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第12話

2人はダイチの知り合いのバーで飲んだ後、自然とラブホテルに向かっていた。一室のベッドに並んで横たわり、天井を見上げ、タバコを燻らせた。 ユウは約半年ぶりにダイチに抱かれた。 2人とも長い沈黙。 切り出したのはダイチからだった。 「お前、男いんの」 「いないよ」 同じ売り専で働くハヤトの事はユウは眼中に無かった。 「ダイチはこないだ連れてた、あの子が彼氏?ハタチくらい?可愛い顔してた」 ユウは笑って言った。 「俺は彼氏とは思ってないけどな。誰かを抱いてないと俺は自分を見失いそうだからさ」 「どういう意味?」 「そのまんまだよ。男に掘られ続けてあんあん言い続けてたくないから、俺」 「....3年だもんね」 「そういうこと」 ラブホテルに備え付けの小さな自販機からダイチはビールを取り出し飲み始めた。 「まだ飲むの?」 「別いいだろ。お前も飲むか?」 「俺はいい」 一緒にいたあの子と一応、付き合ってる、てことか... ユウは天井を見上げ、タバコを吸った。 「今度、観に来いよ、ライブ」 「...気が向いたらね」 2時間の情事は少し気まずく終わった。 「遅かったじゃん、ユウ」 帰宅し、リビングに入るなりユウは後ろからハヤトに抱き締められた。 「一応、早い方だけど」 キスしてこようと顔が近づいてきて、ユウは顔を背け、抗った。 久しぶりにダイチと口付けをした... ユウは自分の唇に触れた。 懐かしいダイチの唇、熱くて溶けそうなキス.... 不意にハヤトの手がユウのTシャツの中に潜り込み素肌を撫でた。首筋には舌が這う。 ユウは力ずくで払いのけた。 「よせよ。てか、鍵返してくんない?」 ダイチと別れてすぐ、寂しさを紛らわすあまりにハヤトに抱かれた。 今は後悔しかない。 「やだね。なんで俺じゃ駄目なわけ」 ハヤトは確かにカッコいい。売り専とゲイビで働いてるから駄目だ、という訳でもない。 「わからない、わからないけど、駄目だ」 「なんだよ、それ」 ハヤトはユウを羽交い締めにし、ベッドに押し倒した。 「やめろよ、なにす...」 突然、ハヤトに唇を奪われた。 「疲れてんだよ、マヂ」 唇が離れると間近にあるハヤトの瞳を見上げ呟いた。 その日、1つのベッドに眠ったものの少し距離を置き、何もないまま眠りに落ちた。

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