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重力10倍!!? (朝比奈視点)

「・・・なんか、空気悪くないか?」 「やっぱ、リョウもそう思う??」 いつもの様に、翼と相馬の所にお昼を食べに集まった二人は、扉の向こうの教室内に漂う空気が重い事に気が付いた。 というか・・・、クラスに翼と相馬しかいなかった。 朝日奈はいつもと違う様子に、翼に耳打ちした。 「つ、翼君と相馬・・・なにかあった?」 「え?? 何も無いけど・・・?」 当の翼はこの状況に何も感じていないようだった。 けれど机をいつもの様に並べたが、何かおかしい。 「あ、リョウこっち座りなよ! ハルは相馬の横どうぞ!」 「え? ああ、うん・・・。」 別に席なんて決まっては居なかったが、今日は珍しく翼が強引に隣にリョウを座らせた。強引に席に座らされた方は、若干の居心地の悪さを感じていた。 その光景に、ちょっともやっとした朝比奈が隣を見ると、静かに黒いオーラを背中に背負い始めてる幼馴染が居た・・・ (ええ!? ちょっと・・・翼君!!?相馬に何した訳?!) あの日以来、青桐家のシェフが豪華弁当を自分達の分も一緒に作ってきてくれる様になった。 今日も、豪華弁当が目の前に置かれるが・・・ 「はい、リョウ。」 「あ、ああ。ありがとう・・・。」 甲斐甲斐しく、弁当を取り分ける翼。 いや、まぁ・・・そりゃ、翼と相馬の前に置かれてるから、最近はそういう感じですけど・・・。そして、今度は朝比奈にも翼は取り分けてくれた。 「ハルも、ほら。」 「ありがとう・・・。あ、翼君!ほら相馬にも・・・」 「え? ・・・相馬は目の前にあるじゃん?」 「・・・で、ですよねぇ・・・」 (あああああ、なんか出てきてる!!出てきてるって・・・。) 黒いオーラーをより濃くさせた相馬に、黄瀬が弁当を詰まらせた。 ゴホッツ!!! 「ちょ!!リョウ大丈夫か?? ほら、お茶。」 「わ、わりぃ・・・」 (って、翼君!!それは逆効果だから~!!!!) 翼が手渡したのは、自分の飲みかけの方のペットボトル。黄瀬のはその隣。 「そういえば! 夏休み中、リョウも相馬も試合とかあるんだろ?」 (えええ!? このタイミングで? 空気を読めないというか・・・感じないというか・・・。流石だよ、翼君) 翼が思い出した様に、話題を振ってきた。 「翼君、僕は今回は大会に出ないから、応援にでも行く?」 (それならその話題に僕乗るよ!!) 「それ、嬉しいわ! 良い所まで行けそうなんだぜ!」 翼は嬉しそうにする黄瀬を見て、今度は相馬にも話を振っていた。 「相馬は個人戦で出るんだよな?」 「あ、ああ。」 「弓道の試合とか始めてだから、今から写真撮るの楽しみなんだよね!!」 「・・・そうか。」 ( お!! この流れは・・・) 「リョウの活躍も楽しみしてるからな!! 全国だろ?凄いよな!!」 (!!!!!!!!!) 「お、おう!! 任せろ!」 (ひーーーー!! 翼君は何がしたいの!?ねぇ・・・!!隣見るの怖いんですけど!!) どうやら黄瀬も、この状況から早く逃げ出したいのか、必死に弁当を口に詰め込んでいる。その隣で、翼が次々と黄瀬の所におかずを置いていた。 (いやいや・・・椀子蕎麦じゃないんだから・・・) 「つ、翼君も少しは食べないと! はい!」 「え?? 」 パク 朝比奈は翼の口にあのアラレしんじょう揚げを入れた。 「これ、おいしいよね! ほら、相馬も食べないと!!」 そのまま翼に使った箸で、相馬にも朝比奈は食べさせた。 (ほら!! 翼君の使った箸で機嫌直せよ!!!!) 前なら、朝日奈が相馬に食べさせる光景を見て、眼福と思ってた翼も 今は少し複雑だった。

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