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1.リックとの馴れ初めと酒を飲んだ夜
俺、ことカイエと友人―リックは王都で兵士になった日が同じだった。
兵士もまた寮があるのだが、騎士とは違い五、六人で大部屋に詰め込まれるのが普通だ。同じ日に兵士になったことで、俺たちは同室になった。俺たち二人は王都の近くにある村の出身だったが、二人とも出身地は違った。つまり、俺たちは兵士になってから知り合い、友人となったのだ。
兵士とか冒険者っていうのは基本仕事にあぶれている者がなるものだ。兵士を続けて見込みがありそうな者は騎士に昇進したりするから、兵士になる若者はみんな騎士になることを夢見ている。ちなみに苗字持ちなどの、なんらかの功績がある家の出身者は兵士になってもすぐに騎士に昇進したりする。なんとも世知辛い話だ。ただ兵士よりも騎士の方が訓練などもきつい為、早めに昇進しても脱落者はけっこういるらしい。
話が脱線した。俺たちは一緒に訓練をし、王都の門番などを務めたり、犯罪者を捕まえたりした。俺は他の兵士たちと比べるとそこまで体格がいい方ではなかったが、騎士の訓練などにも最初からついていくことができた為比較的順調に騎士となった。
確か兵士になってから一年後ぐらいだったと思う。
俺が騎士となってからもリックとは仲良くやっていた。
俺は自分で言うのもなんだが顔がそれなりにいい。おかげでやっかみもあり、他の同室の兵士たちとはあまり仲良くなれなかった。その緩衝材のようになってくれていたのがリックだ。茶色いくせっ毛と童顔、俺よりも顔半分は低い背にひょろりとした身体のリックはみんなのマスコットのような存在だった。リックにコナをかける者もいたが、リックは全く取り合わなかった。ある程度魔法も使えたので襲ってこようとする奴らはうまく撃退していた。そう、リックは本当に見かけによらなかった。
でも俺はリックが心配だったから、たびたび一緒にごはんを食べに行ったりはしていた。
そうやって俺が騎士になってから二年が経ったその日、リックも晴れて騎士に昇進した。
俺はリックの昇進を我が事のように喜んだ。明日はたまたま二人とも休みだということもあり、めったに飲まなかった酒を飲みにいくことにしたのだった。
それが間違いだったとしか言いようがない。
俺たちは酒に弱かった。翌日に響かないようにと俺は普段飲まなかったし、リックもいつ襲われても撃退できるようにと飲んでいなかったらしい。(なんかつらい)
おかげですぐに酔っぱらってしまい、お互いまずいと思って俺の部屋に移動したのだった。
「な~、カイエってモテるんらろ~?」
へべれけっぽくなったリックに言われて気分が沈んだ。
「モテてもな~すぐフられるんだ~」
「なんれ~? カイエ、超カッコイイりゃん~」
みんなどーせ俺の見た目しか見てないんだよ。
「カッコよくても~すぐイクからフられる~」
どーせだから俺は自分の情けない姿をリックに暴露した。どーせ俺は早漏だよ。誘ってきた相手に入れたら気持ちよすぎてみこすり半でイクんだよ。
「すぐイク~すぐ~ん~」
「どーせ俺はそうろうだよ~」
「そーろーなの。僕とぎゃくらーはははー!」
「え~?」
呂律の回らない口で聞いたら、リックのイチモツはでかい上になかなかイケないらしい。おかげで娼館に行っても断られてまだ童貞なのだそうだ。
「カイエ~カイエ~見て見て僕の~」
リックは笑いながら服をぽいぽい脱ぎ、裸になった。あまり日に焼けていない細い身体が俺の前に晒される。ひょろい、と思っていたけどけっこう筋肉がついていて、どちらかというと細マッチョみたいな体型になっていた。そしてその股間には……。
「でっか……」
俺自身より二回りぐらいでかくて長いイチモツがあった。すごいなって思った。
「カイエ~カイエ~僕なぐさめて~」
リックはそう言うと俺の服をぽいぽいと剥ぎ、俺をベッドに押し倒した。
「え? え?」
「カイエ、キレイ……ヤりたい……すっごく抱きたい~」
初めてそんなことを言われ、俺はびっくりした。
「むり……」
「じゃないよ~しっかり慣らすから~。カイエはびんかん? すぎるから~いっぱいかんじて~」
そんなことを言ってキスされた。それは唇が触れ合うだけの、子供のようなキスだったが嫌いじゃないと思った。そして、リックは俺の全身にキスをした。顔も耳も、首筋も乳首もへそも、脇腹も、ちんちんも……そしてあろうことか尻穴にまでキスをして、俺を甘く啼かせたのだった。
「あっ、あっ、リック、リックぅ……」
「カイエ~かわいい……ずっと好き……ずっと……」
お互い疲れていたこともあり、俺たちはそのまま寝てしまった。
んで、翌朝俺は頭を抱えたのである。
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