23 / 69

第23話

久しぶりに俺はヒロとデートです。 女装姿でのデートは今回が初めて。 かなり緊張しました。 冷や汗をかいている俺の手をヒロが繋いでくれます。 緩いウェーブのウィッグ、白とピンクの花柄の膝丈のワンピース、白のなるべくヒールが低いパンプス。 ...ですが、さすがに長らくスニーカーに慣れてるので、やっぱり歩きずらい。 「大丈夫?足、痛くない?少し休憩しようか」 ヒロがそう言ってカフェに入りました。 男にしては高い声ではありますが、声を出すと店員さんに男だとバレてしまいそうで怖い。 ヒロが、 「瑞希、なんにする?」 尋ねてきたので、ヒロの耳元で、アイスフラペチーノ、と囁くと、 「アイスフラペチーノ、2つ」 ヒロはなかなか頼もしい。 2人でお茶しながら、周りをキョロキョロ。 「どうしたの?」 周りのお客さんはお喋りに夢中で特に変わりはありません。 「...気づかれてない。不思議」 呟くと、ヒロが笑いました。 「だって、全然、違和感ないもん」 どうやら、元々、どちらかといえば女顔だった俺は女に見えるらしい。 「168センチあるのに?」 「モデルみたいだよ。瑞希、細いしさ」 そうなのかな、とストローを啜ります。 この日は2人で映画館で並んで映画を楽しんだあと、ヒロがハート型のトップの付いたネックレスを買ってくれました。 帰宅すると、 「おかえりなさい」 お母さんが笑顔。 「ただいま」 「ただいま戻りました」 「お夕飯にしましょうか」 お母さんが立ち上がりキッチンに立ちます。 「あ、私、手伝います」 「いいのよ、瑞希ちゃんはゆっくりしてて」 笑顔でそう言われ、俺たちは手を繋ぎ、ヒロの部屋へ。 「楽しかったねえ」 ヒロがベッドに仰向けに寝転がります。 「うん」 「あ!そうだ!ネックレス付けてあげる」 テーブルでカーペットの床に座っていた俺に近づき、背後に回るとネックレスを付けてくれます。 「ありがとう。大事にするね」 その後、俺はお風呂を溜めに階段を降りると、ばったり、お父さんと出くわしました。 軽く会釈をすると、 「どうだね?プラセンタの方は」 「はい、肌ツヤが良くなったように感じます、でも...」 「でも?どうしたんだい?」 暫く躊躇いましたが、打ち明けました。 「そ、そのなんか変なんです」 「なにが変なんだね?詳しくは私は医師だし、部屋で話しを聞こうか」 「はい...」 俺はお父さんの後を追い、お父さんの自室へと歩き出しました。

ともだちにシェアしよう!