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ペットじゃねえよ 1
「あいつ」との出会いは小学校だった。同じ学校の、同じクラス。五年生、六年生のどちらだったのかは忘れたけれど、その頃はただ同じクラスというだけでそれ以上の接点はなかった。クラスの女子から、背が高くて格好いいというだけでかなりモテていた。
学区が同じだったから中学も同じところへ進学。一年、二年は別々で、三年生になってまたも同じクラスになった。あー、また一緒か~って。再会の喜びはなかった。
夏になると、俺はよく図書室へ通った。そんなに友達もいなかったし、周りもなぜか俺を煙たがった。暑苦しいし、一人の方が気楽だった。
進学をするべく、クーラーの利いた図書室で高校受験の勉強をしている際、俺の向かいに「あいつ」が来た。持っていたのは参考書じゃなくて、漫画の三国志。余裕かよって内心舌打ちをしつつも、集中力が切れていたせいで勉強に集中ができず……
『なあ、それっておもしろい?』
暇だったから、声をかけた。自分から声をかけるなんて、自分で自分に驚いた。
「あいつ」も……神木 も、切れ長の目をうっすらと開いて俺を見た。
きっかけなんて、そんな些細なもんだった。神木は普段は物静かで、俺も騒がしいのが嫌いだった。かといって、騒ぐことが嫌いなわけじゃなく、神木もまあまあ口煩かった。
なんとなくつるみ始めて、なんとなく仲良くなって、たまたま同じ高校へ進学した。
またもクラスは別だったけど、神木のいるクラスへしょっちゅう遊びに行ったし、神木も俺に会いに来た。
登下校も同じ、帰宅後も一緒、寝る時だけ互いの家に帰って別々になる。
ああ、すげえ居心地いいなって思い始めた頃、俺は一つの秘密を抱えた。
誰にも言えない、一つの秘密を。
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