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第9話 お祈り
手を合わせて目を閉じた。これからも村が繁栄しますように……
しばらく手を合わせていたが、杏一にそろそろ良いぞと言われて目を開けた。ちらっと杏一の方を見ると、俺にしかおかゆがないことに気が付いた。
なんでだろ?まあ、後で聞けばいいか。
手前にあったおかゆを手に取り、口に流し込む。あれっなんか牛乳の味がする。白い買ったのは牛乳のせいだったのか。
次はお神酒をと思ったけれど、俺は気づいてしまった。周りの雰囲気に流されて飲もうとしていたけれど、お神酒といえども酒は酒、未成年の俺らが飲んじゃ駄目なんじゃないか?
「杏一、俺……」
「ん?」
杏一の方を見て酒は飲んじゃ駄目だろって言おうとしたら、もう既に飲み終わった後だった。そして、お前も早く飲めというように杏一がじーっとこっちを見ていて、これは飲めないとは言いづらかった。
もう分かったよ、飲めばいいんだろ、飲めば!
ぐいっと杯を傾け、飲んだことのない酒を一気に飲み干した。かなり強い酒なのか、喉が熱くなって頭がぐらっと揺れた。よく大人はこんなもの飲めるな。
杯を盆に戻してようやく変な祭りが終わったなと思っていたその時……
あれっ?神社が歪んでる。ガンガンと頭が鳴って痛いし、腹もどんどん熱くなってきている。
冷汗が止まらない。息が苦しい。前が見えない。
「はぁ、はぁ、きょっ、いち」
体がおかしい、助けて
ふんわりと抱きしめられている気がする。
「大丈夫、俺がついてるから。少し眠ろうな」
優しい声が上から降ってきて、眠くなってきた。眠ってもいいのかな。
頭を撫でてくれた。嬉しいな、いつぶりだろう。
おやすみなさい。
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