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第20話
「俺、お前に鍵渡した筈ないんだけど、どうやって入った?」
食卓の皿を一緒に片しながら、圭に問いた。
「健さん、不用心ですよね。開いてました。部屋の鍵」
「あー...」
朝、バタついていて鍵を閉め忘れて出勤したんだろう。
「またやったか、たまにあるんだよな、鍵の閉め忘れ」
「なんなら僕が合鍵預かってましょうか?用心棒にもなりますし」
圭の一言に俺の手が止まった。
彼氏の祐介にも、俺は合鍵を渡してはいなかった。
「嫌、てなら仕方ないですけど。今日みたいな事が続いていたら、いつ空き巣に入られるかわからないし、健さんが帰宅するまでに僕も夕飯の支度も出来ますから一石二鳥です」
悠長な物言いは16とは思えない説得力を感じた。
「仕事を終えて食事の支度、て大変でしょう。外食ばかりでは不健康ですし。それに」
圭は纏めた皿をシンクに持っていき、俺はキッチンに立つ背中を見つめた。
「僕も自宅で1人で食事するよりも誰かと食べると美味しいとわかりましたから」
大人びた物言いとは裏腹に、圭の耳が赤くなっているのを見逃さなかった。
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