233 / 566

雲雀(ひばり)5 side蓮

「あっ…ぁ…ぁっ…」 おまえの甘い声 ベッドの軋む音 肌と肌のぶつかる音 どちらのものかもわからない獣のような息遣い 混じりあった濃厚なフェロモンの香り 「っ…楓っ…かえでっ…」 「あ、ぁっ…蓮くん、もっとっ…もっとぉっ…」 まるで獣になったみたいだ 俺の下で甘やかな声を惜しげもなく撒き散らし 俺の為だけに身体を開くこの愛しい獲物を ただ思うがままに蹂躙することしか考えられなくなる 考えなきゃいけないことがたくさんあるはずなのに…… 欲望に突き動かされるままに、腰を振り。 ただ、尽きることのない快楽を追い求める。 「あっ…あーっ…イクっ…また、イクっ…」 瞬間、ぎゅっと俺を包む肉が締まって。 「っ…くっ…」 「あぁっ…」 もう何度目かもわからない精液が楓の白い腹を汚すのを見ながら、その最奥へ解き放った。 それでもまだ、荒れ狂う欲望の嵐は収まらなくて。 でも、それは楓も同じようで。 俺を包む肉壁が、もっととでも強請るように収縮して離さない。 「蓮くん…もっと…」 淫靡な色を湛えた瞳が、快楽の泉の底の、さらにもっと奥へと誘う。 「ああ…」 伸ばされた手を取り、抱き締めて。 噛み付くように唇を重ねた。 「んんっ…んっ…ん…ふっ…」 楓の手が、足が。 もう離れないとでもいいたげに、俺に絡み付く。 俺たちの間に空気の入る隙間すら、許せなくて。 骨が軋むほどの力で、抱き寄せた。 「蓮くん…もっとして…もっと蓮くんを刻み付けて…」 何度も夢に見た俺を呼ぶ声が、鼓膜を揺らす。 導かれるようにまた腰を動かせば、絡み合った場所から圧倒的な快感が生まれて。 「あーっ…あっ…やっ…あんっ…」 その渦の中へ、二人で飲み込まれていく。 いくら達しても足りない もっと、俺の楔を打ち込みたい 髪の毛の一本まで、おまえの全てを俺のものにしたい こんなことを思うのはおまえだけ 運命の番である、おまえだけなんだ 「楓っ…楓…愛してる」 「ん、んっ…蓮くん…俺もっ…あい、してるっ…」 「もう二度と、俺から離れるなっ…」 「んんんっ…蓮くん、きちゃうっ…また、くるっ…」 精が尽きても 互いを求める衝動は収まらなくて 狂った獣のように貪りあう俺たちを 十六夜の月が見下ろしていた

ともだちにシェアしよう!