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第35話
お父さんと一線を越えてしまいました....。
バツが悪い思いと申し訳なさとでお母さんと朝食の支度です。
もちろん、自室でまだ寝ているヒロにも。
「ありがとうね、瑞希ちゃん」
突然のお母さんの言葉に、
「え?」
俺は朝食作りを手伝う手を止めました。
お母さんを見るとにっこり優しい笑み。
「ちょっといいかしら、瑞希ちゃん」
「は、はい、お母さん...」
お母さんは俺を和室に誘導します。
「あなたに話しておかなきゃ、と思っていたの」
お母さんがお茶をいれながら....。
俺の前には湯気を立てたお茶が置かれます。
「あの人...私の主人と私はね、長いことセックスレスで。あの人には愛人がいるの。いえ、いた、が正解かしら」
俺を見つめて話し続けます。
「リラックスして聞いてちょうだいね?瑞希ちゃん」
俺は無言で耳を傾けました。
「子供が出来て、おろさせて、慰謝料を払う羽目になったりね、私はあの人をもうこれっぽっちも愛してはいないし、お金すら持ってきてくれたらいいとしか思ってはいないの。それに」
お母さんの瞳を見つめた。
「内緒だけれど、私には好きな人がいるの。私はもう主人より、その人しか愛せないの。長年連れそう、てそんなものよ」
お母さんは1度、お茶を涼しい顔で啜りました。
お母さんは40代ではありますが、とても若く、そして美人です。
「ただ、あの人の子供が出来たりね、面倒な事が今までずっと絶えなかったの。ヒロから瑞希ちゃんを知らされて、私は開眼したの。あなたにあの人のお相手をしてもらいたい」
俺は耳を疑いました。
「お、俺、私が、ですか」
「ヒロから以前のお仕事も伺っているわ。あなたが見た目が女性になれば申し分ない。最初はあの人が言い出したことなのだけど」
「ど、どういうことですか」
「あの人ね、バイセクシャルでもあるから。あなたを最初から狙っていたし、一緒に暮らす条件でもあったの。あなたと体の関係を持つこと」
言葉を失いました。
俺が女になることはお父さん、お母さんの企みでもあったことを知ったのです.....。
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