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【2020/05 教育】⑤ (*)

《第2週 月曜日 昼 リプレイ》 「汚れるから、下、全部脱ぎな」 言われる通り、靴を脱いで揃えてソファの脇に置き、脱いだものは皺にならないようハンガーにかけて先程白衣をかけたところに一緒に下げた。 戻るとソファに座面に折りたたんだタオルが掛けられているのでそこに座る。 「とりあえず余計なことは考えられないようにすればいいんだよね」 「とりあえずってなんだよ」 ハルくんはラチェット式のベルトのロックを外し、左手に引き抜いて先を丸めて金具と一緒に握り、斜めに振り抜いた。脇腹の皮膚を弾く音がして、刺すような痛みが走る。 「口答えするんじゃないよ」 靴のまま、おれの膝に足を野せて目の前で脚を開く。ジッパーを下ろして半勃ちのものを下着の開きから取り出すと、髪の毛を鷲掴んで引いて押し付けた。 「こういうときはどうするんだったっけ?」 ハルくんの足を床に下ろし、自分も膝をついて座り直す。タオルも床に敷いた。 「ごめんなさい、ハルくんの慰みものにしてください」 「いいんだね?じゃあさっき言ったとおりにしてあげようね」 再び髪の毛を鷲掴んで引いて、押し付けられた肉塊を口に含む。表面は柔いが十分に熱帯びている。歯を立てて軽くあてながら先頭の丸い部分をしゃぶり、鈴口に舌先を尖らせて擦り付ける。青筋立ちピクピクと振れ、徐々に赤黒くそそり立っていく。 容赦なく後頭部を押され、硬くなったものが一気に喉奥に当たった。ハルくんは呻くように声を漏らし、咽頭口蓋を抉じ開けて抜き差しを始める。 長年の吐き癖で弱くなっている筈の嘔吐反応が蘇り、猛烈な吐き気が起きる。気道が圧迫されて息ができない。ハルくんが握っているベルトを掴んで、縋り付いて耐える。 「ねえ、吐くまでやっていいって言ったよね。自分で言ったんだからちゃんとしな」 おれの頭を前後に揺すり、自らも腰を振って何度も音を立てて喉奥から上顎を往復させる。 やがて何の予告もなく口内で放出された精液が糸を引いて垂れ、続けて、開放された喉が吐き出した甘ったるい匂いの液体の中と、溶けかけのカプセルや錠剤が混じりあって床に敷いたバスタオルの上に落ちる。 ハルくんがしゃがんで、おれの顔を覗き込む。 乱暴に襟を引っ張って、顕になった首筋に噛み付き、強く吸う。 痛みに 震え、声にならない声で喘ぐ。自分の呼気がひどく熱い。 苦しそうに涙ぐんだまま肩で息をしてはいるが、下半身は正直だ。 「次どうするのかわかってる?準備できてんでしょ?」 床のタオルをゴミ箱に押し込んで、別のタオルをソファに敷いた。 更にその上にクッションを置き、防水シートとバスタオルをかける。 玲は横たわりクッションの部分に腰を載せた。 片脚を開かせ、背凭れに上げさせ、 セーターの裾を首元近くまで捲り上げると、体毛のない少年のような白い体が曝け出された。 左胸に2つ、淡い色の2mmほどの黒子が並んでいて目立つ。それより、女性のように膨らみ、カフスバーベルを通された両の乳頭が異質で目を引く。 グローブを嵌め、ローションを垂らして馴染ませ、その手の指の腹で乳頭の先端を撫でる。声が出そうになったのか、咄嗟に自分で口元を押さえる。吐いてた時とは違う、ぬめるような濡れた目で首を横に振る。 「どうせ痛いのが好くて自分で触ったでしょ、正直に言いなよ。創傷学教えてる人間に嘘ついたっていいことないよ」 もう一度首を横に振る。 素直じゃないな。 そのとき、ドアを軽く、おそるおそるノックするのが聞こえた。 はっとして指を立てて口元に当てる。 しばらく間が空いて、二度、ノックするのが聞こえたが、諦めたのかやや暫くすると足音は遠ざかっていった。 