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1学期末・・と言えば

駅前のカフェで、会った時に中庭での事が話題になったら聞こうと思ったのに、結局、相馬にあの時一緒に居た子の事は聞けなかった。 ゲームの中で、許嫁の事などは出てこなかったけど・・・もしかしたら、居てもおかしく無いんだよなぁ・・・。 あの、青桐グループだし・・・。 だから、伝説の展望台で告白するのか!? 「・・・翼? チャイムなったぞ、昼食べないのか?」 いつの間にか、目の前に相馬が居た。 「え??!」 や・・・ば! 今日の授業、ほとんど聞いてなかった!!?? 「・・・ノート貸そうか?」 あきれ顔の相馬。あ、その顔も新鮮! って・・・・ 「ハイ。今日一日分・・・お願いします。」 「・・・・。」 二人の間に微妙な空気が流れた・・・。 「一つ貸しな。」 「はいぃ・・・何なりと!」 (・・・何なりとね・・・・) 一瞬、間が開いた一限からのノートを相馬が差し出した。 ははぁ・・・って、土下座の真似をしつつノートを受け取る。 其処に、いつものジャージ姿で黄瀬と朝比奈が集まってきた。 「あ!何~!! 今回も勉強会するのか?!」 相馬から受け取ったノートを見て、黄瀬が聞いてきた。 「期末まで、なんだかんだで3週間も無いだろ?」 「体育祭終わった、ばかりなのにぇ・・・・」 当たり前の様に、黄瀬と朝比奈は翼の周りの席を寄せてお昼を食べ始めた。 相馬も翼の前の席を占領して、弁当を広げた。 「ちょ! 流石!!相馬のトコの弁当豪華!」 「お前らの分もあるらしい・・・。」 そう言って、箸を朝比奈と黄瀬に手渡す。 「マジ! やった♪ エビもーらい!」 黄瀬が相馬の豪華弁当に箸をつける。 「翼も良かったら・・・。」 自分の弁当もあるけども、相馬の弁当の中で気になるおかずが!! 弁当箱を前に出されて、一つ摘まんだ。 「え、良いのか!! これ気になってたんだ!」 あられの付いたしんじょう揚げ!しかも、中に蓮根!外にカリカリ、中にふわふわ&シャキシャキ!!食感が楽しい!! 美味しぃ~。 「「「・・・」」」 「・・・なんだよ?三人して・・・。」 「いや・・・、口にあったようで良かった。」 「ホント、翼はうまそうに食べるよな~。ほら、これも食え!」 出汁巻きが口に入れられる。 「ひょ・・と・・・美味し」 「だろ~。・・・って・・・。」 箸を持ったまま、黄瀬が固まる。 翼はそれに気が付くことなく、自分の弁当から卵焼きを選んで今度は相馬に 「なら、相馬にはオレの卵焼きをあげよう~。はい・・・」 パクッ 「!? 相馬、自分で食えよ!!」 相馬が、お!オレの箸で・・・いや、こ、これはいわゆる「あ~ん」ってやつじゃ・・・。ええ!!  顔が赤くなりそうな所に・・・・ 朝比奈にズバッとカットインされた。 「ま、翼君はリョウに食べさせて貰ったんだから、良いんじゃないの?」 「・・・あ! ホントだ!!」 朝日奈に言われて気が付いた。今確かに、自分も黄瀬に食べさせて貰ったな。 なら、気にしすぎたら変だよな。 「翼君の卵焼き、僕も食べたいな♪」 あーん 口を開けて待ってる朝比奈に、今度は相馬が出汁巻きを入れた。 !! こ、これは・・・眼福!! イケメンがイケメンにあーんとか・・・か、カメラ!は、部長だった!! ああ、けど・・・ オレも相馬に・・・あーんされたかった!!!!! 感情を行ったり来たりさせてる翼の隣で、少しホッとしながら黄瀬が弁当を食べ進めていた。 「で、今回も翼君の家で勉強会するの?」 朝日奈が、出汁巻きを咀嚼しながら聞いてきた。 「・・・オレは構わないけど・・・。」 「オレは部活休みなれば平気!」 「僕も、一週間前位なら」 「・・・直前の週末だな。」 「じゃあ、その日だな!」 相馬の予定で決定する事に、誰も文句が無いのは一番忙しいのが相馬だからだろう。 弁当も食べ終わって、二人が自分達のクラスへ戻っていった。 相馬も自分の弁当箱を片付け始めた。 席に戻ろうとした時に、頭に手を置かれた。 「翼、朝練前で良ければ、また勉強見るけど?」 「・・・良いのか??」 「また、生徒会で良ければ」 頭を撫でて、相馬は席に戻っていった。 だ、ダメだ・・・。午後も授業に集中出来なそうだぁ・・・・・。 すっかり、あの時の子の事など翼の頭から抜け落ちていた。

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