41 / 41

スピンオフ【新✕伊吹】

『スピンオフ【新✕伊吹】書かせていただきました』 「――ねえ、セックスしたい」 「無理だね。明日は朝から店の仕込みがある」 素っ気ない態度の恋人に恵藤 新は頬を膨らませ、不満を露にした。 「もう!伊吹さんいっつもそれ!前にしたのいつだと思ってんの!?」 首元に回ってきた腕をそのままに、漣 伊吹は思案する素振りを態とらしく見せる。 「えーっと、二週間前だったかな?」 「そう!そうです!二週間前!」 「まだ二週間しか経ってないよ?」 「二週間も経ってるの!」 相反する二人の意見。 「うーん……でもこれは浮気した君へのお仕置きだから」 ね?と優しい笑みを浮かべる伊吹だが、その言動は些か穏やかなものではない。 「それは伊吹さんも同意の上だった。ってか伊吹さんがそうしてあげたらって言うから……」 「それでも彼が怖気づかなかったら、君は彼を抱いていたんだろう?」 新の友人には、長年片想いしてる者がいた。 いつまでも煮え切らない想いを持ち続け、傷付く彼を隣で見ているのは、もどかしいのだと新は伊吹に相談していた。 そこで出たのが「それなら君がけしかけてやればいい」と言う伊吹の提案だ。 「抱かないよ。元々最後まではしないつもりだったし。それに……伊吹さんは佑真が怖気付くことも計算済だったんだろ?分かるよ……アンタはそう言う計算高い人だ」 鮮やかな金髪の頭をぐりぐりと伊吹の項へと擦り付ける。 「それは買いかぶり過ぎだよ。人の行動は予測不能な事ばかりだからね」 肩を竦めて笑う伊吹に、新は内心良く言うと呆れた。 この人はいつだって俺の心を弄ぶくせに。 「ね、伊吹さんお願い。もう嘘でもあんな事したりしないから。俺、反省してる」 「うーん、どうしようかな」 伊吹は変わらず思案の素振りを見せるが、本当はもう心が決まっている事を新も分かっていた。 「それじゃあ、許すには一つ条件がある」 「何?俺、伊吹さんの為なら何だってするよ?」 「そうかい?それは楽しみだな。それじゃあ――」 肩越しに新を見つめた双眸は妖艶に笑う。 「もし彼が怖気づかなかったら、君がどうしていたのか……身体で教えてほしいな」 「え…………」 「君がどんな風に彼を焚き付けようとしていたのか、僕に教えてみせて?」 意地が悪い。 伊吹に触れた新が、中途半端に止められないと分かってそう言うのだ。そして止まれない彼に伊吹はきっとこう言う。「そんな風に抱こうとしてたんだ?」って。 新も分かっていて一瞬留まったものの、頬を滑った指先に抗えずそれを手に取った。 「〜〜ッ……伊吹さんの、意地悪……」 「上手に出来たらご褒美あげるよ。ほら、頑張って」 笑う恋人にぐうの音も出ない。例え意地の悪い誘いだって、新には喉から手が出るほど嬉しいのだ。 「好き。伊吹さん、大好き……ずっと大好きだから」 「可愛い新…………君は、そのままでいてね。これからも、ずっと」 【end】

ともだちにシェアしよう!