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【1989/05 komm tanz mit mir Ⅱ】⑩ (*)

部屋に戻ると、アキくんはベッドのど真ん中を専有して、壁側に頭を向けて丸くなって寝ていた。 「アキくん、寝るとこないよ入れて」 強引に壁の方に押してベッドに入ると、アキくんが目も開かないまま寝返りを打っておれに抱きついた。  「ハルくんなんか甘いおいしい匂いがする…」 目が覚めてしまって起きたら、お父さんがトーストやホットケーキを出してくれたことを教えると、目を見開いていきなり大きな声をだした。 「え~!あののこりのほっとけーきたべちゃったの?ずるーい!」 そして、顔を寄せておれの唇にキスして、唇をなめた。 「ハルくん、匂いだけじゃなくて、ほんとに甘いね」 囁くように言って、もう一度唇を重ねて、おれの舌を探った。 さっきまで聴いていた話の重さで体が過剰に緊張していたのが緩み、体温が上がる。 アキくんの腰に手を回して引き寄せると、窶れた体から浮き上がっている関節な大きな部分の骨が当たる感触や、それに反するように見ためより柔らかな部分が布団の中で十分温まっていた体温を含んでおれの身体に絡みつく。 そして、柔らかな舌の感触と粘膜の温度感、互いの匂いと甘い匂いとが混じり合い、濡れた音が籠もる薄暗い狭い空間の中で、どうしようもなく情欲が掻き立てられていく。 「アキくん、今、朝っぱらからしたいって言ったら怒る?」 「え、なんで?おこんないよ?」 アキくんは壁側を向いて、ベッドの脇からコンドームとローションを出した。 「ハルくん、自分でつけてみる?アキくんにつけてほしい?どっち?」 「自分でやってみる、アキくんそのまま壁のほう向いてて」 おれは手探りで包装を開け、寝間着のボトムスを下着ごと下げて、迷いながらもアキくんがしてくれたようにローションを馴染ませてから装着して、外側からもローションをも塗布した。その間にアキくんも下半分を脱いだ。 横臥するアキくんを後ろから抱き寄せて、寝間着のボタンの上半分を外し、引っぱって剥き出した項から肩甲骨の内側に口づけて、舌を這わせた。アキくんは僅かに声を漏らしたけど、もうバレていると思えばそのくらいは気にならなかった。 項と耳の下の間の柔い部分を甘咬みしながら、おれはアキくんの後孔をローションをつけた指で探り、中指と薬指で抉じ開けた。そのまま屹立した先端を押し当てて中に入り込む。アキくんの直の体温に包まれると、一気に理性は溶けた。 おれは腰を揺すりながらアキくんの首筋か肩口の皮膚を夢中で口に含み、甘咬みと吸引を繰り返した。脇から腕を入れて引き、脚を絡めてアキくんの体を反らせると、中の膨らみで強く擦りつけられることに気づいた。 それをするとアキくんは苦しそうに息をつきながらも、中をひくつかせて甘い声を漏らした。その耳元でアキくんに何度もうわ言のようにおれはかわいいと囁いた。無意識だった。 やがてアキくんの体が大きく震え、急激に脱力した。汗にまみれて余韻に震えているアキくんの体を引き寄せて、夢中で続けた。 アキくんは再び喚起される快楽に震える手でおれの頬を撫でて、何度も泣き出しそうな声で「ハルくん、好き」と繰り返して言った。そしておれが達すると、中の動きでわかるのかアキくんは顔を少しこちらに向けて微笑んだ。 達しても尚おさまりがつかないそれをアキくんの後孔に指を当てて開きながら引き抜く。おれのものが抜けた後もそこは健気に開き、ひくひくと震えている。 正直、世間で言われている所謂賢者モードなんか来なくて、もう一回いけるとは思ったけど、昨日が初めてで、昨日の朝から数えたらもう3回目で、バレてて何も遠慮はいらないとわかってても、朝から2回戦は流石にどうかと思いやめた。 コンドームを外して結んで厳重に包んだ上でゴミ箱に入れて、アキくんと抱き合って何度も啄むように互いの顔や体やキスし合いながら、もう一度眠った。

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