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第7話

恭一がバイトを終えて自動ドアから出てきた。 「お疲れ様ですー」 グレーのパーカーにデニム。 「あ、あのっ」 リクが声を掛けた。 3人に気づき、恭一が固まった。 じゃんけんで勝った、リクの番からだ。 「これ...」 「ちょっと待って」 ソラが制止した。 「今日、バレンタインなのでみんなそれぞれ、お菓子作りました」 「なんでお前が言う、ソラ」 と、カイ。 「みんな真剣に作りました。僕はお菓子作りが下手くそで、リクとカイが頑張って作りました!2人のチョコ食べてあげてください」 人見知りなソラは顔が真っ赤だ。 「そ、そうなんだ、ありがとう」 ソラの思いがけないセリフにリクとカイが可愛いパッケージの箱を恭一に差し出した。 「受け取ってください!」 しばらく恭一は考えたようだが、両手を使い、同時に2人の箱を受け取った。 「ありがとう」 「ソラは?」 リクが聞くと、 「僕はいいの」 後ろ手に箱を隠した。 「駄目だよ。お前が一番、頑張ったんだから」 リクはソラから箱を奪い、恭一に渡した。 帰宅するとしばらくして、はい、とソラはリクとカイに箱を渡した。 どうやら、リクとカイの分も用意してたようだ。 「美味しくないかもだけど...」 「溶かして固めただけだろ?」 カイが優しい笑顔を浮かべ、 「実は俺も」 と、カイも2人に箱を手渡した。チョコチップの入ったカップケーキだ。 「そうだ、実は俺も」 偶然を装ったようにリクも2人に生チョコの入った箱を手渡した。 「ぼ、僕、飲み物、いれてくる!コーヒー?紅茶?ジュース?」 またもや、真っ赤な顔でソラが立ち上がる。 さぞかし嬉しかったんだろう、少々、興奮気味にも見える。

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