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【2020/05 業】②

《第二週 金曜日 昼》 目が覚めたら11時を過ぎていた。 玲は明け方まで何度も絡まって、おれ完全にが尽きて事が終わると独りで洗い流して支度して出ていった。 毎回思うけど、あの窶れた体のどこにそんな体力があるんだろう。 救命救急センターで亡くなった方の遺体をひとりで引き取りに来たこともあるし、解剖室に付いて行って剖検を行う姿も実際に何度か見たことはある。 普段から独特な物静かさや剣呑な気配を纏ってはいるが、そのような時は何かに取り憑かれているような感じさえあって、迂闊に言葉をかけられる雰囲気ではない。 ある意味天職で、ある意味で業なのだと思う。 あのような目に遭わなければおそらく、こんな仕事に就くことはなかったし、おれとも出会うこともなかっただろう。 それより、暫く母をシカトしてたのでそろそろ行かないとならないとは少し前にLINEで書いていたが、相変わらず微妙な関係なんだろうか。 それと、出て行くとき、予約入れといて次の明けにちゃんと髪切れ言ってたけど、そんな乱れた生活してる人に言われてもなあ。 どうせ自分だって何日単位とかで帰らないでフラフラしてんのにね。 とは思いつつもウェブサイトから予約を申し込んだ。 完了メールが返ってきたのを確認して再び布団に潜った。 夜が明けるまでに交わされていたことを具に思い出す。 いつもああ素直だったらいいのに。 人を怒らせようとしたり、試すようなことを言うし、驚くようなことするけど、そんなことしなくていいのに。 おれに只抱かれてることなんか殆ど無くて、欲求が抑えられなくなるとひっくり返して襲いかかってくることもあるし、そのやり方がエグいから面食らう。 おとなしくできないのは何故なのか。 殴ったり蹴ったり叩いたり拘束したり首を絞めたりされなければ取り戻せない正気なんか要らない、狂ったなら狂ったままだっていい。 正気の部分なんて正直あるのか? 互いに脚の間に頭を埋めて舐め合ったり、おれの脚にしがみついて貪るようにしている間、喰い千切られても構わないとさえ思う。 全部奪ってくれていい。 おれは性器を失くしても玲を愛すると思う。 玲はおれが性器を失ったらどうするだろう。 そんなところ、舌を尖らせて挿し入れて舐めないで。 歯を立てて擽らないで。 甘咬みしないで。 爪立ててなぞらないで。 舌のピアス押し付けないで。 上顎に擦り付けないで。 喉まで入れなくていいよ。 どこでそんなこと覚えてくるんだよ。 何処かで誰かにされてきたことなんでしょ。 でも、熱に浮かされたような潤んだ目で「ハルくんが一番好き」なんて言われたら、そんなこと言えない。 その言葉が嘘だって全然構わない。 誠意も見返りもいらない。 思うまま存分に搾取すればいい。

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