1 / 3

パンのない日は。

佑介(ゆうすけ)は身震いするような感覚に目が覚めた。 下腹部が空気に触れる涼しさと、また別種の熱を持った違和感で、意識が瞬間的に覚醒する。 「…ん、…っ!?」 この違和感は身に覚えがある。じゅぷじゅぷとくぐもって聞こえる音からもおおよそ見当がついた。ごもごもとかさばる布団を退けると、予想通り。半勃ちのぺニスを頬張る陸斗(りくと)の丸まった背中と、表情を隠すややばかり傷んだ茶髪。 髪は汗ばんだ頬にへばりついていた。 「はれ、ほきは?ほはほ」 あれ、おきた?おはようなどと、肉棒をしゃぶったまま、呑気に話し出す陸斗。反対に佑介は眉間に皺を寄せ、最悪の目覚めに舌打ちをすると、陸斗の髪を掴んで引き剥がした。 「あっ、痛ッ!ゆうちゃんやめて!いって、ちょ痛い痛い痛い禿げる禿げる禿げる!!」 佑介は陸斗を鋭く睨みつけたまま、掴んだ髪を離す。虹彩のやや小さなツリ目は、寝起きの開かなさと相まって凄みを増した。陸斗を振り払いベッドから立ち上がると、ため息をつき、持て余したままの下半身に、紺のボクサーをずりあげる。 それでも陸斗は、へらへらと笑って髪を整えた。そして佑介に習って立ち上がり、おはよ、とキスをする。 別段何の味がした訳では無いが、今の今までそれを咥えていた唇でキスをされ、なんとなくの不快感で更に陸斗を睨みつけた。 「なあ〜、カゲキだぞ。可哀想だろオレが禿げたら。」 「しるか」 どっちが過激だ、と佑介は床へ吐き捨てる。陸斗が佑介の頬を両手で挟むと、振り払うように首を振る。 「ね、オレ美形なんだから。ハゲさせんのは勘弁してね。」 「…」 冗談めかして話しかけても、佑介はムスッとしたまま立っている。陸斗は払われた左手をそのまま下におろし、一歩佑介へ近づくと太腿をさわさわと焦らすようにして触れる。 「さっきの。気持ちよかった?」 「やめろ」 抱きしめそうな距離のまま、両手に少し力を入れて尻たぶを撫で回す。 「言って、」 「やめろ」 臀の割れ目になぞって指を上下させると、密着した二人の間で、布越しに熱を持ったペニスの頭同士が当たったのがわかった。 「ねえ」 「………」 陸斗は右手を前に回してお互いのペニスの頭をまとめて手のひらで撫でた。 「エッチで気持ちいい朝のお目覚めだったっしょ?」 佑介は言葉なく小さく息を漏らす。 「なあ、ちんぽ、もう1回しゃぶってほしい?」 あまり変わらない身長がゆえ、陸斗はわざとらしく首を傾げて佑介を見上げる。 「ほしいなら口で言って。ゆうちゃんの可愛いお口。」 ちゅっ、と音を立てて陸斗からキスをする。佑介が口を開くまで何度も、触れるだけのキス。その間も右手は二人のペニスの頭を優しく撫で続ける。 そして潤んだ瞳で佑介がようやく声を出した。 「…めだ、」 「…え。なんて?」 さんざ迫った挙句の予想外の回答に、陸斗は聞き間違いかと聞き返した。 「ダメだ!!!」 バッと顔を上げた佑介の頬は、強請っているように上気していて、言葉との合わなさに陸斗は素っ頓狂な声が出る。 「へ?」 「だめなんだよ」 「え、なんで?なんでちょっとまって、いつもこのままゆうちゃんエッチするじゃん。ガチじゃん、ガチのダメ。」 慌てて手と体を離して、下を向いた佑介の顔を改めて覗き込む。 「ゆうちゃん、ダメなん?今日のオレのフェラ、嫌だった?」 ふるふると首を振り 「今日は気分じゃない?」 また首を振る。 「教えて、」 両腕を掴んで顔を覗き込む陸斗は、駄々っ子を説得する母親のようだった。佑介が観念して声を絞り出す。 「今日、俺、」 「うん。」 ポンポンと佑介の頭を撫でてやると口が開く。 「今からバイト。」 そして静寂が訪れる。 「はああああ????」 