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青桐side
初めてあいつと会ったのは、あの展望台だった
中等部の頃から、毎回手紙をよこしてきた先輩に、あの日はついに卒業するから直接話を聞いてほしいと全校生徒聞いてる校内放送で言われてしまった。
校内放送を私物化すんじゃねぇよ・・・。
「相馬もさー、良い加減、彼女か彼氏作れば?」
「面倒」
隣で、幼馴染の朝比奈ハルが今まで何度も繰り返しやったやり取り
相手も、違う答えが欲しくて投げかけている訳でもない。
展望台へ移動途中に今日も又同じ繰りかえし・・・
けど、この日は違った
見慣れない後ろ姿
この展望台はきらめきヶ丘が一望できるし他校の生徒がいてもおかしくないが・・・・
キラキラした顔で何を見て・・・。
ああ、風が吹いてきたのか・・・!!危なッ
そう、思った瞬間に身体が動いてた。
貧血か?さっきまで、キラキラした顔で景色を見てたのに・・・
倒れてきた、彼を支えるとその向こうに校内放送を私物化した先輩が見えたが、そこは人命救助が優先させてもらおう。
「相馬、彼大丈夫!? 僕、水持ってるよ。」
「ああ」
ベンチに腰掛けて、彼を寝かせた。
まだ、遠くの方で伺っているのか・・・。
見せつける様に、寝かした彼の頭を膝に乗せる
顔にかかった髪の毛を払ってやる
やっと、諦めたか。
「・・・ねぇちゃん・・・。」
ねぇちゃん・・・?
「・・・頭でも打ったか?」
「水もあるよ~。」
「!!」
びっくりした。
随分、真っ直ぐ人を見るんだな・・・
けど、それは俺にだけじゃない・・・。
その事に、酷く心が乱された。
俺だけを映せばいいのに。
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