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ペットじゃねえよ 14
「はあっ……はあっ……ん、足りな……」
何かを口走りそうになったところを、俺は自分の手で押さえ込んだ。
駄目だ、それは。奴隷でも社畜でも、男としての尊厳は貫いてきただろう? 目の前にある甘い蜜を飲んだら最後……今後、俺はこいつを拒めなくなる。
駄目だ。耐えろ!
止まらない性欲を、必死でやり過ごそうとして身を屈める。しかし下ではまだ、「魔王」が俺の勃起し続ける肉棒を掴んで離さない。
ああ、見るな。その暗い海の色、「あいつ」と同じ瞳の色なんだよ……!
「エイシ、どうして欲しい?」
あれだけ乾いていたのに、これも魔法の力か? すっかり潤った喉から溢れ出たのは、聞くに耐えない甘え声だった。
「はあっ……はあ……ん……も、からだっ……疼くっ……の……お願いっ……も、挿れてぇ……!」
「堪らないな……俺の可愛いペット」
ペットじゃねえよ。
ぐちゃぐちゃに掻き回される頭の中で、俺はこいつと、俺自身に唾を吐いた。
ああ、くそっ……。男に抱かれるなんざ、一生ないと思っていたのに。それも常人の遥か上のサイズの肉棒で。
元は狭い「中」を指の何倍もの質量でこじ開けられ、激しく擦られ、悲鳴に近い声であえぐ様は、さぞ愉快で滑稽だろう。それが痛みによるものか、快感によるものか、いずれにしても涎を垂らしまくって「もっと」、「もっと」と繰り返す様は無様なことこの上ない。
「んんっ……そこっ、ああんっ……! いい……気持ち、いいっ……!」
「エイシ……!」
あれだけ反抗的な態度をとり続けていたというのに、理性すら失って快楽に溺れ、自ら腰を振る俺はきっとおもしろいんだろうな。
「魔王」が俺の中でその欲を吐き出すと同時に、俺も果ててベッドへと崩れ落ちた。
はあ……
どうせ抱かれるんなら、こんな絶世イケメンじゃなくて、そこそこイケメンだったお前が良かったよ。
神木……
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