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妹(1)

テスト前に、メンタル的に落ち込んでしまったが、相馬の朝の勉強会のおかげもありそこそこ出来たと自分的には満足のいく内容だったと思う。 中学の方も同じ時期にテストだったらしく、咲紀が結果を見せに週末家に戻ってきた。 「おにぃのご飯楽しみ♪」 「今日は、咲紀の好きな物にしよっか!」 いつものスーパーに二人で買い物をしに来たら、あれ以来顔みしりの様になった試食のおばちゃんに声をかけられて。 「あら、今日は可愛らしい子と一緒にお買い物? 彼女さん?」 「こんにちわ。妹です。」 「あら~、そうなの! そしたら、イケメンの子は彼氏?」 「へ!?」 「え!!? おにぃ???」 「あら、やだ~。冗談よ。 ハイ、良かったら試食食べってね」 「「ありがとうございます。」」 ・・・イケメンの彼氏って、相馬の事か?? 試食させてもらたソーセージを一袋カゴに入れ、野菜売り場へ移動すると、咲紀が真剣な顔でこっちを見ていた。 「・・・咲紀。穴が開く。」 「だって、おにぃ・・・彼氏・・・。」 「いやいや、何言ってんだよ。」 ピーマンをカゴに入れると、すかさず売り場に戻される。 「咲紀・・・」 「苦いじゃん」 「肉詰めにすれば食べれるだろ? 帰る時に弁当にしてやるから」 今度は、戻されなかった。 「おにぃ、さっきのおばちゃんと仲良いの?」 「あー、まぁ。ここで毎回買い物するからなんとなく顔みしりになったんだよ」 「ふーん。彼氏も一緒に来るの?」 「・・・彼氏って、普通そこは彼女じゃないか?」 「えー、なんで?」 「なんでって・・・」 そう問われて、思わず言葉がでなかった・・・。ここは乙女ゲームそれもBLの世界(全年齢対象)だから、男に男の恋人がいてもおかしくない世界だった。忘れてた。 自分は、女の子と付き合うものだとやっぱりどこかで思っていたんだ。自分には関係ない事だって。 偏見はないけど、二次元の世界だと思っていた。でも、前の世界でも同性同士のカップルは居たし・・・。というか、家族的にそれはOKなのか咲紀とそういった話は今までした事はないし、女兄妹と恋愛話って前もした事なかった気がする・・・。 「おにぃ?どうかした?」 「なんでもない。早く帰ろっか。」 「うん!」 「手でもつなぐか!」 「いや、それは無い。」 「小学生の時は繋いでくれてたのに・・・」 「それ、いつの話よ!」 「3、4年前?」 「低学年の頃でしょ!!!もう!」 咲紀との一番古い思い出は、幼稚園から泣きながら咲紀が小学校へ母と一緒にオレを迎えに来た事だった。それからは何かと、幼稚園が終わってから小学校まで迎えに来ては手をつないで帰っていた。咲紀も小学校へ通う様になった頃には泣きながら迎えに来る事もなく、オレが中学を卒業する頃にはどっちが上なのかたまに分からないくらいしっかり者になっていた。 「家の近くでなら手つないでもいいけど!」 「何それ、咲紀はツンデレか?」 「うっさい!」 「まぁ、何気にあそこ大通り近いからその方が安全だな。」 (・・・だからだよ。) 「?何か言ったか?」 一瞬立ち止まった、咲紀に聞き返すが何でもないと笑って傍に駆け寄ってきたので、そのまま手を繋いで家迄帰っていった。 「ちょっ!咲紀、お前は車道じゃなくて歩道側!!」 「はーい!! でも、おにぃどんくさいんだもん!」 気が付くといつも、車道側に咲紀が来るから困ったもんだ。

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