「だからやめろって俺何度も言っただろ!」 「いやゆうちゃんいつもそう言ってインランに腰振りまくるじゃん」 「うっさいだまれ今日はバイトだっつの!」 「ウソでしょ今日に限って?曜日違うじゃん!」 「タナカさんの代打!」 「ええええ!?ゆうちゃんオレのおちんぽくんどうすんの?」 「知るかそれより俺のちんこ!これからバイトなのに!」 「もうゆうちゃんの穴めがけてエア発射するくらいギンギン、パンツから出ちゃう!あんな顔されて!」 「うるさいうるさいうるさい!!リクだまれ!」 「ゆうちゃんが期待させるからー!」 ワーワーと言い合い、陸斗は自身の誇張したペニスを臙脂のボクサー越しに握りしめた。一切の他者のいないこの亜空間で、いかようにしても間抜けさは日常の一部であった。 〜〜♪ 「「、?」」 〜〜♪ 「なんか鳴ってね?ゆうちゃんの?」 机の上で、だらしなく絡まった充電コードの隙間からスマホの画面が光る。 「ん。店だ。」 バイト先のパン屋からの電話と分かると、先程までとは打って変わって二人は冷静に静かになった。 「えぇ?バイトの時間まだっしょ?」 陸斗の問いで二人同時にベッドサイドのデジタル時計を確認する。 「でる、黙ってて」 「りょー」 着信をとりながら佑介が部屋のドアノブをひねって廊下に出る。ヒュウと冷たい風が裸足にしみる。 「もしもし。」 「あもしもし佑介くん。」 電話を取ると、パン屋のオーナーの奥さんだった。その声は少し慌てている。 「ごめんねー、今日のバイトなんだけどね、って朝早くに電話してごめんね。 あんたとりあえず寝てて!」 それから電話の向こうとの会話が挟まった。 「あっ、ごめんね、それで、ちょっと旦那がギックリ腰しちゃって。ほんと情けないんだけどね、今日パン焼けないから臨時休業にしようと思って。」 「えっあ、あの、大丈夫ですか。半田さん、腰…」 個人経営のパン屋のため、パンはオーナーと奥さんが焼いている。ギックリ腰では今日は開店できないだろう。 「うんうん、病院行かせるしかないからいいんだけど、今日のバイトなくなっちゃうから連絡したのよ。」 お大事にしてください、と返すと、電話口より遠いところから「すまないねー、」とオーナーの声がした。 「そういうわけだから、次は来週になっちゃうんだけど、ごめんね、またよろしくね。」 「はい。お大事に。電話、ありがとうございます。あの、半田さん、お大事にしてくださいとお伝えください。」 先程までの下半身の熱の心配など吹っ飛んで、佑介は呆然と、何度かお大事にしてくださいを繰り返した。 「ありがとう、じゃあね、」 「じゃあ」 電話口で奥さんが優しく笑って電話が切れる。 ツーツーという音に合わせて、今日食べたかった焼きたてパンを亡き者にした、憎きギックリ腰を心の中で殴った。 部屋に戻ると陸斗がこれまた心配そうにしていた。何度も言ったお大事にしてくださいが、中まで聞こえていたようだった。 「大丈夫?」 「半田さん、オーナーね、ギックリ腰だって。でパン焼けないからバイト休み…」 佑介はとぼとぼとベッドサイドへきて、陸斗の右隣へちょこんと並んで腰かけた。 陸斗に軽率な言動が目立つのは日常的なものだったが、さすがに理由が心配なものなだけあり、休みならセックスしましょう、とすぐさま言うほど阿呆ではなかった。 「オーナーさんギックリ腰かー…、」 「うん。」 「倒れたとかじゃなくてちょっと安心したよ。」 「うん。」 陸斗の指が、佑介の髪を梳いた。いくらかだけ手にすり寄られて、猫のような仕草に甘やかな感情が湧く。 「パン…たべたかった。」 「うん。」 「半田さん元気になったらオニオンポテトパンたべる。」 「うん。」 パンが好きだからパン屋で働く。