会陰の辺りから濡れた両の親指を滑らせて、縦に割れた溝に押し込むと何の抵抗もなく飲み込んだ。そのままゆっくり抉じ開けると完全に口が開く。 中に仕込まれていたウエットトラストが零れる。 「アキくん、今の誰かなあ」 タイミング悪いな、肝が冷えた。 「ねえ、このあと2枠授業だったよね」 コンドームを着けずに先端を押し当てる。 ようやく、声を出して抗った。 「やだ」 「やだじゃないよ、中に出されたってアキくん自身は何にも嫌じゃないでしょ。授業中生理反応で下したら自力で意識して止めるとかできないから今は出しちゃダメなんでしょ?違う?」 返事を待たずに根本まで一気に滑り込ませる。 グローブは外してゴミ箱に放った。 細い体に覆いかぶさるとソファの台座のスプリングが僅かに軋む。 「ねえ、何でそうやって絶対ダメなタイミングで、見つかったら社会的に死ぬような場所でしたがるの?なんでおれを怒らせたがるの?」 浮言のように謝罪を繰り返すけど、よく聞き取れない。 手術の後遺症で麻痺が残る口角から涎が伝う。舌で拭って、そのまま口付けて舌を差し入れると舌下を舐め上げられて目の奥で火花が散る。 額を覆うカールした髪の毛を掻き上げて、化粧でカバーリングされている額の傷を撫でた。 「アキくん、さっきの子まだ居たらどうする?聞かれてるかもしれないよ、おれたちがしてること」 かぶりを振って目を潤ませる。 なんでそんなに臆病なのに、そんなことしたがるの。 a あんなことさえなければ出会うことはなかった。 でも。 あんなことがなければ玲は狂わずに済んだのに。 いつもそう。 苛立ってるときに煽られて怒りに任せて抱いても、体に手を加えるときも、手当するときも。 膚の肌理とか体温とか、匂いとか味、滑って吸い付く粘膜の感触とか伝わる震え、普段聞かないような甘えた声や人に見せない表情とかに湧き上がる、 慈しみや愛しさとか、そういうもの。 そこに、好意を利用されていることの悔しさとか虚しさ、事件に対する悲しみや憤り、憎しみというものが内混ぜになって押し寄せてくる。 「ハルくん、泣かないで」 細い指が優しく頬を撫でる。 違う、おれは、泣いてなんかいない。 「全部おれが悪いんだよ」 違う、そんなこと絶対にない。 お願いだ、そんなこと言うな。 「ごめんなさいハルくん」 堪えきれず左の掌で口を塞ぐ。 呼吸を阻まれた身体が強張る。 右の手で背凭れを掴んで身を起こして、柔らかい内部を抉ると声を漏らし仰け反った。 久しぶりに聞いた嬌声に存分に昂ぶった性器で執拗に中を探る。 不随意に括約筋が痙攣し、込み上げる感覚を得て引き抜くと、肋骨が浮き上がった胸部に吐精した。 敷いていたタオルを引き抜いて拭う。 「いいから。片付けはやっといてあげるから、早く授業行きな遅刻するよ」 「ひどい、まだおれはイッてないのに」 不完全燃焼に不満を言いつつ手早く身支度を済ませ、背後から抱きついてきた。 「ハルくん、今でもおれのこと好き?」 子供が内緒話をするように耳元で囁く。 血潮が胸の奥から首筋まで駆け上がる。 本当は言いたい。 【好きじゃなかったら、本気で殴ってる】 何も言わず肯首するのを見て満足したのか、そっと腕を解いて部屋を出て行った。 初めて会ったあの日。 春の連休が明けた暖かい日に、教室に行けず保健室に篭り、独り布団に包まって泣いていたおれを、跪いて不思議そうに見つめて、頬を撫でてくれた。 あの日から、ずっとずっと、おれは苦しい。 汗ばんだ背中にはシャツの生地が張り付いている。 身体が酷くだるい。 早く帰ってシャワーを浴びて、とりあえず一旦寝て、明日の準備をしないと。

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