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喫茶
放課後、いつもなら相馬と下校してるが・・・今日は少し違った。
相馬と朝比奈が一緒に帰っていった。
「なぁ、翼なんかあった??」
「? 何が?」
珍しく黄瀬と帰る事になったので、少し寄り道して変える事にしたのだが・・・
何故か、お悩み相談会それも、一方的にオレに悩みがあると思われている件。
なんでだろう??
目の前に置かれた、アイスティーとアイスコーヒー
カランと氷が解ける音が響く
「・・・マジか・・・。」
「・・・何が?」
何を言われているのか、さっぱりわからない・・・。朝比奈もだけど・・・黄瀬も、一体なんだ?
「いや・・、なんか、今日相馬と距離置こうとしてたからさ・・・」
「え!? そ、そんな事は・・・。」
「いやいや・・・、バレバレですから!!」
「・・・・相馬も・・・?」
「そりゃ、気が付いてるだろうよ。」
そう言ってガムシロを三個とミルクを一気に入れて、アイスコーヒーを飲む黄瀬を見て思わずびっくりする。
「・・・その顔、ハルにもされたわ。」
ちょっと不貞腐れた様に、ストローを銜えてそっぽを向かれる。その仕草が、なんだか一気に黄瀬を幼く見せた。
「なんか、意外。リョウも甘いの好きなんだ。相馬も結構甘いの好きなんだぜ」
「・・へー、ハルは甘いあんま得意じゃないのにな。」
「そうなんだ!? 存在が、砂糖みたいなのに?!」
「!? そ、存在が砂糖って・・・」
翼の表現に、思わず銜えたストローが落ちる。
「シュガーエンジェルとかって・・・。子役の頃・・・。」
「・・・、翼。悪い事は言わない、その表現は絶対本人には言うなよ。」
「えぇ!? これもダメなのか・・・」
「も・・・ってお前まさか・・・。」
「姫と王子も駄目なんだよな??」
「!! おま! マジそれ・・・」
「そんなダメなのか?? 王子。似合ってると思うんだけどなぁ・・・。」
あ、そっち? ・・・翼の前では王子かも知れないけど・・・。
「とりあえず、本人達は好きじゃないらしいから・・・。」
「そっか・・・。」
本人が嫌ならわざわざ、言う事じゃないしな・・・。
「けど、その王子と何もないなら、なんであんな避けてんだ?」
「え?! そんな事無いだろ!?!!」
「いや、急に目も合わせないし。なんか態度も変というか・・・」
「・・・そんなに?」
そりゃ、少しは意識して避けた所はあるけど・・・黄瀬に指摘されるとか・・そしたら、相馬はもっと避けられているって感じてたのかな・・・??けど、朝日奈の前でいつもみたいにするのもなんか・・・。
友達とライバルとか・・・、オレはそんなポジションじゃないし・・・。
急に、黙り込んでしまった翼に黄瀬が心配そうに聞いてきた。
「ホント、大丈夫か? ・・・相馬と本当に何もないのか?」
「?? 相馬とは何もないけど・・・?」
こないだから、何もって聞かれるが・・・何かあるのか??
朝日奈にも聞かれたけど・・・、相馬に何かあるのか???
「な、何も無いならいいけど・・・。」
黄瀬が心配そうな顔から、笑顔に変わった。その顔を見たら思わず聞いてしまっていた。
「なぁ・・・ハルと相馬って付き合わないのかな・・・?」
「へっ!?」
飲もうとしていたアイスコーヒーのグラスを今度は、倒しそうになる。
な、なんて?!今、この子は何を言った!?!
「お、幼馴染だしさ・・王子と姫だし・・・」
今度は、翼が半分くらいになったアイスティーにガムシロを追加していた。
ミルクも一緒にいれ、ストローでかき混ぜながらぽつりぽつりと翼が話し始めた。
「・・・」
な、なんでだ?! 翼の話を聞いて、さっぱりわからない。
なんで、そうなるんだ?! いや、翼の気持ちもわかるけど・・・けれど・・・
そんな事で、距離取られるなんて本人にはたまったもんじゃないよな。
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