佑介のバイトの動機は顔に似合わず稚拙で純粋。モチベーションはいつでもパンそのものであった。 「あとバジルトマトパン、と、チーズたっぷりカルツォーネ。」 「…うん、」 バイトに行くと、子供の頃から大好きな『パン・ダ・パン』の出来たてを買える。オーナーや奥さんが廃棄をくれることもよくよくあった。 「ピザトースト…」 「…」 「うぐいすあんのもっちりデニッシュも好き…」 「…うん、」 「練乳クリームのブリオッシュ」 「ゆうちゃん」 「ぱん?」 「いや、え?みたいな感じで言わんで」 困ったような下がり眉のままキョトンとする佑介に、陸斗が呆れてツッコむ。 「ゆうちゃんオーナーさんの心配してるの?パンの心配してるの?」 「パンの心配は半田さんの心配だろ」 「………あー、そう。」 何を言ってるんだと言わんばかりの視線を浴びて、陸斗は言葉を見つけられなかった。 パンを頬張る佑介の顔はいつもと違った綻びを見せるため、大層気に入っているものの、正直に言うとそのパンへ捧げる猛烈な愛を理解するには到底及ばなかった。 理解できないついでに、陸斗は、佑介がバイトを休みになったという事実を頭の真ん中に思い出した。 「ねえゆうちゃん、こっち向いて」 眉間に皺を寄せたまま佑介が顔を上げる。目にかかった前髪を指でつまんでどかしてやると目が合う。 頬から顎へ左手を添えて、勝手に角度を調整して口付ける。 「んむ、」 「可愛いよゆうちゃん。」 唇が触れたまま話されるとこそばゆい。 「ふふ、ゆうちゃんのおちんぽくん、もう1回元気にしてあげるからね〜」 肩に手をかけて、右膝でベッドに立つ。左手で布越しに佑介のペニスを撫でると、さっきまでの口淫のせいか、それは簡単に熱を持って起ち上がった。 吐息を漏らす唇に何度も啄むようなキスをする。佑介の左手が陸斗のTシャツの裾を掴む。 「かわい。」 陸斗には、シャツの裾を掴まれると、マウントを取れたと確信するフシがあった。 角度を変えながら少しずつキスの時間を長くして、唇を舌でつついてやると、招き入れるように佑介は口を開いた。上顎の歯列をなぞると、肩を跳ねさせる。唇で唇を覆って、佑介から漏れる息すら平らげるように陸斗は佑介の口内を貪った。 「ゆうひゃん、はわいいよ、」 「んん…」 「ホれのこと見へ」 時折苦しげに見上げられるのがたまらなくそそって、陸斗はつい目を開けたままキスをしてしまう。 そして佑介の膝に跨り、自身のペニスと佑介のものを布越しに擦る。シャツをたくし上げ乳首を軽くつねってやると佑介は、はあと息を漏らして耐えるように目を瞑った。 舌を奥へねじ込みずるりと軟口蓋を舐め上げる。 「…ああっ!」 自分を感じてほしいと何度も同じキスを繰り返す。手を後ろへつき、顔を上げて遠くを見る佑介の口は、開いたままにパクパクと酸素を求めていた。 「ゆうちゃん…、あげるね。」 陸斗はベッドに膝立ちをして、佑介の肩に手を着くと、その開いた口の中へでろりと自分の唾液を垂す。 「…んぅ、」 呼吸とのタイミングが悪く、けほけほと小さくむせる佑介。 「ごめ、あ、ゆうちゃん。ゆうちゃん。」 慌てて陸斗が背中をさする。 落ち着いた佑介は潤んだ瞳のままため息をつく。 「だから唾はやめろっていつも言ってるだろ!」 「だってゆうちゃんにオレのもの全部あげたくなっちゃうんだもん…ガマンできないよお…」 佑介の、ぬるい、いや極めて冷たいに近かい視線が、陸斗の膝から顔までそれから指先までを見回す。 「俺いつか絶対リクに殺される」 「えええ!……。気持ちよすぎて腹上死しちゃう?」 「シね!」 「あーん、ひどい〜」 陸斗は白々しくショックを受けてから、そんなことは思っていない本心に漬け込んで耳を喰む。