10 / 19

10.犬と誤解

 結局その日、寺本が甲斐と話をする時間がとれたのは、いつもなら甲斐が退社している時刻だった。寺本の都合のみならず、連休明けの甲斐にもやるべき仕事が多かったためである。  しかし日中、甲斐と業務上の接触がなかったわけではない。午後一番で寺本にインタビュー取材が入っていたから、そのあいだ甲斐は社長広報として寺本の周囲でそつなく仕事をこなしていた。それもあってか、寺本は今朝がた甲斐に出会ったときの心身の緊張を夕方までひきずるという、まったく予想していなかった事態に陥った。  甲斐が近くにいると気が散るのだ。寺本に背を向けている時は、すこし猫背気味の肩やワイシャツの襟からのぞくうなじ、清潔な耳のあたりに視線がいってしまうし、寺本の方を向いていれば、大きめの腕時計をはめた手首やネクタイの結び目、話すたびに動くのどぼとけを知らず知らずのうちに注視している。甲斐の口がひらき、やわらかな声が発せられるとさらに――  いいかげんにしろと寺本は思った。昼間から何を考えているんだ。仕事中にこんな風になるのはどうかしている。私は人間ドックを予約するべきなのか。  午後のインタビューはビジネス関係メディアによるものだったが、イヌメリの経営戦略や今後のビジネス展開についての取材ではなく、労働環境の整備や福利厚生と経営の両立、といったテーマで、とくに最年少社長としてどのように人心を統合しているのかをつっこんでたずねられた。インタビューがおわると応接室の外に甲斐と小犬丸がちんまりと控えて待っている。内容はマイクで聞いていたはずである。  インタビューのあいだは平気だったのに、甲斐の姿をみたとたん寺本の心臓は跳ね上がった。無理に眼をそらすと小犬丸が尻尾を立て、寺本に視線を向けているのがわかった。甲斐は小犬丸の背中を軽く撫で、頭に唇を近づけて何かささやく。  その仕草に寺本はイラっとした。不必要な、あるいは不躾なほど親密だと感じたのである。すると寺本の苛立ちを感じ取ったかのように、小犬丸がわずかに首を曲げて寺本をみた。  そして犬のくせに、妙に得意げな表情をした――と、寺本は思った。  やはり人間ドックを予約した方がいいのかもしれない。  というわけで、モヤモヤした気分のまま夕方を過ぎ、寺本は執務室に甲斐を迎えている。デスクの前に立った甲斐の横に小犬丸はおらず、寺本はなぜかほっとした。 「その……お時間をいただいて申し訳ありません」  甲斐は広報の仕事とはうってかわってためらいがちに言葉をつむぎだし、表情は硬かった。一方寺本はというと、日中「話したい」という甲斐の真意を推し量って考えをめぐらせていたにも関わらず、いざ執務室で本人を前にすると妙な焦りと緊張に襲われて、考えたことも半分以上忘れてしまった。 「それで、話というのは」 「僭越ながら、社長には見当がついていらっしゃるのではと……思うのですが」 「それは――先週のことだろうか」  甲斐は顔をしかめた。寺本はうかつにも甲斐の寄せられた眉のあたりをみつめてしまい、背筋がざわめくのを感じた。この表情をもっと見たいという欲望が腹の底にわきあがり、同時にそんな自分に困惑する。  私はほんとうにおかしいぞ。 「その……スマートフォンを忘れまして」甲斐は口ごもりながらいった。「……週末に続けて休暇をとっていたので、取りに来たのです」 「ああ。守衛室に確認した。入館記録にはあなたの名前だけがあったようだが」  寺本はつとめて落ちついて――無感情な口調で――話そうとした。 「私はあなたのプライベートに口出しするつもりはないが、コンプライアンスとセキュリティの問題がある。