、卑猥なキスをした証拠に見えて、和臣の心に火がつく。 「恭ちゃんのだって、僕をほしがってるじゃないか。イヤラしく、濡れぬれになってるんでしょ?」 「その言い方、誘ってるのか?」  眩しいものを見るように瞳を細めた榊がなんの迷いもなく、和臣のコートの合わせ目に手を忍び込ませた。

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