その奥へくぐもった水音が鳴るように舐め、そのまま押し倒す。 「…はっ、」 ぐちゅぐちゅと舌のいやらしい音が左耳から脳へ直接響き渡る。と同時に下着の上からペニスを緩くしごかれる。 「……っ」 「ね、ゆうちゃんの声聞きたい。エッチな声。ちゃんとだして、お願い。」 多分に息を含んだ陸斗の声がいつもより低く耳元で鳴る。 「…やめっ」 「ヤじゃないよ、ゆうちゃんのここ凄いもん。」 陸斗がペニスの先端を人差し指でクルクルとしてみせると、紺色の生地でも分かるほど先走りが染み出ていた。 しかし佑介の上気した顔には未だ浮かばなさが滲む。 「ゆうちゃん…?」 「リク…、今日は俺いいや。ごめん、」 「やめちゃうの…?」 陸斗が佑介に手を貸して体を起こさせ、二人向かい合ってベッドに座る。 「うん。でも…、 お前ちんこキツいだろ。しゃぶって抜いてやる。」 「ええ…?珍しく積極的なお申し出だけど、オレだけは嬉しくないよ。オレだけなの?」 「うん」 そう言いつつも欲望には素直に、陸斗は自身のパンツを脱ぎ捨てて床へ放った。 「ゆうちゃんも脱いで?」 「俺はいいって…」 「オレだけじゃ恥ずかしいもん。」 陸斗がTシャツも脱ぎ捨て裸になって足を開くと、佑介は仕方ないというようにパンツを脱いだ。それを見て陸斗がTシャツを取り払うのに手を貸す。 「ゆうちゃんのハダカ、いつも綺麗だね」 「お前が言うとイヤミ。」 言葉通り、二人の体は同じ程の背丈でありながら、別の男のものであるのは歴然だった。陸斗は程よく筋肉がついており雄の色香を漂わせていたが、佑介はその逆で、か細くは無いものの白くすべすべとした浮世離れした質であった。 開かれた足の間におずおずと屈む佑介。 口淫をすることにあまり慣れないため、ひとまずペニスに右手を添えて軽く扱いてみる。 手の中でピクリと反応するのが分かる。手をゆるゆると上下させ、時々握ってみせるとカリに指が引っかかる瞬間に、少し陸斗の腰が浮くのが理解出来た。 「ゆうちゃん、上手」 しゃぶってやるなどと大口を叩いたものの、いざ陸斗のペニスを目の前にすると、いつもその狂暴な見た目に怯む。大きく太く反り返ったものは、自分のものとは似て非なるものだった。 少し息を吸ってからプールに頭まで潜る勇気でもってして、佑介は陸斗のペニスを、正確には亀頭部分のみだが、口に入れた。 「ああ、ゆうちゃ、っ」 陸斗のいやらしい声に心底ほっとする。下手くそで気持ちよくなかったら、などということは淡い杞憂に終わった。多分陸斗は下手くそでも気持ちよくなってくれる。そう思えばもう少し奥まで咥えてみてもいい。 いつも陸斗はフェラをしてくれる時、どうしていただろうか。思い出せずに亀頭をちろちろと舐め、手でしごきながら陸斗の顔を伺う。 「ゆうちゃ、えっちだよ。いいっ、よ、あぁッ、」 褒められたものの、なんとなくのイメージでグラビア撮影のカメラマンを思い出す。途端恥ずかしくなる。 それでも佑介は口淫を続けた。舌を下ろし、なるべく口の中を広くして、竿を徐々に奥まで口に含んでいく。 吸いながら、咥えこみ、頭を少し上下させる。 「…ああッ……ぅん、ゆ、ちゃあっ!」 陸斗は物理的な刺激以上に、官能的な絶景で目眩がした。 普段の佑介であれば、セックスに関してはされるがまま、咥えて欲しいと頼めばおずおずと舐める程度。陸斗は自身のペニスの大きさが原因の一つであることも理解していた。 しかしその佑介が、今は自ら陸斗のペニスを咥えている。その淫猥な音は本人の宣言通り、しゃぶっていると言えるものだった。 さらには無自覚なのか、自身のペニスをシーツと擦り合わせて扱いている。陸斗はみだらにかくかくと動くその臀の縁が、地平線のような光を放つ美しいものに感じた。 