9 / 22

第9話

ユウとダイチは2人でユウの指名客をもてなした、ように見えた。ダイチはかなり積極的で慣れていて、ユウは躊躇った。 ユウが正常位で抱かれていると、 「俺にもお願いっ、ちんぽが欲しい」 と甘えた声で客にねだったかと思うと、貫かれているユウに股がり、ダイチとの共演で声が出ないでいるユウの耳元で、 「ちゃんと声出せよ」 客に聞こえないよう囁くダイチは冷静そのものだった。 客の視点から見たら、ユウを掘りながらダイチのアナルが見える。 興奮したのか、ユウから抜き、先程、一戦交えたダイチに挿入した。 「あんっ、だめだよっ、あっ!」 見上げると喘ぎ始めるダイチの顔。 端正な顔の頬はピンク色に紅潮し、艶っぽく、ユウが興奮して釘付けになっていると、キスをされた。 ダイチはユウと自分の勃起を1つの手のひらで包み、扱き始める。 「あっ、あっ...!」 思わず、ユウも喘ぎ、再び、客はユウの中に勃起を沈め、腰を振る。 その間もダイチはユウに口付ける。 ユウも気がつけば舌を絡ませ、激しいキスに応じていた。 客がユウとダイチの穴を交互に愉しむと、パチン!とゴムを外し、ダイチのケツタブめがけて射精した。 「すっごい気持ちよかったです」 「そうか、それは良かった、私もだ」 ダイチは暫くすると客に擦り寄り、肩を抱かれキスをされていた。 ユウは真っ白な状態で2人を見つめる。 「ああ、なんか喉乾いたなあ、ワイン飲みたくなっちゃった」 ダイチが可愛い顔で笑う。 客がオーダーしているうちに、ダイチはユウを手招きし、ソファに座った。 「あいつ飲ませてさっさとズラかろうぜ」 「ズラかる?今日は俺ら、泊まりで指名もらってんのに?」 「だからだよ。なに?朝まであいつに掘られてたいわけ」 「そうじゃないけど...」 ルームサービスが来ると、ダイチは客を上手くあしらい、たまに褒めちぎり、上機嫌にさせて客にワインを勧めた。 結果、客は足を広げて口を開き、だらしない格好でいびきをかいて寝てしまった。 「ほら、さっさとシャワー浴びて帰るぞ」 「で、でも、客がもし起きて俺らいなかったらクレーム来る」 ダイチがじっ、とユウの目を見据えた後、 「さすがにこれじゃもう起きないだろ。それにもし起きたら、気持ち良さそうに寝ていたから気を遣い、起こせませんでした、で済む。だろ?」 確かにダイチの言う通りだ。目から鱗だ。 「お前、要領悪いな」 「...なんかダイチ慣れてるね。気のせいだったらごめん」 「そりゃ...とりあえず、シャワーにすっぞ」 久しぶりに2人でシャワーを浴び、ビジホを後にした。 本来、泊まりのあの客で今日はラストだった2人は朝までの筈が夜には終わり、時間を持て余した。 不意にユウのお腹の虫が鳴いた。 ダイチが笑う。 「なんか食い行くか」 2人は夜の街を久しぶりに並んで歩いた。 夜風が気持ちいい夜だった。

ともだちにシェアしよう!