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第5話 側室は主人の本心を知る *R18
陛下は俺の手を握ったまま騎士棟へと戻ってきて、その手を振り払うこともできず従った。冷静になってみれば、あんな衆人環視の中で陛下に口付けをされて顔から火が出そうだ。
しかし、今の陛下は無言だが怒りを感じる。もちろん俺の身勝手な行いを怒っておられるのだろう。身分の低い者から言葉を発するのは不敬なので、ひたすら陛下のお言葉を待っている。
俺たちは騎士棟の会議室に戻ってきた。司令官の席に陛下が座り、隊長以下、幹部もずらりと並ぶ。
「ギディオン陛下のご訪問を歓迎いたします」
ブロンコ隊長はそういうが、困惑を隠せない。
「いいや。前線に王が来るなど迷惑に決まっている。私自身で体験済みだ。遠慮しなくていい」
そうだ、確か陛下も以前この地に赴任されていたんだ……
「私のレオシュを迎えにきたのだが、なぜあのような事態になっていたのか、説明をしてくれ」
「はっ! リオ、いいえ、レオシュ様は参戦を望んでトエランに来たとおっしゃっていました!」
俺に聞けば早いのに、なぜか陛下は隊長たちに聞く。
「それが、なぜ一騎打ちという事態になっている?」
「敵の大将を一騎打ちで堂々と打ち負かすことで、敵の戦意を削げるとおっしゃっていました」
「確かにレオなら可能性はあったし、実際に勝利したな。だが……レオ」
「は、はいっ!」
「なぜ無断で後宮を抜け出し、このようなむちゃをした?」
「もしも願いでたら、お許しくださいましたか?」
「ああ……許さなかったな。こちらへ来い」
そうですよね。簡単に出られないのが後宮だと教えられた。
手招きに応じて隣に立つと、陛下は血と泥に塗れたシャツに触れた。
「お手が汚れます!」
「かまわん。けがをしたのか?」
「これは敵の血です。陛下が触れては穢れます。ひどい格好のまま、お目汚し失礼します」
陛下は美しい装いをしていて、俺の血と汗と泥にまみれた体のままお側にいるのは堪え難かった。
「確かにひどいありさまだ。清めた後で言い訳を聞いてやる。準備もしておけよ?」
「っ! それは、はい……」
つまり、後ろの準備……?
ドキドキしていると、陛下付きの女官とリリアンが進み出てきた。
「リリアン……すまなかった」
「ご無事で……よ、良かった、です……」
リリアンの瞳は涙を堪えて潤んでいた。
(悪い事をした……後悔はしていないが、傷つけてしまった)
「レオシュ様。わが主人より、全てを清めよと指示されております。リリアンがおりますので、いつもの様にお願いいたします」
「――分かった」
◇
湯で血と汗を洗い流し、後ろも洗浄を済ませたあと、陛下に賜った衣装を身につけたのだが。
透けている! あっちもこっちも透けている! 下着はほぼ紐だし、このまま外を歩けとは言わないよなっ!?
「レオシュ様、こちらを」
陛下付きの女官が取り出したジュストコートは、純白に金糸でぜいたくに草花を刺繍した逸品だった。
絹の純白!? これじゃまるで……いやいや、気のせいだ。
着付けられて廊下に出ると、ビリー副隊長とウルフが待っていた。
「リオ……いや、レオシュ様。陛下がお待ちです」
ビリー副隊長がまるで初対面の相手をするように儀礼的で、寂しい気持ちになる。
「ビリー副隊長……ウルフも。騙していてすまなかった。今はリオとして普通に話してくれないか?」
「リオ……本当に陛下の側室のレオシュ様なんだよな?」
「そうだ」
「陛下のためにこんなムチャをしたのか。そんなに陛下が大事なんだな。」
泣き笑いの様な表情で俺を見るビリー副隊長。
「なぁ。おまえ、これからどうなるんだ!? もしも、もしもだけどよ! 陛下に後宮を追い出されたら……真っ先にトエランに来いよ!」
「ありがとう、ウルフ」
その気遣いにほほ笑むと、顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
「じゃあ、行こう、リオ。……ここからはレオシュ様だな」
すまない……ありがとう。
彼らに案内をされて廊下を進むと、武骨な造りの騎士棟内で純白を纏った俺が珍しいのか、皆が見ている気がした。ジュストコートはしっかりとした作りだが、白は透けやすいので、中に着たいやらしい衣装に気がつかれないかと気が気じゃなかった。
ビリー副隊長が連れて来たのは正門で、王族の紋のついた馬車の前で陛下がお待ちだった。ブロンコ隊長や多くの隊員が見送りに来ているらしかった。
「陛下、お待たせしました」
「ふふふ……よく似合っているな」
「ありがとうございますですがこんな上等な衣装を賜り恐れ多いです」
「死装束にならなくてよかった。花嫁にふさわしい装いだと思わないか? ブロンコ隊長」
「はいっ! 誠にお似合いでございます!!!」
隊長……ご迷惑をおかけします!! そんな思ってもいないことを言わされてお気の毒です! というか、花嫁っ?! 既に後宮に嫁いでるよな??
