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第83話
「勘違いしてるみたいだけど、あいつ、弟だよ」
「嘘だ!」
「1つ下の弟。子供の頃はさ、俺も弟と同じサッカー教室に通ってたんだ。俺はもうサッカーは辞めたけど、サッカー自体は好きだし、弟の試合もたまに応援も兼ねて、観戦してる」
真っ直ぐに見つめてくる大輝の瞳から、カイは目を離せなくなった。
穏やかで優しい笑みに胸が熱くなる。
「...付き合ってくれないか、カイ」
1つの街灯だけのベンチに2人きり。
「お、俺でいいの、大輝」
すぐさま、大輝の穏やかで明るい笑顔にカイはキュンとした。
「もちろん。あの日、海で出逢ってからずっと探してた。カイのこと」
こんなに胸が張り裂けそうになる気持ちはカイは初めてだった。
「...俺も。俺もずっと大輝のことを探してた」
しばらく見つめ合い、大輝の顔が近づいて来る。
触れるような優しい口付け。
激しくはない、柔らかい大輝の唇にカイは今までにない幸福感に包まれた。
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