常識的にも時間外の社内に部外者を入れるのは」 「その……僕はそのつもりはなく、」  甲斐のためらいがちな声はなぜか寺本を刺激した。苛立ちのような焦りのような感覚がわきあがる。甲斐の口調のせいだろうか、金曜の夜の声の記憶がよみがえり、寺本の血流はどくりと脈打った。空調が入っているにもかかわらず締め切った室内を蒸し暑く感じる。続いて寺本の頭に思い浮かんだ映像は金曜の夜のものではなかった。それは以前自宅でみたネット動画で、いま自分が座っているようなオフィスを舞台にして、ふたりの男が――  寺本はあわてて首をふり、妄想をふりはらった。さえぎるように告げた口調は自分の意図を超えて強くなった。 「誰も見ていないならどこで何をしてもわからないだろうが、あなたは広報だし、もう少し用心するべきだろう」 「――その通りです」  甲斐は一気に青ざめ、うつむいた。とたんに寺本は焦り、さしこむような緊張を感じた。こんな風に話すつもりはなかった。問題ではあっても叱責することではない。だいたいそれ以前に寺本は、なんであれ業務上の失態に関して、他人をただ叱責するのは間違ったことだと常日頃から考えているのだ。それにあれは業務上の失態ではなく、公序良俗というか倫理上の…… 「まったくそうです」  寺本の脳裏によぎる考えをよそに、甲斐は顔をあげて突然なめらかに話しはじめた。 「僕から弁解できることは何もありません。それに、たしかにこのごろ、現実の区別がきちんとついていなかった自覚もありました。会社の顔である広報としてあるまじきことです。しかも僕はただの広報部員ではなく社長広報ですし、そういった形でメディアにも出ています。万が一のことでもあれば社長にまで影響が及ぶかもしれないわけです。すべてわかっていたのにあんな――」甲斐はまたうつむいた。「ああいったことになるのは、僕は……僕はこの任には向かないのだと思います」 「いや、」寺本はあわてて甲斐をさえぎろうとした。 「私はそんなことがいいたかったのではなく」 「社長があのとき警備に通報もせず、今日になっても人事に直接お話もしておらず、午後のインタビューも平静にこなしてくださったことには感謝しかありません。僕は社長にとっていろいろと……不快かもしれませんが、人事に配置転換をおっしゃっていただければすぐに」 「いや、そうじゃない」  寺本は思わず大きな声をあげ、こぶしでデスクを叩いた。甲斐はびくっとして口を閉ざし、寺本はまた後悔した。 「私は金曜のことは誰にも話すつもりはない。あなたのこれまでの貢献はよく理解しているし、実際、あなたが広報にきてからカスタマーのメディア反応は格段に良くなった。その、つまりだ、ひとにはいろいろな……個性があるのだから、それで私が不快に思うなど」 「そんなことはありません」  甲斐はまた顔をあげて寺本をにらみつけるようにみつめた。まるで視線に撃ち抜かれたように感じて寺本の心臓が早鐘をうつ。 「社長は――自分がおっしゃっていることがわかっておられない。僕のような人間は遠くにいれば問題はないでしょうが、現実にそうだと知ったらなかなか――受け入れられなんてしないものですから、わかっています。しかも――いくら小犬丸だからって会社(ここ)で――あんな……」  寺本の頭に疑問符が浮かんだ。甲斐は何をいっているのだろう。小犬丸? 「だから社長が誰にも告げないでいてくれるだけでも僕はとても……とてもありがたいですし、これ以上社長に失望されたり今後嫌悪感をもよおされたらと思うと正直、僕には耐えら」  寺本はまたこぶしでデスクをたたき、しかもそれで勢いを止めることができず、椅子を蹴って立ち上がっていた。 「いいかげんにしたまえ! 私の話がわかってないのはきみの方だ!」 