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その想いと引き換えに③
大浴場から上がって、高揚する気持ちを制してどうにか部屋で落ち着いた。
こんなのを3泊4日…あと2回も耐えなきゃいけないのか…
しかも…部屋割りは春と同室。6人部屋だから騒がしいが、春が隣で寝るとなったら…
悠斗の想像の通り、布団が並ぶと春は悠斗の隣の布団についた。
サッカー少年たちが夜中に大人しく寝るはずもなく、枕投げなりプロレスごっこなり、一通り騒いだが、日中の運動に身体が疲れているため長くは保たずに皆寝静まった。
悠斗の隣には、春が眠っている。
春の寝顔を見ながら、先ほどの大浴場での春の姿が脳裏に浮かび、悠斗の身体は熱を持った。
こんなの…普通じゃない。
悠斗の手は布団の下で自らの欲を擦る。
その欲は硬くなり、悠斗の理性をどんどん追い込んでいく。
春の寝顔…その唇に。
悠斗はそっとキスをした。
「んん…」
ハルはくぐもった声を出したけど目を覚まさなかった。
心臓の鼓動がドクンドクンとうるさくて、それ以上その場に居られなくて、たまらず部屋を出ていった。
「ばか、俺…なにやって…」
部屋の外に出ても、隠れられそうなところはなかった。
どこか一人で落ち着ける場所…
闇雲に歩いた悠斗は宿のコインランドリーにベンチを見つけ、そこに逃げ込んだ。
ハルにキスしてしまった。
唇の感触、ハルの吐息。
思い出しては、また欲が熱を持つ。
こんなの耐えられるわけない。
目に入ったのはカゴに入ったチームメイトたちのユニフォーム。
その中にある…ハルの背番号のユニフォーム。
欲の疼きを抑えられない悠斗は、ハルのユニフォームを手に取った。
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