だが、そんなことをこの場で言える訳もなく……
「隊長。ご迷惑をおかけしました」
「何をいう! いや、おっしゃいます……かな? ははっ!! 俺が拾った人間がまさか側室のレオシュ様だったとは。あ~、失礼して、お耳を拝借しても?」
「はい?」
屈んだ耳元に隊長が耳を寄せる。
「聞かれたことは全部話しちまったから、覚悟しておいた方がいいぞ? 存外、やきもち焼きであらせられる。クックック……」
「っな?!」
「もう行くぞ!! 早く馬車に乗れっ!!」
背後で語気を荒げる陛下が腕を引き、馬車に詰め込まれた。みんなとろくに話せないまま出発してしまった。
「隊長!! みんな!! お世話になりました!!」
窓から身を乗り出して大声を上げると、みんなが手を振ってくれた。
「おお! 元気でなっ!」
「陛下もお幸せに~!」
「手紙を書いてくれや~!!」
なんだって?
「早く座れ!」
「はいっ!!」
苛立ちを隠さない声色に、慌てて席に着く。
「まったく……なぜ私に相談をしなかった?」
「きっと反対されました。単に、陛下のお役に立ちたいと思ったのです。俺がいなくても問題な、んんっ?!」
グイッと襟首を掴まれ、陛下に口付けられていた。
「口を開けろ」
命じられるままに口を開けると、陛下の温かい舌が滑り込んで、俺の下に絡みつき吸い上げた。
「んっ……はぁ、んくっ、はぁ……」
「キスだけでこれか? はぁ……レオ、どれだけ俺を振り回す気だ?」
「は? 俺? 陛下?」
「ったく……アレは身につけたか?」
俺なんて、今まで言った事ないのにどうしたんだ!?
「はい、もちろんです。あっ……」
ジュストコートの下に手が滑り込み、キュロットのボタンを陛下のお手が外し、兆しはじめたペニスを撫で回した。
「陛下、こんなところで……」
「二人きりだ、問題ない」
いえいえいえ!! 外には護衛がいるはずですよっ?!
「ですが、んむっ!?」
覆いかぶさり噛み付くようにキスをされて、舌が滑り込んでくる。
陛下の舌、熱い……! それに甘い陛下の味、だ……
ピチャ……クチュッ……クチュッ……
トロトロと陛下の唾液を流し込まれて、うっとりと飲み干す。
陛下のキス一つで放心状態の俺は、いつの間にかジュストコートの前は全開にされていた。薄絹の上から陛下の手が大胸筋をゆったりと撫で回す。
「んっ、はぁ、ぁあ……」
「相変わらず見事な胸だ。これをトエランの騎士どもに見せつけて来たのだな?」
「そんな、つもり、では、ああぁっ!!」
「こんなに尖って主張をして。もうこんなにコリコリに固くなっているぞ? それにここも……せっかくの衣装が濡れ濡れだ」
陛下が薄絹の合わせを割って入り込み、隠しきれない小さな布を押し上げる俺のペニスを握りゆるゆると上下に扱いた。
「あぁ、お許しを……賜った衣装が、汚れてしまいます……」
俺の先端からはトロトロと我慢汁が溢れている。その上、洗浄後に仕込んだ潤滑油が奥から溢れない様に、必死で後孔を締めていた。
「ふっ……そうだな。中の物は構わないが、ジュストコートは仕上がったばかりだ」
陛下が俺の前に周り、殊更ゆっくりと脱がしていく。
「腰を浮かせろ」
命じられるままに腰を浮かし、するりとジュストコートが抜けていった。
「レオシュ……男のそなたが後宮に入るのはつらかったと思う。だから、本当は適当なところで手放してやるつもりだった。だが……やはり、自由にしてやれない」
「陛下?」
つらそうで悲しげな緑の瞳がゆらゆらとしている。
「俺は、死ぬまで陛下にお仕えするつもりですよ?」
(だって、あなたが誰よりも大事ですから)
「それは、後宮の側室としてだろう? 俺という檻の中に、自由な獣を捕らえてしまった。悪いとは思っている。だが、一目見たときから俺はおまえに囚われていた」
「――愛して、います……言葉にして良いものか、ずっと悩んでおりました」
「同情か?」
「違います!!」
俺は陛下の手を握り締めた。
「言ってはいけないんだと……思っていたんです!! 俺はもともと、前王の慰みものになる予定で既に入国していました。陛下は俺を押し付けられてしまったっ!! だから、せめて安らぎと発散の場になりたいと努力してきて、陛下の優しさに触れて、俺は、俺は……」
とうとう心を曝け出してしまった。陛下に何か心配事があるのなら、俺の全てを捧げてお守りします!!
