50 / 77
第59話
とても長く感じました。
見つめ合っていた2人はいつしか顔を近づけ、そして、キスをしました。
カイとした、切羽詰まったキスではなく、優しいキスをリクと交わします。
リクも瞼を閉じ、うっとりとした表情で舌を絡ませました。
不意に、リクの目が開きました。
「い、いけない!コンビニ行かなくちゃ!2人が待ってる!」
慌ててスウェットを脱ぐと、浴衣を羽織りました。
スウェットを瞬に返し、顔を真っ赤にしながら、
「リクくん、また来てねー」
瞬のお母さんの明るい声もリクには届いていません。
無意識に親友と誓った、瞬とキスをした自分。
今までにない照れくささを振り払うように、浴衣姿のリクは、恭一のバイトするコンビニへと下駄を鳴らし、走りました。
ともだちにシェアしよう!