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第5話

「あ、宮内が運動なんてやりそうにないって思っただろ?」 酔っ払った主任が楽しそうに笑いながら、肩をバシバシ叩きながら言う。 いってぇ!!!これだから、酔っ払いは嫌いだ。 「それがさ、意外とサッカー上手いんだよ。サッカーやってるときの宮内は女性社員にモテるんだけどな。」 「大垣さん!!! 余計なこと言わないで下さいよ。」 「本当だって。えみちゃんが言ってたし。」 「あんたら、夫婦の話はどうでもいいんですよ。」 「・・・・・・宮内さんと大垣さんって仲良いんですね。」 俺たちのやり取りを見ていた西園寺が口元に笑みを作った表情は崩さず、ほんの少しだけトゲの入った声音で言う。 「あー、こいつら、大学の先輩後輩だから。で、同じフットサルのサークル入ってたらしいよ。」 さらにそのやり取りを見ていた主任が部署内では知れ渡ってる俺と大垣さんの関係。 俺と大垣先輩は4歳違いだけど、一浪した大垣先輩が4年の時に俺は1年だった。小中でサッカーやっていた経験から、フットサルのサークルに入ったのが知り合ったきっかけ。 同じ会社の同じ部署に就職したのは本当に偶然だった。 2年前の入社時にお互いびっくりした思い出がある。 そして、そのことがあり、俺の指導係は大垣先輩だった。 「俺、トイレ行ってきます!」 酔っ払いに囲まれてるのが嫌で嘘をついた。 トイレの洗面台に両手をつき、大きなため息をつく。 「はぁ。帰りてぇー。帰ってアイナちゃんに会いたい。」 「アイナちゃんって誰?」 背後からかけられた声に驚いて顔を上げると、一日中にこやかだった笑顔とは真逆の冷たい目で俺を見る西園寺がいた。

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