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その想いと引き換えに①

私立帝徳小学校は、5年生から部活動に所属できる。 滝瀬悠斗の所属するサッカー部は総勢50人の人気のある部活だ。コーチに元プロ選手の九条先生を招いている。悠斗もテレビでの九条の活躍に魅かれてサッカーを始めたくらいだ。 滝瀬悠斗はこのサッカー部の5年生。 今日から夏の大会に向けた3泊4日の夏期合宿が始まる。 「ユウト!」 「わ、」 後ろから不意に覆い被さってきたのは悠斗の幼馴染の青葉 春(ハル)。 「おっはよ!なぁバス隣座ってい?」 「あぁ」 「あっちぃよな〜。長野って涼しいかなぁ?今週ずっと晴れだってさ!一日中思いっきりサッカーできるよ!」 「涼しいといいな」 悠斗は言葉数こそ少ないが春の笑顔を見ていると思わず顔が緩んでしまう。 春といると、悠斗の言いたいことは春が全部言ってくれるから楽だ。 バスに乗り込み、春はウキウキと悠斗の隣に座ると、さっそくリュックからポッキーを取り出した。 「なぁなぁユウトはおやつ何持ってきた?」 「おやつ禁止だろ」 「ほぇ!?」 「案内に書いてあったろ…しょうがねぇなぁ」 悠斗はひょいと春のポッキーを一本取って咥えた。 「これで同罪。あとは宿まで隠しとけよ」 「ちぇー」 春のしょげる顔を見て、悠斗はまた顔が緩んだ。 こいつは本当にしょうがない。 人の気も知らないで、抱きついてきたり隣に座ったり。 幼馴染だからそんなの当たり前に思っていたけど、自分の気持ちに気づいてしまってからはもう…昔のように無邪気には受け入れられない。 ポッキーを揺らすその唇を奪ってしまいたい。 そんな気も知らずに春は夏合宿に向けて燃えていた。 「なぁユウト!オレ帝徳小のエースになるから!合宿でたくさん練習して、たくさん試合出よう!」 「おう、アシストは任せろよ、エース」 「おー!」 悠斗が拳を握って掲げると、春もそれに応えて拳を出して悠斗の拳を小突いた。

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