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雲雀(ひばり)6 side楓
目が覚めると、辺りはまだ暗くて。
窓から差し込む月明かりが、部屋を青白く照らしていた。
傍らには、愛おしい人が健やかな寝息を立てて眠っている。
「…蓮くん…」
愛しい名前を呟くと、目の奥がぎゅーっと熱くなってしまって。
零れそうになった涙を、慌てて手の甲で拭った。
「…ごめんね…」
こんなはずじゃ、なかった
ただ、一目会いたかっただけだった
会って
ちゃんと謝りたかった
あのこを守れなかったこと
大切なブレスレットを失くしてしまったこと
許してもらえるなんて思ってないけど
それでも謝りたかった
それがたとえ自己満足でも
顔を見て謝って
それで全部を終わりにしようと思ってた
そのために
今日まで歯を食い縛って生きてきたはずだったのに
最後の最後になって
どうしても勇気が出なかった
君に拒絶されるのが怖くて
耐えられなくて……
でも
本当はどこかで期待していたのかもしれない
蓮くんに
こんな風に愛されることを
俺にはもう
君に愛してもらう資格なんてないのに
「ごめん…ごめん…ごめんなさい…」
こんなに汚くて意気地無しで
卑怯者の俺が
誰よりも綺麗な君の側にいちゃいけない
俺は今度こそ
君の前から消えなくちゃいけない
「ごめんなさい…蓮くん、ごめん…」
俺が
あなたの運命でごめんね………
未だその左手首にある懐かしいブレスレットにそっと触れようとした時、微かなバイブ音が聞こえてきて。
蓮くんを起こさないように、そっとベッドを抜け出し、鞄の底の方に入ってたスマホを取り出した。
『…遅いよ、ヒメちゃん』
「…ごめんなさい」
蓮くんを起こさないように、玄関の方へと移動しながら、聞こえてきた不機嫌な声に答える。
『もしかして、運命の彼と盛り上がっちゃって、こんな時間までセックスしまくってた?』
その問いには答えないで黙っていると。
これ見よがしな溜め息が聞こえた。
『…まぁ、いいや。君のフェロモン値は、そのピアスと連動した君のスマホからデータが送られてきてるから、解析すればわかるからね。で、聞きたいんだけど。20:56、それまで完全に抑え込めてたフェロモンが一気に溢れちゃったよね?なにがあったの?』
「…彼に、腕を握られました」
『え?それだけ?射精されたとかじゃなくて?』
「…それだけです」
答えると。
うーんと唸って、なにかを考えるような沈黙が落ち。
カタカタとキーボードを叩く音だけが聞こえてくる。
『規定量の10倍の薬を使っても、一瞬でパーなのか…それは、相手が運命の番だからってことなのか…?量の問題じゃないのかな…』
やがて、独り言のような言葉が聞こえてきたから、黙って聞いていると。
『それで、彼に触られて。そのままヒートが起きたの?』
今度は質問が飛んできた。
「…いえ。ヒートじゃ、ないです」
『え?』
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