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映画
朝の更衣室で「勘違いしそうになる」と言われた件について、翼は考えていた・・・が、残念な事に今も昔も恋愛事にあまり縁の無かった事から、斜めな方向へと考えは行きついた・・・
「やっぱ、あれはオレが変態だと勘違いされる所だったのかな・・・。」
ぶつぶつと思いつく事を口にしてしまった為、周りの生徒にギョッとされたが、モブスキル能力の賜物なのか名もなき生徒達は何事も無かった様に通り過ぎていった。
「つーばさ!!」
「ひゃい!!!」
不意に、後ろから抱き着かれて変な声が思わずでた。
「ひゃいって(笑)」
「リョウ、驚かすなよ!! 心臓止まるかと思ったわ!」
「わりわりぃ!! なぁ、今度映画行かないか?」
「映画?」
「昨日、チケット貰ってさ。テストも終わったし、遊ぼうぜ!」
ポン
黄瀬の肩を両サイドから叩かれるのと同時に聞こえてきた声とは裏腹な気配を感じ、思わず身震いする。首に絡まってた黄瀬の腕がはずれたので振り向くと、顔色の若干悪い黄瀬。にっこり顔の朝比奈。いつも・・・よりちょっと機嫌の悪い相馬がいた。
「それ、いいねー。僕も行ってもいいかな?」
「ああ、たまには映画もいいな。」
「・・・二人とも、タイミング良いすね。」
「リョウ君、なんの映画かなぁー?」
「楽しみだな。」
「・・・。っすね。」
「やっぱ、お前ら仲いいなぁ~。」
三人が集まると大体、こんな風なやり取りをしてて・・・
ホント、傍目から見ると目の保養でしかない。しかも、なんだかんだ言いながらも、三人共お互いの事を嫌いでは無い感じがポイントが高い!!
なんて、ちょっと腐った目で見てしまったのが伝わったのか、三人には何とも言えない顔でこちらを見た。
「「「・・・。」」」
「え、映画・・・楽しみだな!!」
「だな!んじゃ、詳細は昼にでも、決めようぜ!!」
「了解! じゃあ、またあとで!!」
朝比奈と黄瀬は自分達のクラスへ戻っていった。
「翼は普段どんなのを観るんだ?」
「オレ?んー??あれ、初めてかも??」
転生前は、ねぇちゃんとアニメだの2.5次元だの観に行ってたけど、この世界では映画を観に行った記憶が無かった。
「・・・初めて・・・。」
「・・・!!」
な、なんでその単語だけ拾うんだ!!
思わず忘れかけていた朝の出来事を思い出してしまい、顔が熱くなりそうになったのを誤魔化す様に教室に入ってしまった。
丁度、予鈴が鳴ったので、相馬も後に続き席についた。
ちなみに黄瀬の貰った映画のチケットは話題のゾンビ映画だった。
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