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この想いは蜜よりも甘く3・記憶の糸と甘い蜜(本編試し読み)③
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一日の仕事が終わり、バスから降りた和臣の足取りは、とても軽いものになっていた。
土日の休みの過ごし方を考えていたら、自然と心が弾んでしまった。仕事から解放され、自由に過ごせるのはもちろんのこと、恭介と一緒に出かけるのも悪くないかもしれないと、あれこれ思いを馳せた。
(季節の変わり目だから、洋服を見るのも楽しいかもしれないな。記憶のある僕が却下した、榊さんのファッションセンスを見ることができちゃうかもね)
ついでに外食をして息抜きしたいと思っている内に、住んでいるマンションの通りに差しかかる。
「あれ、あの車は――」
マンション前に、見慣れた黒塗りのハイヤーが停まっていた。和臣が近づいたら車中にいた橋本が運転席から出てきて、柔らかくほほ笑みながらひらひらと手を振る。
「やぁ和臣くん。お帰り」
「ただいまです。榊さん、帰ってきているんですか?」
「ああ。なんでも高所得者限定のパーティーなんだって。だからそれに合わせて、ドレスアップしなきゃならないらしいよ」
「うわぁ、それって大変そうですね。僕が持ってる自前の衣装では、絶対に出席ができないや」
(――それ以前に僕は高所得者じゃないから、間違いなく門前払いされてしまう!)
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