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第10-2話優しく甘く飢える日々
鈍いようで察しが良い。真太郎のこういう一面も好きだ。
分かった上で応えようとしてくれているのなら、俺も遠慮なくできるというものだ。
ご飯の上に生姜焼きの肉を乗せ、甘辛い味をひとまとめで堪能した後。俺は腕を組んで大仰に唸ってみせる。
「うーむ。真太郎がそう望むっているなら、俺としても全力で応えたいところだな」
「こら待て。わざとひどい扱いをしようと考えないでくれ。こういうことはその時の雰囲気とか体調とか、色々絡んでくるだろ。最初から狙ってやろうとしないでくれ」
「そうは言っても準備は必要だからな。思い付きで変なことやって、真太郎を痛めつけたくないからな」
「……立て続けに体をおかしくさせられるのは、かなりキツいんだが」
「もう体が悦んでイく癖がついてるもんな。道具のおかげで始めのほうから連続でイく感覚掴んでるし」
「はっ……! まさか、最初から体がこうなることを狙って――」
「いやあ、こういうことは相性とか資質とかあるから、狙ってできるもんじゃないんだよなあ。真太郎の体がそれだけ気持ち良いことが好きだったってことだ」
顔をますます赤くしながら言い下がってくる真太郎へ、俺はにっこりと笑って断言する。嘘は言っていない。
俺からの真実に真太郎ががくりとうなだれる。そうして羞恥に耐え切れず小首を何度も横へ振るばかりだ。きっと自分にそうじゃないと言い聞かせているのだろう。
そんな真太郎を眺めながら、俺は密かに思案する。
どうすれば俺でもっと悦びを覚え、より快楽の深みに沈めることができるだろうか、と。
また真太郎が欲しいという飢えが、胸奥から這い上がってくる。
取り敢えずは今夜、まだ敏感さが増しているその身を優しく愛でて、ともに眠りにつこう。
もう二度と悪夢を見ないように。
夢の中でも寄り添えるように――。
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