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第11話

レジのカウンターに立っていると、ソラが1人でやってきた。 買い物かごを取り、店を歩き出す。 恭一はその姿を目で追った。 しばらくすると、カゴをカウンターに置き、 「こんにちは」 「やっぱり2人、風邪引いたの?」 「...はい。いつもは順番なんだけど、リクとカイ、2人同時に風邪引いちゃって...」 カゴの中身は確かに大量だ。 「ご両親は?」 「2日前から旅行でいません。明後日には帰ってくる予定なんだけど...」 頼りなげな瞳に、恭一はちょっと待ってて、と店長にいきさつを話し、私服に着替えると代金を支払った。 「わ、悪いです。僕たちのことなのに」 「いいから行こう」 本当はいけないのだけど、自転車の後ろにソラを乗せた。 2人乗りの自転車がよほど怖いのか、ソラはか細い腕の必死な力で恭一にしがみついている。 (軽いな...) カゴには大量の飲み物などが入っているのにとても軽く感じた。 3人の部屋に入り、恭一は看病の準備だ。 落ち着かない様子で、 「僕はどうしたらいいですか」 ソラに尋ねられ、 「ソラはゆっくりしていて」 初めて、くん、無しでソラを呼んだ。 2人ともそれぞれのベッドで熱にうなされている。おでこには冷えピタが無くなったため、濡れたタオルが置かれてあった。 「リク、カイ、死なないで」 ソラが泣きそうな声。 「大丈夫だよ、頑張って看病しよう」 うん、と涙声でソラが頷いた。 「おまじないしなくっちゃ、忘れてた」 「おまじない?」 「おまじないのキスしたら僕に移るから」 「駄目だよ、ソラまで風邪引いちゃったらどうすんだ」 「でも、2人とも、苦しそう....」 無意識に恭一はソラの唇を奪っていた。 ソラは目を丸くし、目を見開いたままのキス。 「大丈夫、絶対によくなるから。安心して」 力強く、恭一が説得し、無言でソラは小さく頷いた。 恭一を手伝い、ソラも看病した結果。 2人は数日かかったがどうにか熱は治まった。 「なんとかなったみたいだな」 「よかった...」 スヤスヤと眠るリクとカイの寝顔を見て、恭一とソラは安堵した。

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