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第20話
それから間もなく、俺とお母さんはエステと美容外科に行った。
お母さんはマッサージや小じわを目立たなくするプチ整形、俺は全身脱毛。
どうりでお母さんが若い訳だ。
帰りはお母さんと初めての女装姿でデパートでショッピング。
不思議と周りから嫌な視線は感じない。
お母さんと色んな女性物の洋服や下着、アクセサリーなどを見て周り、お母さんは自分だけでなく、俺の物も選び、買ってくれる。
大荷物になるので、お母さんは自宅に郵送して貰う様に頼んでいて、タクシーではなく、愛用らしいハイヤーで移動した。
お金持ちなんだな、と改めて感じる。
帰り際、
「歩き疲れちゃったわね。お茶して帰りましょ」
と、お母さんの行きつけらしいお店に入る。
豪華な店内と、上品な女性ばかりでキョロキョロしているとお母さんからメニューを渡された。
「私は...そうね、マスカットのパフェにしようかしら、瑞希ちゃんは何にする?」
俺はメニューを凝視し、固まった。
パフェの値段...2500円。
それ以上の物もある。
「瑞希ちゃんの好きな物を選んでね。さくらんぼとメロン、どちらが好きかしら?」
「え、えっと、どちらも好き、ですが」
「じゃあ、やっぱり、私はメロンにするから、瑞希ちゃんはさくらんぼにしましょうか。シェア出来るわ」
メニューを閉じ、お母さんが嬉しそうに微笑む。
「お待たせ致しました」
運ばれてきたさくらんぼのパフェをぱくり。
「...美味しい」
「でしょ?ここのフルーツは絶品なの。フルーツは大抵、ここで購入してるくらい」
そう言ってお母さんもスプーンでパフェを掬いぱくり。
確かにさくらんぼ、かなり美味しかった。
クリームも上品な甘さ。
「こちらも食べてみる?」
「いいんですか?」
「もちろん。メロン、食べてみて」
メロンをスプーンで頂き、余りのみずみずしさに口元を抑えた。
「美味しい?」
「はい。とっても新鮮で甘いですね」
「帰り、フルーツも買って帰りましょ」
お母さんと食べ終えると、帰り際、店員にどのフルーツがいいかを尋ね、さくらんぼとメロン、マスカットなど、幾つかのフルーツを購入し、重たいものは郵送を頼んでいた。
支払いを終えるとしばらく歩いた先のハイヤーへ。
「ああ、少し疲れたけど、とても楽しかったわ、瑞希ちゃん。ありがとう」
「こちらこそありがとうございます、お母さん」
そうして、全身脱毛も終え、ショッピングにお茶を共にし、帰宅。
この日はたまに頼んでいるらしい、家政婦さんが料理。
お母さんと一緒にしばらくのんびり過ごした。
その間、ヒロは自室で勉強していたので、コーヒーとお菓子を添えて、届けに行きました。
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