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9話(下)
「シていい?」
「うん。弥生サンの好きにしていいよ。」
弥生は頭を撫でられると、真矢の足元に屈んでそれを喉の奥まで咥えた。
「--ッ!、」
吸引されながら喉の奥で扱かれる。真矢はアダルトビデオ以外で見たことの無いものに、快感も一入、少しばかり複雑な気持ちが混ざった。
喉を締めて口をすぼめて、射精をしなくても絞り出されてしまうような快感に恐ろしくなる。
余りの気持ちよさに、当然瞬時に硬さは持ち返した。
「やよいさん、それ、やば、いから」
肩を押して口を離させると、
「フェラ、好きじゃなかったかな…」
不安げに見つめられる。
「そうじゃなくて…、気持ちよすぎてこれでイッちゃいそうだから、だめ。」
弥生はきょとんとする。
「大丈夫じゃない?」
「何が…」
「真矢くん、若いから三回くらいイってから挿入れた方がちょうどいいかもよ」
弥生は真矢を押し倒して手にトロリとローションを垂らす。
「何言っ…ッ!?」
そして少し体温に馴染ませたローションで、真矢のものを包み込んだ。初めてのヌルヌルとした感覚に身体の力が抜ける。
「真矢くんの、オっきいね。」
「弥生サンのせい、ッ」
小ぶりな陰嚢を弥生の指が懐柔する。コロコロと転がし、反対の指で竿を扱く。
「、ッ、だめだって、ほんとに、」
真矢は自身を早漏だと思ったことは過去になかった。弥生だからなのか、弥生のテクニックのせいなのか、思考力が低下していくことだけが分かる。
「ね、…これで素股、してみて?」
弥生がティッシュで手を拭いて壁に手を着き、真矢に臀と背中を見せる。
「素股……って、こう?」
後ろから抱きしめるように弥生の内腿に竿を収める。
途端締めた内腿とぬるぬる擦れて知らない快感に襲われる。
「そう、っ」
「これ、弥生サン気持ちいいの?」
「うんッ、裏筋擦られて気持ちいいよ」
振り返る弥生の口をキスで塞ぎ、腰を揺らす。
腰をうちつける度にローションが粘ってぐちゅぐちゅ、ぱんぱんと音を立てる。
まだ挿入すらしてないのに部屋に立ちこめる熱でクラクラする。
抱きしめたまま乳首をいじると弥生は自ら腰を振った。
「ぅ、んん、ぁ、」
淫らな臀たぶを腰ごと掴んで何度も打ち付ける。
「ッ、あ゛ぁっ。弥生サンっ」
「ん、や、ちく、び、触っ」
弥生が壁に伏せて、空いた片手を内腿を貫く真矢のものに添える。
真矢はリクエストに応えて両方の乳首を摘む。
「…はぅ、、あぁんっ!?」
ぎゅ、と弥生の内股が締まる。
「!、っ」
真矢は弥生の乳首を指でいじりながら弥生を後ろから抱きしめ、壁についた手に手を重ねた。
「や、しんやくん、もッ、挿入れたいい…!」
自ら腰を振って懇願する様はかなりクるものがある。手を解いてやると弥生はくるりと真矢を向き直った。
肩で息をしたまま真矢を押し倒して倒れ込む。
「上、乗ってもいい?」
「もう一回指でしなくて大丈夫なの? 」
「うん。」
真矢が心配そうにしながら弥生にキスをする。
「あ、」
リビングから移動する際にポケットに入れたゴムを取り出そうと、床に投げたハーフパンツを手繰り寄せる。
「ゴム?」
「うん。」
カッコのつかなさに焦ると、
「持ってる。」
弥生がベッドサイドの棚の上に乗せたのをするりと取り出した。
ぴり、と封を破り、弥生は両手で真矢のものにゴムをかぶせる。先端を指でつまみ、クルクルとすると、改めて扱かれているような感覚になる。
「次は大きめの方がいいかも…真矢くん、大きいから…」
弥生は同じ棚からローションを手に取りゴムの上から垂らすと、その上に股がった。
「弥生サン、無理しないでね?」
「大丈夫だよ」
反り勃った真矢のものをアヌスへあてがう。ぬるぬるとローションで滑る。
「んぅ、」
「キスしよ」
「うん」
唇を合わせ舌を絡ませる。歯列をなぞると弥生から息が零れる。
キスをしつつ腰を沈めていくと、鬼頭がアヌスに飲み込まれるのがわかった。
弥生が少しずつ腰を揺らして奥へと挿入を進める。
ずぷ、
全てが奥まで入ったようだった。
弥生が唇を離し、恍惚とした表情で真矢を見下ろす。
ピンと立った乳首が物欲しそうに見えて、真矢は親指で押して刺激してやった。
ナカがきゅうと締まる。
少し抜いては奥まで、短いストロークのゆったりとしたピストンで、弥生は気持ちのいいところを探して腰を揺らす。
「…ッは、、ッは…」
舌を出したままの弥生の口があまりにも淫猥で、真矢は後頭部を掴むと噛み付くようなキスをする。
「ぁん!、う、ッは、ッは、」
少しずつスピードを上げて、弥生は獣のように一心に腰を振った。
自ら前立腺の位置を抉り、腹の上で何度もビクビクと体を震わせている。
「ッく、弥生サン、刺激強すぎ…」
ばちゅ、ばちゅん、ぱんぱん、
体重を乗せた大きなストロークでピストンのスピードをあげる。ベッドがギシギシと抗議するが気にもとめない。
