30 / 30

終章~第30話 エピローグ~

 私はアルデリア王国の第1王子だ。  生まれた時、ステータスカードにより、メイルと判明しているからダッドが王になれば第一王位継承権を持つことになる。  しかし、アルデリアの王になるのには、それだけでは足りない。王としての資質が必要になる。歴史を紐解いてみれば、ただ単に一番年上で王配の子だからと王になった者は少ない。  特に守護龍が現れた後の英雄王は第5王子だった。  800年も前の王だが、今でも一番慕われている王だ。  代々の王の肖像画が飾られている回廊で、一番大きな肖像画が英雄王と、王配、そして一番長く連れ添った竜が描かれている。  蒼銀の竜騎士とも呼ばれた英雄王はフィメルのように美しい。  王配のドナートは今の辺境伯リュシオーンの血筋で私の持つ髪と同じ赤い髪だった。  よく似ていると言われるので度々肖像画を見に行っていた。  その日も勉強の合間にこっそりと見に行ったそこに、あのお方がいた。  紺の長い髪に、水色の瞳、絶世の美貌を持つ青年。  英雄王の家族の肖像画の前で懐かしそうな目でその絵を見ていた。  こんな奥まで部外者が入ることはない。  見知らぬ美しい人に、まだ幼かった私は見惚れ、恋をした。 「あれ? ドナート? じゃねえな。王子か。可愛いな。」  手が伸びてきてくしゃりと髪を乱すように撫でられた。 「ぼ、僕は、ベルンハルト、第1王子でしゅ……」  噛んだ!噛んでしまった! 「初めまして。俺はヒューだ。竜騎士の装備を届けに来た業者なんだが……王城とはいえ、一人でうろつくのは感心しないよ。送っていこう。」  優しげな笑顔を見せたヒュー殿は自室に送り届けてくれた。そして私は探していた侍従に見つかり怒られて勉強部屋に戻された。  竜騎士、とヒュー殿は言っていたので私はその時から竜騎士を目指した。  ヒュー殿に会えることを夢見て。

ともだちにシェアしよう!