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その想いと引き換えに②
その人を好きだって、どうしてわかるの?
昔、父親に聞いたことがある。
父親は困った顔を見せながら答えてくれた。
「その人と一緒にいたいとか、気がつくと目で追ってるとか…その人の幸せを守りたいって思える人…かなぁ。なんだ悠斗、気になる子でもいたか?」
「んー」
ぜんぶ、ハルに対する想いに当てはまった。
「わかんないや」
男の子が男の子を好きなんて、ヘンだということはわかってる。
その場ははぐらかして、そのままハルに対する想いもずっと掻き消して、親友として過ごしてきた。
ずっとそのままでいいと思ってた…でも。
この夏期合宿は悠斗とって酷なものとなった。
一日中の練習のあと、夕食を済ませて大浴場での入浴になった。
春と悠斗は家族ぐるみの仲で、小さい頃に海や温泉で遊んだことがある。
春の裸を見るのは初めてではない。
けど…
今の悠斗には酷だ。
高揚する自分の欲をなんとかタオルで隠してごまかして、さっさと洗って湯船に入った。
「あれユウト、まだ泡ついてるよ?」
湯船に入ってきた春が、悠斗の髪についた泡を撫でとった。
「……っ!////」
春の顔が近づき、シャンプーの香りがする。
「ユウト顔赤いよ?大丈夫?」
〜〜人の気も知らないで!!!
「のぼせたっ!先出る!」
悠斗は足早に浴場から退出していった。
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