「ッは、ぁん、ぁあん!」
弥生はまた絶頂が近いのか縋るように真矢の指を探して絡める。
真矢も同じように射精感が込み上げるのをそろそろ解き放ちたかった。
「ッく、弥生サンっ」
「ッあ!ヤダ、イく、まだ、まだや、んあ、」
パンパン、パンパンパン
意識ごと持っていかれそうに締め付けられて、真矢はゴムの中へ射精をした。
「や、らめまだ、またイくッああああんっ…」
腸内の異物感に弥生も絶頂を迎える。
弥生はずるりと萎えたものを抜き出して外したゴムをしばると、ティッシュを片手に次のゴムの袋をピリと破いた。
「え、」
「ん?」
弥生は真矢の驚く素振りに何食わぬ顔で首をかしげ、真矢のものにキスをして裏筋をべろりと舐める。
果てたばかりのそれはとても敏感で、真矢は思わず息を飲むが、結局は弥生の思い通りに熱をぶり返した。
「まだ、真矢くんに突かれたい…」
弥生は四つん這いになって真矢にアヌスを向ける。自らの指にローションをつけ、真矢の前でそれを穴に入れて出し入れをする。
「っあ、んふ、あ、しんやくん。しんやくん…」
指を入れたまま腰を動かす弥生に、すっかりと劣情を煽られ、真矢のものは硬度を増して元に戻った。
真矢は膝立ちで弥生の後ろに経つと、臀たぶを掴んで少し広げた。
「弥生サン、挿入れるからね」
「挿入れてェ」
真矢がものを擦り付けると、弥生は腰を振って急かす。わけも分からず真矢は笑い出す。
「はは、も、むり。エロすぎ…」
理性がバラバラと音を立てて粉々になる。ペニスをアヌスに突き立てるとずぶ、と押し進める。
「弥生サン。俺の事若いと思ってるなら、自制効かないとおもわないと、危ないです、よッ。」
ずぶぶ。
「あっ、や、らめえッ」
一息に残りを挿入すると弥生はそれだけでイったようで、小刻みに痙攣し、ひんひん浅い呼吸で鳴いている。
ヘナヘナとベッドに伏せる弥生の頭を撫で、腰だけを持ち上げると、イったばかりの弥生を無視して真矢は腰を動かした。
「んお、や、ッは!…ぃイったばっ、かぁ…あひ!…ぁひいん」
真矢は腰をうちつけながら執拗に弥生の乳首をいじめる。
「んあ、ぅう、」
「乳首、ほんと好きなんすねッ」
ばちゅ、ん、と腰をうちつけて乳首をつねる。
背中に歯を立て、肩に跡をつける。乳首をばらばらと指で擦って時折引っ張ると弥生は良いとダメを繰り返して頭を振った。
「ああっあ、しんやくん真矢くんッ」
「やよいさんッ」
ばちゅん、ぐちゅ、ぱん、ぱん、
「ん、おお゛んあ、らめすひ、しんやく、すひ、すきぃ」
何度も、何度も、真矢は弥生の好きな前立腺を擦るように抉りながら腰をうちつけた。
「は、ッ、も、デるっ」
「、ぁあ゛ッ、ダしてダして好き好きスひ、は、」
「--ッく、あ!弥生サンッ、好き!」
「すき、!……ぁ…すきすき、あぅ、んあすき、……!っんオ゛、オカ、オカシ、や、らめすきイくアッああああッ、ぁあ!?…あああぁぁぁ」
どぷ、とぷ、
ゴムの中にドロドロとした濃いザーメンが吐き出され、弥生も真矢の手の中に精を吐き出した。
イったあとの弥生はまた泣いていた。自分ばかりありえないほど気持ちよくなって、意識がなくなりそうなくらい熱くて怖かった、と真矢に零した。
「真矢くん、」
「なに?」
二人ベッドへ倒れ込んだまま、真矢はまた弥生を抱きしめて涙を拭いてやる。内心はあんなに乱れる弥生にかなり興奮したので、八割は自分のせいだった。
「また会ってくれる?」
「…は、え?」
予想外の言葉に間抜けな声が出る。
「え、弥生サン、俺のこと好きって…」
「うん、好き。」
「俺も好きなんだけど、え、あれ、てっきり付き合える…のかと、」
二人の間に沈黙が流れる。
「…いいの?」
「いいに決まってるでしょ、びっくりした…」
安堵と少しの呆れみたいなものが混ざって、ふぅ、と真矢はため息を着く。
「だって、俺だけあんな気持ちよくなって、」
「弥生サン、それわざとなの?
俺が好きって言ってるんだから、弥生サンは俺に好かれてるって自覚してよ。」
それから声のトーンを落として耳に唇を寄せる。
「それとももう一回、身体で確かめる?」
弥生がさっと自分の体を庇う。
「あ、えや、それは勘弁して…ほらやっぱり真矢くんは三回くらいイってから挿入した方がよかったんだ…!」
弥生が真矢の手から逃れようと身をよじる。真矢は手をどかす気がない。
「俺みたいに29にもなるとね、三回目なんか出ないから…空イキするとちょっと苦しいんだから…!」
必死の抵抗が可笑しくて真矢は笑う。
「あは、ふふ、は、冗談だよ。そんな怯えないでよ。」
ぐ、と引き寄せて耳元で誓う。
「大事にする。弥生サンのこと。」
弥生も真矢の方を向き直る。
「うん、俺も。真矢くんのこと、大事にする…。」
「はは、ありがと。」
「シャワー浴びて、寝よっか。」
「うん。」
弥生の寝室には、朝日が差し込んでいた。
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