「しゃちょ――」 「私がきみのことを不快ではないといったのは、単に社交辞令とか昨今のLGBTのなんとかを考えてとかそういうことだけじゃないんだ! 私もそうだからいっているだけだ!」 「――は?」 「きみが男性とセックスしたいのはいっこうにかまわないし、私も同じだといったんだ。わかったか? 聞こえたか? 私は男にしか反応しない人間なんだ」 「えっと……その……」 「もちろんきみが現実の幼女を追いかけたり殺人嗜好性だったり死体愛好者だというのなら話はべつだ。世の中にはいろいろな性癖があるが、自分の欲望を満足させるために他人を殺したり小さな子供を好き勝手に弄りまわす人間には当然、私は不快になる。場合によっては即座に遠慮なく警察に通報する。人事ではなく。だが世の中の大半の人間が異性とセックスするのを好むからって、同性とセックスしたくらいで私がきみを不快に思うわけがない」  甲斐は眼をぱちくりさせて寺本をみつめ、そこで寺本はやっと我に帰った。  いま私は何をいったか? 執務室で「セックス」と連呼しなかったか?  ひたいに手の甲をあてると汗で湿っていた。寺本は自分の手をみつめ、ぽかんと口をあけている甲斐をみつめ、自分の口から飛び出した一連の言葉を頭の中で反芻し、そして――焦った。  一秒、二秒、三秒。ぶ厚い布につつまれたような沈黙がおちた。  寺本は沈黙に耐えられずゴホン、と咳ばらいをした。その音はあまりにもわざとらしくあたりに響いた。 「……だからセキュリティ上の問題だといったんだ」  寺本はつぶやくようにいった。静かに腰をおろしたつもりなのに、胸のうちで続く動揺を隠せないかのように、椅子がきしんでいびつな音をたてる。 「私はきみを買っているし、わざと他人に不利益を及ぼすような人間ではないと思っている。ただいくら仲がよくてもその……付き合っている相手とべたべたするのは、他の誰かの視線がある場所では……遠慮してくれ。暗くても、外でも」 「――外?」 「なんでもない。とにかく私はこれだけいいたかったんだ。きみの話というのは結局異動願いということか? それなら却下だ。人事だって同じことをいうだろう。今のわが社にはきみ以上にSNSを管理できる人間はいない。それに『右腕』の役割もある」  右腕といった途端、甲斐はものいいたげな眼をして口をあけたが、何もいわずに閉じた。寺本はじっと待った。たいした時間ではないはずなのにとても長く感じた。  と、甲斐は背筋を伸ばした。 「わかりました。その――ありがとうございます。仕事を評価してくださって」 「くりかえすが異動の話は受け付けない。少なくともこんな理由では」  寺本は甲斐と目線をあわせた。髪と同じように真っ黒の眸だな、と突然思った。髪も眸もすこし淡い自分とはずいぶんなちがいだ。唇は小さめで、下唇がすこしぽてっとふくらんで、あそこに触れたら――  ――私はいったいこの期におよんでどんな妄想を働かせているのだ。  寺本はふたたび自分自身に愕然とした。本当に私は人間ドックへ行くべきだ。少なくともどこかで頭を冷やさなければ。至急ヨガのレッスンを予約しよう。そう考えるとすこし落ちついた。習慣的な行為とはありがたいものだ、と思いながら甲斐に告げる。 「もう退社時間だろう。小犬丸が待っているんじゃないか」 「はい。あの……かさねがさね、ありがとうございます」  甲斐は気弱な微笑をうかべて一礼し、きびすをかえした。  去っていく猫背気味のうしろ姿から寺本は視線をそらそうとしたが、できなかった。扉がしまると大きく長い息をつき、そのまましばらく椅子を揺らしていた。  社長室を出ると小犬丸が扉のすぐ外で待っていた。 (話はすんだか)  甲斐はうなずくと無言で歩き、エレベーターのボタンを押した。