「ゆうちゃん、エロすぎるよ…」 天井を仰いで、ぐっと息を吐き出す。佑介を一度起き上がらせると、唇とペニスの間に、先走りと唾液のない混ぜになった糸がつーんと張って、ぽたりと落ちた。 陸斗は膝立ちになり佑介の頭を撫でる。 「これでシて、」 佑介はペニスの高さに合わせるように四つん這いになる。口内の泡立った唾をゴクリと飲んで、また右手を添えてから亀頭にキスをする。わざとでないならタチの悪い、あざとく淫らな行儀の良さに、陸斗のペニスは腹につくほど反り立った。 佑介が再び口を開けると唾液がテラテラといくつも糸を引く。 「えっろ…」 佑介に聞こえると睨まれそうで、口の中で噛み砕いて飲み込む。消化不良で胸焼けがしそうだ。 奥まで咥え、じゅっ、と音を立てて吸うが、やはり少し大きさが苦しいのか喉が拒絶するようにしまる。申し訳ないことにそれすら最高の刺激だった。 無理しなくていい、そう声をかけたい、かけるべきなのに、一心不乱に頭を揺らす佑介を見ているとそれができなくなる。 「ーーーっ…クッ……あぁっ、あ、…ゆうちゃ…あ、っ……」 しばらく耽っていると、手持ち無沙汰の両手で頭を抑え込みたい自分の本性に気づく。そのまま口に射精をした日にはおそらく嫌われるだろうし、何としても避けようと、両手は陸斗の臀や乳首へ刺激を与えることに専念した。 ジュプ、ゴプ、と水を含む音の合間に、佑介の息と声がまじる。 腰がびくびくと反応を示すものだから陸斗はつい楽しくなってアヌスの周りを人差し指でつついて遊んだ。 肩で息をする佑介が、じゅぽっと音を立てて口を離したのでさすがに疲れて終わるのだと勝手に察する。 「ゆうちゃん、ありがとね、気持ちよかったよ。」 頭を撫でると一瞥。 「は?」 「え、やだって、」 「まだイってないじゃん。」 佑介は怪訝そうに陸斗を見やった。一方で陸斗は初めてのご提案に動揺が隠しきれない。口でイくまでしてくれるなんて。 「ほんとに最後まで口でしてくれんの?そ、それって、口に出す直前、まで?」 「出したくないなら直前まででもいい。」 「…出したかったら?」 「好きにしろ」 陸斗は挿入前に佑介から施されることでこんなに興奮したのは初めてだと自覚した。 「オネガイシマス…」 「うん」 佑介は再び口を開いてペニスを丁寧に咥える。もう口を開いてから咥えるまでの戸惑いはなかった。 少しコツがわかってきたのか、吸い上げながら頭を動かすことができるようになった。口に含みながら舌を動かして裏筋を舐める。 「……ッあ、すご、いぃんう、、は、ッ、……、」 じんわりと陸斗の額に汗が浮く。 「ほうしたらもっほひもちいいんは?」 「う!?…ゆうちゃん、咥えたまま喋っちゃダメだよ…」 感じ入っている陸斗の顔を見上げてから、佑介は満足気に口を離した。 「どうしたら気持ちいいかって、どうしたらイけるのかってことだよね」 「うん」 陸斗がリクエストを用意する間も、佑介は待ちくたびれて、腹筋の溝を舐めていく。 「ひ、!?」 「これも気持ちいいの?」 「俺脇腹とかくすぐるのヨワいって知ってるでしょ!」 「ああ、」 そうか、くすぐったい所は体が反応するのか。何かを学んだように佑介は、ふーん、と頷く。 「ゆうちゃん、その…、金玉触って欲しい」 「うん、」 「咥えながら」 「…うん、わかった。」 ひとつずつ頭の中でシミュレーションして噛み砕いて話を飲み込むと、佑介は再びペニスの前へ跪き、先端をぱくりと口に含んだ。 「っ、ゆうちゃんのツバでさ、ぐちゅぐちゅ音立てれる?」 「………うーん、やってみる」 再び口を離し、唾液腺を舌で刺激して、唾液を少し口に溜めてペニスを咥えなおす。まとわりつかせるように舌で唾液を塗り込むと、先程よりかなり滑りが良くなったようだった。 