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第7話

「料理、上手だね、広斗さんが女なら結婚してるのに」 和風ハンバーグとポテトサラダ、作り置きしていた、きんぴら、ネギと豆腐の味噌汁。 「なに言ってんだ、お前」 「あ、違うか。男同士でも結婚できるんだよね。同性婚だっけ」 「日本では無理だよ」 「詳しいんだね」 「...友達にゲイがいて聞いただけ。日本ではパートナーシップ性制度、てのがあるんだって」 「ふーん...じゃ、それで結婚できるんだ」 「たぶんな」 「じゃ、結婚しようか、広斗さん」 「な、なにバカ言ってんだよ」 「冗談だよ。広斗さん、どれくらい、彼女いないの?」 「どれくらいかな、忘れた」 思い起こせば、中1の頃に付き合い始めた先輩だけだ。 高校で寮に入ってから、寮の仲間とやり合ったけど、ただの性処理に過ぎなかった。 告られたこともあったけど、断ってきた。 「忘れるくらいいない、てこと?」 「そうなるな、お前はどうなの」 「んー...気になる人はいる」 「へえ、どんな人」 「よくわからない人、プライド高そうかな、と最初は思ってたんだけど、違うみたい」 「また面倒くさそうな女だな」 「かなり」 慶太が味噌汁を啜り、ご馳走様、と手を合わせ、食器を2人分、シンクに持って行ってくれた。 「お前、眠くないの」 「寝るのがもったいない」 慶太はなにやら難しそうな本を読み漁っていた。 肩越しに覗く。 「見るなよ」 と払いのけられた。 互いに風呂に浸かり、先に慶太はベッドへ。 俺も遅れてベッドに入ると、慶太はすやすや眠ってた。 「おやすみ」 夢の中にいる慶太に声をかけ、俺も瞼を閉じた。 「おはよ。広斗さん」 目を開けたら、かなりの近さで慶太の顔があり固まった。 「お腹すいた、食べていい?」 「なに言ってんだ、お前。すぐ朝食にするから顔洗ってこいよ」 「もう洗ったし歯も磨いたよ」 俺は起き上がり、キッチンに立った。 早炊きで炊飯し、卵焼き、鯖の塩焼き、もやしのナムル、キャベツの味噌汁を作った。 「いただきます!美味そ!」 ガツガツ慶太が食べながら、 「今日はどこに行きたい?」 「お前が行きたいんだろ?」 「でも楽しかったでしょ?海」 「...まあな」 こっそり、て訳ではないが、トイレで見知らぬ男とやった事を思い出し、後ろめたさを感じた。 「とりあえず、しばらくの食材買いたいかな」 車を走らせ、スーパーに向かう。 「いつも車だね、不健康。たまには徒歩とか自転車とかで体を動かした方がいいよ」 もっともな事を言われ、言い返せない。 カートを押し、数日分の食材を考えながら買った。 その間、慶太はついてまわる。 「スーパーって楽しいね」 「来たことないのか」 「ないよ。うち、家政婦いるし」 「すげーな」

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