息抜き部屋のフロアで降りて、小犬丸デスクのロッカーからリードを取り出す。ひざまずいてつけてやると、小犬丸はつぶらな瞳でこちらを見返してくる。習慣的な動作で背中の毛を撫でながら、それでも甲斐は無言だった。 (史雪?)  とぼとぼ歩いて外に出た。もう薄暗くなっている。海の上の空にはすこしだけ雲の切れ目があった。湿った砂浜を横目に歩道を歩く。車が甲斐を追い抜いていく。海沿いの道路ではスピードを上げたくなるのかもしれない。小犬丸は甲斐がだらんと垂らしたリードをひっぱらない距離で、つまり足のすぐ横を歩いている。ときどき毛皮がスラックスに触れる。  寺本の言葉と表情が甲斐の頭の中を離れなかった。私もそうだ、と彼が大きな声でいい放った時の、苛立ちの混ざった真剣な眼も。聞いた直後は驚いたが、嬉しかったと思う。安心もしたのだ。しかし…… 「外って……なんだろう」  甲斐はひとりごとをいった。付き合っている相手とべたべたするのは見られないように、暗くても、外でも、と寺本はたしかにいったのだ。その口調は金曜日にあの暗い場所で目撃された、あの一回だけをさしていたようではなかった。ひょっとしてどこかで自分は寺本に見られていたのだろうか? しかしいつ?  付き合っている相手。  甲斐は足をとめて砂浜を見下ろした。犬も甲斐のすぐそばで止まった。 「こいさん」 (なんだ) 「こいさんは――何?」  小犬丸は甲斐を見上げた。尻尾が揺れる。 (俺は俺だ) 「そうじゃなくて――こいさんは僕の何?」 (そばにいるものだ) 「犬でいいじゃないか。どうして人の姿になったりするんだ。どうして僕のそばにいるんだ? なぜ僕を右腕に選んだ? どうしてあんなことをする? 紀州さんは――」  つぶやきながら甲斐は泣きたくなった。自分が紀州さん、なんてこっそり呼んでいるなどともちろん彼は知らないだろうし、実際にそう呼ぶことは絶対にないのだ。それは自分がよくやる妄想の、小さな恋人ごっこにすぎない。これまでも勤め先や暮らしている場所で気に入ったひとをみつけたら、こっそり呼び名をつけて、ちょっとした日々の潤いにする。たまに世間話をする間柄になるし、友達になることだってあるかもしれないが、彼らが自分に応えるはずなどないのだから、それ以上に親しくなろうと思ったりはしない。もそのはずだった。なのに彼は――彼はちがった。 (よかったじゃないか)  小犬丸がいった。 (紀州もおまえといっしょだ) 「だから――わざと見せたのか? 紀州さんに――外でって、もしかしてほかの時も」 (あいつは自分がどんな匂いをさせているのかわかっていない、鈍感野郎だ)  小犬丸は鼻を鳴らした。 (なのに史雪はあいつがいいんだろう)  一瞬カチッとパズルがはまったような、何かが胸の奥底で理解できたような気がして、すぐにわからなくなった。 「こいさん」甲斐はこわばった声でいった。「勝手なことをしないでくれ」 (史雪) 「現実ってものはほんとうに、わけがわからないよ。こいさんは神なんだろ? 長生きしているんだろ?」 (厳密にいうと「長生き」ではない。乗換だ) 「なんでもいいよ。でも、あいにく僕の一生はこれだけなんだ。なんでそんな余計なことをするんだ」 (なぜ余計だと考える) 「余計だよ! 紀州さんだってまさかカミングアウトするつもりはなかっただろうし……」  と、小犬丸は口からバフっと妙な音を立てた。 (史雪もおかしな人間だな。いや人間はみんなおかしい)  甲斐の頭の中で話す声はいささかあきれているような響きだ。 (史雪はあいつにそばにいてほしくないのか) 「そんなの――」甲斐は口ごもった。「紀州さんがほんとにゲイでも、僕とどうこうなんてありえないだろう。