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ファーストコンタクト
「おにぃ、明日昼過ぎには寮に帰るから! 今度は、夏休みに帰ってくるから。」
キッチンで、紅茶を入れていた所に咲紀が声を掛けて来た。
「・・・そっか。なんか、あっという間だな。」
そう言って、紅茶を手渡してくれた。
はちみつとショウガ入りの紅茶
「だから、私、青桐さんに会いたい!!」
「え!?」
危うく口に含んだ紅茶をスプラッシュする所だった。
あっぶなぁ・・・。そんな事したら咲紀の顔に掛かるとこだったわ。
「あ、もちろん、青桐さんが忙しかったら大丈夫だけど・・・。ほら、送って貰った御礼も身内としては言いたいし・・・。ダメ??」
「まぁ、聞くだけなら・・・。 けど、どこで?」
「んー、外だと色々大変そうだから・・・うちとか?」
「いや、相馬を持成す準備なんてしてないぞ?」
思わず、冷蔵庫の中身を思い出す。ってか・・・別に、そんな必死に持成さなくても良いのか??けど、御礼なら・・・
「・・・ごめん、おにぃ。それなら駅でお茶にしよ?」
「そ、そうだな! その方が良いかも!メールしてみる!!」
そろそろ、いつものメルマガの時間
たまには、こっちからメールしてみても大丈夫だよな??
・・・・・・・・・・
昨日、初めて実物を見た。 写真や情報では知って居たが・・・
実際に見たのは、昨日が初めてだった。
車の窓から、少し見ただけだが見た目は翼にはあまり似ていなかったが、真っ直ぐ翼を見る顔はさすが兄妹なんだと思った。
また、中学生になったばかりだというのに、随分としっかりしている印象を受けた。
それに、随分とあの兄妹は仲が良さそうだった。
「・・・さて、どうしようか・・・」
ふぅ・・・
思わず、溜息が漏れたがするべき事は決まっている。
そう座りながら、少し上を向きながら伸びをしたところに、携帯にメールが届いた。
『妹が、昨日オレを送って貰った御礼を明日、寮に帰る前に言いたいって言ってて・・・明日、昼過ぎに少し駅の喫茶店で会えないかな・・・?』
普段なら、この手の誘いは断るが・・・。
相手は翼の妹。変な心配はいらないだろう。スケジュールを確認し、すぐ返信を返した。
「あ! 返信来た!」
相馬からすぐに返信が来た。
『昼過ぎなら、構わない。 相馬』
「構わないって。 そしたら、昼出る時に連絡すればいいかな?」
・・・おにぃ・・・。声に出てる。
目の前で、声に出しながらメールを打っている姿を見ながぼんやり考えこんでしまった。
おにぃが、もし誠だったら・・・
腐男子だったとは言え、もしかしたら恋愛対象は女の子なのかも知れない。
けれど、この様子からだと、青桐相馬に対しての好感度はあの二人より高いはずなのになぁ・・・。
なんだか、ゲームの流れがおかしい気がする。
もしかして、相馬様の方が好感度低いのかな???
明日、会った時に確認してみようかな。
咲紀は、相馬へのメールの文章を一生懸命打っている翼に声を掛け、洗面所へと向かった。
「おにぃ・・・私、先に寝るね。明日、宜しく~。」
「ん、了解~。おやすみ。」
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