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第1-1話事後の後悔
「……困った……」
布団の上で気だるい体を放り出したまま、私は呻くように呟く。
「ん? どうした真太郎」
終わった後の始末をして隣で横になったばかりの詠士が、私を見つめながら尋ねてくる。
まだ事後の熱が引いていないのか裸のままだ。もう夏の入り口。私も浴衣を着直す気になれず――何度も抱かれた疲れで、動くのが億劫だ――同様に裸だ。
ここしばらくのことで何も思わないのだろうか、詠士は?
まったく思い至っていない彼に理解してもらわなければと、私はしっかりと詠士の目を見据えて答える。
「最近、こういったことをする回数が増え過ぎてないか?」
「こういったこと?」
「昼間から行為に及んで、午後の予定が丸つぶれになってばかりだろ。生活に支障が出てしまっている」
本当に困っているのだと分かってもらいたくて、眼差しをグッと強めて訴える。私が深刻に考えているのが伝わったのか、詠士の表情が引き締まった。
「まあ、確かにそれはあるな。でも俺は仕事に穴は開けていないし、ここしばらく雨で外に出にくかった分、こっちで体を動かしてたから良い運動になってるし、特に問題はないと思う。予定は未定。変わって当然だし、真太郎もやりたかったんだし――」
「君はしっかりやるべきことをこなしている。素直にすごいと思う。しかしな……私は駄目なんだ。その、何度も後ろで達してしまうと、しばらく身動きが取れない……そのせいで自分の役目をまったく果たせていない」
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