彼みたいな落ちついた人には誰かいるに決まってる。それに僕がこいさんと――付き合ってると誤解してたし……いやこれは誤解じゃないのか……でも犬だなんて思ってないだろうし……」 (史雪) 「どうしてこいさんはただの犬じゃないんだ」  甲斐は砂浜の向こうの波をみつめた。 「ただの犬ならよかったのに――僕は犬を飼いたかった。ずっとさ……だから右腕なんてものに任命されてもよかった。こいさんは可愛いし……だからこいさんがいきなり変身しても……僕は……でも……ほんとはその前からおかしいんだよな……もともとおかしいんだ。犬が喋るなんて。そうだろ? 変身とかありえないし……」  はた目には、甲斐は犬の散歩の途中で立ち止まり、海に向かってひとりごとをいっているサラリーマンに見えただろう。はた目に、というより実際にそうなのだ――と、甲斐は突然自覚した。やはりここ一年というもの、自分は夢でもみていたのかもしれない。  この会社(イヌメリ)に来てからというもの、それまで知っていた現実がちがうものにすり変わったようだと思っていたが、単に自分がおかしくなっていただけなのではないだろうか? しかしだとすれば、この犬との間にこれまで起きたあれこれは、いったい何だったというのだろう? もしかするとあれもこれも全部、現実ではないのか?   その時キーンと、耳の奥で刺すような鋭い音が鳴った。  ふいに背筋が寒くなった。甲斐は足元を見おろした。犬が前足をそろえて座り、こちらを見ている。軽くかしげた首に、すこし垂れた耳、赤みがかった濃い茶色の毛並み。尻尾がふられる。  突然理由もなく、甲斐は落ちつかない気分になった。何かが間違っているような気がしたのだ。いきなり眼の前の光景が、一見ほとんど変わらない、でも確実にちがうところのある絵に差し替えられたような、そんな気分だった。間違いさがしのゲームの答えがみつからないまま放置されているようで、違和感があるのにそれが何なのか指させない。  足元で犬の吠え声がする。注意を引こうとしているのだ。 「こいさん?」  呼ぶと犬は立ちあがり、ぶるっと体をふるわせて、また尻尾をふった。 「ごめん、いろいろいって。家に帰ろう。ごはんが遅くなる」  犬は答えず、先に歩きはじめた。リードが甲斐の手をひっぱるように伸ばされる。小走りになった甲斐はあわててリードを引いた。 「こいさん、もっとゆっくり歩いて」  犬は答えなかった。かわりに軽い唸りのような声をあげ、トコトコと前を行った。  石段を登って社宅に帰りついたときも小犬丸は無言だった。甲斐がリードを外すと家に上がる。確認するようにあちこちを嗅ぎまわったあとで台所へ入った。餌の袋を取った甲斐の前で足踏みするように体を揺らす。舌を出しながらハァハァと待つ様子は完全に「ただの犬」のようだ。 「こいさん、静かだね」  ドライフードの皿を床に置くと小犬丸は飛びつくように食べはじめた。甲斐は手を洗い、テレビをつけて、自分の食事の用意をはじめた。皿を空にした小犬丸は犬用のトイレへ行き、戻ってくると茶の間の座布団の上に転がった。甲斐が夕食をちゃぶ台に並べると、小犬丸は一度顔をあげてちらっと甲斐の方をみたが、かまってくるわけでもなく、またテレビ画面の方を向く。 「ねえ、こいさん?」  小犬丸は甲斐の声を無視して、今度は座布団の房を噛みはじめた。思わず甲斐は大きな声を出した。 「こいさん、返事をしてよ!」  突然犬は動きをとめた。甲斐の方をふりむく。。そして前足を立てると上を向いて、吠えた。  ワンワンワン!ワンッ 「こいさん――」  甲斐は吠える犬をみつめ、唐突に理解した。  小犬丸はいなくなっていた。甲斐が小犬丸と呼んでいた|神《イヌ》は。

ともだちにシェアしよう!