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第3-2話目を疑う光景

「わざわざここまで運転してくれて、ありがとう詠士。本当に助かる」 「気にするな真太郎。良いドライブ日和だ、俺はしばらく近辺で車を走らせて遊んでくるから。昼前には帰れるんだろ? 良さげな蕎麦処を探しておくぞ」 「そうか、楽しみにしている。じゃあ頑張ってくるよ」 「おう。あんまり力入れ過ぎないようにな。リラックスと情報かっ詰め過ぎに気をつけろよ」  二人の親しげで和やかなやり取りを見れば見るほど、俺の頭は混乱するばかりだ。  しかも話している間、ずっと手を取り合ったまま。明らかに普通の距離感ではない。  そうして男が運転席へと戻り、窓を開けてにこやかに手を振りながら駐車場を離れていく。  日差しを浴びて眩いばかりの黄色い外車を見送ってから、武井は俺へ体を向けて軽く会釈した。 「おはようございます、浜松さん。本日はよろしくお願い致します」  まるで陽だまりのような微笑を浮かべながらの挨拶。  あの武井が。こんなに満ち足りた空気を放って、俺と向き合っている。 「……お、おはようございます、武井さん。こちらこそ本日はよろしくお願いします」  どうにか型通りの挨拶をして、俺は踵を返して建物へと足先を向けた。

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