こうなってしまうことを最初から分かっていたと言わんばかりに、詠士はニマニマと私を見つめてくる。 　まだ快感の余韻が続いているせいで、その視線だけで体が昂り始めてしまう。 　どう足掻いても私が辿る道は、詠士との交わりに溺れ、沈むしかないらしい。 　顔を熱くして恨めしさを込めて睨んでも、詠士はまったく堪えない。むしろこうなる私を見たかったと、笑顔を浮かべて物語る。 　はぁ……、と大きくため息をつき、私は詠士へ身を寄せる。 　そして小さく息を呑み込んでから、喜びに溢れた詠士の目と視線を合わせた。 「本当に……当たり前になったら、支障が出なくなるのか？」 「多分な。俺としては支障出しっぱなしで、俺のことで身悶える真太郎で居て欲しいから、もっと気持ち良いことを教えていくけどな」 「勘弁してくれ。この年で、そんな取り返しがつかなくなることを……」 「今さらだろ。俺を選んでくれた時点で諦めてくれ。後悔させないから……な？」 「……まったく、君は……ン――」 　呆れの言葉は詠士の唇によって防がれる。 　じんわり、と。どこまでも甘く優しい疼きが込み上げて私を包み込む。 　体が間もなく得られる快楽を思い出し、腰の奥が勝手に期待してヒクヒクと脈打つ。 　こうなってしまうともう止まれない。 　私は力の入らない腕を伸ばし、詠士に抱き着く。そうして詠士が思い描いた顛末に向けて、身を委ねていった。