と同時に舌をカリの周りでくるりと動かすと、陸斗から声がこぼれる。 じゅっ、じゅぷ、 吸い上げ、裏筋を舐めつつ、先程言われた通りに右手で睾丸に触れる。下から包むようにして、裏側から表へつつつと指を這わせたり、軽く揉んでみたりする。陸斗の腰がこちらへゆるゆると打ち付けられるように動くので、感じているのがよくわかった。 「…ん、っふ…、」 ずっ、と音を立ててペニスを吸い上げる。 「ゆ、すけ、…は、あぅッ、じょず、だよ、…んん、まっ、てそれやば、……ッく……」 佑介、そう呼ばれるのはいつもは挿入している時なのに、今日は随分と機嫌がいいんだなあなどと頭の片隅で思う。 「ん、ぐ、ッ……。どう?こんな感じ?」 アイスのようにペニスを舐め取り口を離すと、陸斗が蕩けた顔をしている。 「ゆうちゃん上手。ね、もうちょっとでイッちゃいそうだから、もう少しいい?」 陸斗はそう言って佑介の後頭部に手を添えた。 「咥えて」 「うん」 今日の佑介に対してマトモな我慢が効く自信もなく、陸斗は佑介の髪を何度も撫で、耳を指でなぞる。本当は頭を押さえつけたい。 イきそうな感覚はすぐそこにあるものの、傷つけないように、冷静にいなければ。 そんな陸斗の思考を他所に、佑介は喉の奥までペニスを咥えこみ、自らの腰も揺らしている。 「うぅ゛、っ…」 時折苦しそうな声を出して肩で息をしているくせに、やめるという選択肢はないようだった。 どう?と尋ねるように陸斗を上目遣いで見上げる。まつ毛の隙間から見える潤んだ瞳と視線が絡まる。それに射抜かれて、陸斗はついに積み上げた我慢が突然にガラガラと崩れていくのを知った。 「佑介、ごめん!エッチすぎてオレ我慢できない!」 「へ?」 髪を撫で、耳を撫でていた手を後頭部にぐいと回し、佑介がペニスを最奥まで咥えるように押し込んだ。 「んぐっ」 「ごめ、っあ!ごめん!嫌だったら殴ってでも止めて!ああっ、ん、っく」 優しさを失って、我慢を辞めると、如何に絶頂が近い快感であったかを自覚する。あとひとつ、我慢が解ければいつでも達しそうなほど、ペニスは射精に備えていた。 「、く、…ゆすけ、ゆ、ス、あぁ…っ!!」 喉の奥にペニスを打ち付けると、空気を欲しがって佑介が少し口を開く。 「んぐ、…ぁ゛っ!、んご」 泣きそうな顔をしているくせに、佑介の腰はかくかくと動き、ペニスからはポタリと先走りの欲望が垂れ、シーツに滲みを作る。 じゅぷ、じゅぷ、 「ゆうちゃ、ぅ、オレッ、も、あっ、口にい、いのッ!?、んクッ……」 陸斗は改めて口内への射精に許可を求めるような言葉を並べたが、答えようにも、佑介には答えるすべがなかった。 「っは、ぁでるぅ…ゆすけ出ちゃっ、あ、ふ、」 陸斗は自分勝手に腰を振り、最後に喉奥へペニスを突き立てるとようやく果てた。 ドク、とぷぷ。口内へ精液が注がれる。 フェラチオで済ませるつもりが、ついぞやイマラチオをしてしまい、陸斗は我に返った。 「あっ、ごめ、ゆうちゃんティッシュ!だよね、まってね、」 慌てて床に放られたティッシュボックスから何枚か引き抜いて佑介の口元に差し出す。 「…ゔ、んむ」 眉間に皺を寄せたまま、ご、くん。佑介の喉が動く。 「え、…ゆうちゃん飲んだの…?」 「うん」 確認をされたと思ったのか、佑介が口を開け、べ、と舌を出す。その仕草は陸斗には新しい興奮を引き出す扉に見えたが、動揺を隠すように会話を繋ぐ。 「お、おいしくないでしょ…」 「うん、おいしくはない」 これまた床に転がされた、朝の陸斗の飲みかけのペットボトルを手繰り寄せて拾うと、佑介に手渡した。 陸斗は水を飲む佑介の喉元を、凝視せずにいられなかった。今しがた射精した自分の精子は、この水と同じように佑介の喉へ流れた。