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第59話

とても長く感じました。 見つめ合っていた2人はいつしか顔を近づけ、そして、キスをしました。 カイとした、切羽詰まったキスではなく、優しいキスをリクと交わします。 リクも瞼を閉じ、うっとりとした表情で舌を絡ませました。 不意に、リクの目が開きました。 「い、いけない!コンビニ行かなくちゃ!2人が待ってる!」 慌ててスウェットを脱ぐと、浴衣を羽織りました。 スウェットを瞬に返し、顔を真っ赤にしながら、 「リクくん、また来てねー」 瞬のお母さんの明るい声もリクには届いていません。 無意識に親友と誓った、瞬とキスをした自分。 今までにない照れくささを振り払うように、浴衣姿のリクは、恭一のバイトするコンビニへと下駄を鳴らし、走りました。

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