「俺も愛している。ずっと愛していた。男なのに男に組み敷かせることを強いていると思っていたが、本当に、俺を?」
「愛しています、陛下。あなたに組み敷かれて犯されるのは、至上の幸福です……」
「レオッ!!」
「んっ! ん~、んっ!」
息が苦しいほど激しいキスに、息が乱れる。
「陛下、どうぞきてください。あなたのために全て整っています」
俺は座席に座ったまま膝を抱えて足を大きく広げた。革紐が食い込む下腹部と、下着とは名ばかりの真紅のシルクの小さな布がかろうじて俺のペニスを包んでいる。先端に近い場所は、先走りのせいで一際赤が濃くいやらしかった。
「良い眺めだ。選んだのは正解だな」
「陛下自らこれを?」
「そうだ……よく似合っている。触れて良いか?」
「ええ、陛下の思うままにしてください」
「俺がすることを見ていろ」
「はい……あっ、はぁ……」
つぷり、と濡れそぼるアナルに指が一本挿入される。やっと、愛しい方が俺の中にきてくれる。
そう考えるだけで、指を締め付けてしまった。
「待ち切れないのか? かわいいやつめ」
「はい……ずっと、陛下に抱かれたかった、です」
ぐぽっ、ぐちゅっ……
指が2本から3本に増え、前立腺をグリグリと揉み込まれては、もう我慢ができなかった。
「あっ♡ ああっ! んあっ、あんっ♡ へーかぁ♡ はやく、太いの、ください♡」
「ああ、たまらない!! 淫乱雌穴め、奥までぶち込んで種付けしてやるからなっ!!」
「ひぅぅぅ~♡あ、おく、イイッ♡」
ずぶずぶと一気に突き入れられて、ビュルルッと射精してしまった。
「こら、まだ挿れたばかりだぞ?」
「はうぅぅ~♡だって、へーかのおちんぽ、きもちぃからぁ~♡」
「ふふふ……そうか。そんなに良いか。オラッ!!」
ズポッ、ズポッ!! パン!! パン!!
「あひっ! あっ♡すご♡」
背もたれのせいで逃げようのない衝撃は、一突き毎に深いところに到達してくる。
いつになく荒々しく突き上げられ、言葉に尽くせない幸福感をくれた。
嬉しい! 陛下が我を忘れて欲望をぶちまけてくれている……俺の体で感じている!! 好きです! 愛しています!!
「もっと声を出せ!! 良いところを教えろよ?」
「ふぁ、あ! ぜんりつせん、ゴリゴリ、好きっ♡」
「ここか? これがそんなに好きか?」
グポッ! グポッ!
「あぁぁ~!」
「奥まで、イくぞ」
「えっ?! お、くぅ?! ――っ!!」
くるし、い! そこは、はいっちゃ、ダメな、とこ、ではっ?!)
「はっ、はーっ! あ、へーか、それ以上、はいら、なっ、あ~~!!」
ずぽっ、と奥に嵌ったような感覚がしたと同時に、全身にビリビリと痺れが走った。
「レオ……苦しいか? 痛くないか?」
へいか! 少し苦しい……いたくはない、けど、これはなんだ……?!
陛下は動かずにゆさゆさと揺らしてくる。その度に、窄まりの部分が熱く疼いた。
「へーか、だいじょうぶ……なかが、あついですぅ……こすって、ほし……」
「っ!! いいとも。俺の形になるまで、ここをたっぷりこすってやるからな?」
「あぁ~~! あん♡ すごっ♡へーか、へーか!!」
「ギディオンだ、レオ。名前で呼べ」
「ギディオンッ! あうっ、ギディオン、すきぃ♡」
ぴったりと抱き合って、奥深くまで受け入れて……イキ続けてぐちゃぐちゃで、中に熱いものが流れ込んできた。
(ああ、きたぁ♡)
「はぁはぁ……レオ……俺の、レオ……」
「へーかぁ……」
「かわいいぞ、レオ。もう一戦良いか?」
「えっ? へーか、まって、おれ、ずっとイッて、あっ! あぅぅ~♡」
「もう、どこにも行くな。おまえは、俺のそばにいろ」
「はい、おれ、ずっとそばに……」
一回イッたはずの陛下はまだガッチガチで、俺はそのまま気を失うまで貪られた。
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