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妹(2)
「それで、おにぃの彼氏ってどんな人?」
「!!? その話まだ続いてたのか??」
「そりゃ、妹として気になるもん!」
キッチンで、並んで夕飯の支度をしているとスーパーで言われた事を蒸し返してきた。
「彼氏も彼女も居ません」
「えーなにそれー」
「って言われても、出逢いすら無いから。」
「じゃー、新しい友達とかは?」
「・・・友達・・・。」
「・・・おにぃ? どうかした?」
友達・・・。自分は友達だと思っているけど・・・、彼らはどう思っているのだろ。友達だと言っていいのだろうか・・・。
「おにぃ、ボッチなの? スーパーに一緒に来た人は友達じゃないの?」
「・・・友達だと思う。」
「だと思うって・・・おにぃ?」
レタスを洗ってた手が止まる
「オレは友達だと思ってるけど・・・」
「・・・向こうは違うの?」
洗ったレタスをボールにちぎって入れ、咲紀が真っ直ぐ見つめてきた。
「・・・相手も同じように友達だと思ってくれてると、オレは嬉しいんだけどね。」
混ぜていたドレッシングを和える
混ぜながら、つい本音が出てしまった。彼らに、自分が思っている様に友達だと思っていてほしいと。けれど、咲紀から返ってきた答えに思わすボールを落としそうになった。
「・・・おにぃ、もう誰かに告られたの?」
「へっ?!」
「だって、おにぃは友達だと思ってるのに相手は違ったって事でしょ??」
「いやいや!! 告られて無いから!!」
「そうなんだ。じゃー、イケメン彼氏って誰?」
「多分、友達の一人だよ。 青桐っていって・・・」
「青桐って・・・青桐相馬?」
「そう。知ってるのか?」
「うん! こっちの学校でも青桐先輩は有名だよ!あと、朝比奈ハル先輩と黄瀬リョウ先輩も!!」
友人達の名が次々と出てきて、彼らが有名な事にちょっと驚いた。
いや、設定として知っていたけど実際にそうだという事にあまり実感が無かった。咲紀の話を聞く限りでは、自分知っている彼らは別人なんじゃないのか?と思う程の有名人だった。
「おにぃ・・・さっきの話だけどさ、友達かどうかってさ・・・。おにぃがどう思うかじゃないかな?私も、友達だと思ってる子が実はそこまで私の事友達だと思ってくれてないかも知れないって思う事あるけど、結局はその子と自分がどうありたいかだと思うんだ。」
「咲紀・・・。」
「逆に、自分が友達じゃないと思って接して、相手が友達だと思ってくれてたら、どう思う? 友情を疑われてるとか、ショックだよ。」
咲紀の言葉が、広がりかけてた染みを抜き取ってくれた気がする。
「そうだな、お前にそんな事を言われるとは思わなかったよ。」
「おにぃは、変なとこ考えすぎ!」
「よし!そんな咲紀にはエビフライ一本、オマケだ!」
「わーい♪ それで、おにぃは誰がタイプなの?」
咲紀がにやりと横で笑っている。
その顔にどこか懐かしさを感じた。
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