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【1989/05 komm tanz mit mir Ⅱ】③ (*)
おれの舌を味わっていたアキくんの唇が離れたとき、アキくんが「ハルくん、ミントのいい匂いがする。からくなかったらアキくんもおんなじの使うのに」と呟いた。
「アキくんはそのままでいいよ、果物の甘い匂いがするほうが似合ってる」
今日のアキくんは葡萄の匂いだ。おれは体勢を返して、アキくんを俯せにして項から背中に口づけていく。ふとその途中、その薄い柔い皮膚に歯を立ててみたくなって、肩から首の間の曲線上と二の腕を甘咬みした。
小さく声を上げるアキくんの口元をそっと塞いで耳元で「だめだよ、お父さんとお母さんに聞かれちゃうよ」と言うと、アキくんの体温が心做しか上がる。そのまま耳介に犬歯の先を滑らせると小刻みに震えてアキくんは堪えていた。
その時、部屋の扉の金具が僅かに動く音がした。もしかして本当に聞かれていた?明日、朝起きたら出ていってくれって言われたらどうしよう。一瞬そうは思ったけど、それならそれで思う存分今のうちにアキくんと触れておこうとおれは開き直った。
左の手の先を脇腹に滑らせて、その指でアキくんの小さくも尖った胸の突起に触れ、先端を指の腹で転がす。膨らんできたそれを抓み慰むとアキくんは我慢しきれず途切れ途切れに声を小さく漏らした。右の手でその口元を塞ぐ。
アキくんの足の間におれは自分のものを差し入れて、アキくんの脚を左右から自分の脚で押さえ込んで夢中で腰を振っているとアキくんが「ハルくん、まって」と言った。一旦起き上がるとアキくんがベッドの壁側に這っていき床板の下に手を入れる。
するとそこから包装の繋がったままのコンドームと、小さいラミネートチューブに入ったローションが出てきた。驚きすぎて、冷静になったし、思わず普通に「え、それ、どうやって買ったの…」と言った。
「お母さんがときどき頼んでる通販のカタログにあったからFAXで頼んだの、お小遣い元々あんまり使わないし。日付と時間指定すれば絶対アキくんしかいないときにちゃんと届くんだよ」
そういや、この家の電話機の親機、FAXつきだった気がする。いや、それにしたって。届いた後の箱とかどうしたんだろう、マンションだし直ぐ畳んで集積所に持っていけばいいからバレないのか。包装も破いて捨てちゃえばわかんないか。
「なんで買おうと思ったの…アキくんおれがはじめてじゃなかったの…」
「はじめてだよ?してみたくて、でもお父さんにもダメって言われて、他に誰にも言えないから一人でしようと思って、それで…」
そう言うと更に奥から小さいボールをつなげたようなものからなかなかにエグい形の物まで何個か出てきたりした。ちなみに、このベッドは手前のほうが引き出しになっていて、奥のほうの床は20cmほど空きがあるものの見えない構造になっている。
あと、ベッドの設置されている位置的におれやアキくんの手くらいなら入るけど、大人の手だとずらさないとちょっと難しい。そしてベッド下に収納があえい物が結構詰まっているベッド自体そこそこ重いので動かすことはないという。
いや、それにしたってアキくん、探究心と小遣いと脳のリソースの使い方が暴走している。
一度気になったら試してみるなり調べたりしないと気が済まないというか、こだわりが強いというか、そういう気質なんだろうけど、反面ゲームしているのなんか見ているとうまくいこうがいくまいが楽しければいいやって部分もあるし、極端だ。
「ハルくん、今日はもうやめる?」
気がつくと、戸惑いを隠しきれないおれを見て、ちょっとアキくんはしゅんとしていた。
「一旦今使うもの以外は片付けて。続きしよう」
頷いて、コンドーム一枚とローション以外はベッドの隙間に片付けてから、アキくんがおれに抱きついた。
「じゃあ、アキくんがゴムつけてあげる」
手にローションを少しとって、唇をすり合わせたり甘咬みしたり、焦らすようにキスしながらおれの濡れそぼった先端を包んで優しく撫でた。
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