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第23話
久しぶりに俺はヒロとデートです。
女装姿でのデートは今回が初めて。
かなり緊張しました。
冷や汗をかいている俺の手をヒロが繋いでくれます。
緩いウェーブのウィッグ、白とピンクの花柄の膝丈のワンピース、白のなるべくヒールが低いパンプス。
...ですが、さすがに長らくスニーカーに慣れてるので、やっぱり歩きずらい。
「大丈夫?足、痛くない?少し休憩しようか」
ヒロがそう言ってカフェに入りました。
男にしては高い声ではありますが、声を出すと店員さんに男だとバレてしまいそうで怖い。
ヒロが、
「瑞希、なんにする?」
尋ねてきたので、ヒロの耳元で、アイスフラペチーノ、と囁くと、
「アイスフラペチーノ、2つ」
ヒロはなかなか頼もしい。
2人でお茶しながら、周りをキョロキョロ。
「どうしたの?」
周りのお客さんはお喋りに夢中で特に変わりはありません。
「...気づかれてない。不思議」
呟くと、ヒロが笑いました。
「だって、全然、違和感ないもん」
どうやら、元々、どちらかといえば女顔だった俺は女に見えるらしい。
「168センチあるのに?」
「モデルみたいだよ。瑞希、細いしさ」
そうなのかな、とストローを啜ります。
この日は2人で映画館で並んで映画を楽しんだあと、ヒロがハート型のトップの付いたネックレスを買ってくれました。
帰宅すると、
「おかえりなさい」
お母さんが笑顔。
「ただいま」
「ただいま戻りました」
「お夕飯にしましょうか」
お母さんが立ち上がりキッチンに立ちます。
「あ、私、手伝います」
「いいのよ、瑞希ちゃんはゆっくりしてて」
笑顔でそう言われ、俺たちは手を繋ぎ、ヒロの部屋へ。
「楽しかったねえ」
ヒロがベッドに仰向けに寝転がります。
「うん」
「あ!そうだ!ネックレス付けてあげる」
テーブルでカーペットの床に座っていた俺に近づき、背後に回るとネックレスを付けてくれます。
「ありがとう。大事にするね」
その後、俺はお風呂を溜めに階段を降りると、ばったり、お父さんと出くわしました。
軽く会釈をすると、
「どうだね?プラセンタの方は」
「はい、肌ツヤが良くなったように感じます、でも...」
「でも?どうしたんだい?」
暫く躊躇いましたが、打ち明けました。
「そ、そのなんか変なんです」
「なにが変なんだね?詳しくは私は医師だし、部屋で話しを聞こうか」
「はい...」
俺はお父さんの後を追い、お父さんの自室へと歩き出しました。
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