こんなに丁寧な口淫も、口内への射精も、それを飲み込んでくれるのも、付き合ってる中で初めてだった。イったばかりにも関わらず陸斗のペニスは再び誇張を始める。 「リクいつも俺にした後飲むじゃん」 ぷは、とペットボトルから口を離して佑介が会話へ帰る。 「そ、れは、オレはゆうちゃんにシたくてしてるし、」 言ってからニュアンスの間違いに気づくも、少し遅く、 「オレがしたくないのにしたみたいに聞こえる。」 拗ねた声が返ってくる。 「だってオレあんな頭押さえて、…調子乗った、ごめんね」 ぎゅう、と佑介を抱きしめると、陸斗の耳元で、ボソボソ佑介が言った。 「リクのせい、ちんこアツい。」 ペニスを咥えながら佑介が興奮していたことに改めて歓喜が込み上げる。 「ごホウシします!」 勢いのままごろりとベッドに転がすと、上に跨りキスをする。 「ゆうちゃん、好きだよ。大好き。」 「なん、で、今、」 唇を当てたまま何度も好きとキスを繰り返す。 「今も何もないよ、いつも。いつも好きだよ。だーいすき。」 どろどろとした甘い言葉を多量に摂取させられて、口内を順番に舌でとかされて、佑介の思考力は徐々に流れ落ちていく。 「、は。」 「かわいいよ、大好き」 キスをしながら左手で乳首を引っ掻くと、腰が浮いて上ずった声が漏れる。 人差し指と中指で挟むようにして乳首を引っ張り、パッと離してはまた摘む。繰り返すとぷくりと主張を始めるのでそれを指でぴんと弾く。 「…あぅう、はぁっ、」 羞恥で声をこらえるからこそ、漏れる声はなおさら色を帯びている。 乳首をいじられる度に、何度も腰がびくびくと反応し、こっちを触って欲しいといっているようで、陸斗は従順にペニスを扱くことにした。 「ちんぽ、キスと乳首で感じてるんだね。」 「やめ、ろ」 「やめちゃうの?」 「……」 顔を逸らした沈黙はやめるなの意味であろう、と好きに推し量り、右手でペニスを掴むと佑介が息を飲む。 ゆっくりと、ペニスの下から上へ手を移動させる。既に反り立ち、先程まで先走りを流していたペニスは、執拗に力任せに扱いてしまっては、簡単に果ててしまうだろうほど繊細に膨れていた。 下から上へ、手を離しては下から上へ。じっくりと、乳を絞るように動かしていく。 あ、とか、う、といった息のような声を時折漏らしては唇を噛み締めて快感に耐える姿に愛おしさが沸き立つ。 またキスをして、右手はペニスを丁寧にゆっくりしごきながら、頬、髪、耳、首、鎖骨を唇で撫で、乳首の周りをぺろりと舐めた。 「、ひぅん」 唇や指のこそばゆさとは違う、ねろりとした熱。アヌスがひくつくのを陸斗は見逃さなかった。 ペニスを扱いていた右手を睾丸の方へ移動させ、玉裏に指を這わせながら時折つくつくとアヌスを刺激する。 乳首の周りのみをべろりと何度も舐め上げると、佑介は恨めしそうに陸斗を睨んだ。早くしてくれといいたげに見える。 陸斗は小指でクルクルと乳首の周囲を再度刺激すると 「おまたせ♡」 ぢゅぅっと音を立てて乳首を吸い上げる。 「んんっ!」 待ちわびた快感に、堪えてるなりの大きな声が出る。ぷっくり立ち上がった両方の乳首を、つまみ上げて引っ張る。 「んぉっ」 「かわいい」 唾液で濡らした中指にさらに先走りの液をつけて、ひくつくアヌスの入口に突き立てる。 「指入れても大丈夫?」 「ぅん、」 もう何度も陸斗のペニスを丸呑みにしてきたアヌスは難無くゆるゆると指を飲むが、それでも佑介は何かに耐えるように自分の手の甲に歯を立てた。 「んうう…」 「ゆうちゃん息吸って、」 陸斗は佑介の手をどかしキスをした。 そのまま口内を解して舌を吸う。息苦しくないように唇に隙間を開けて、下唇をぺろりと舐める。 「っは、ふぅ、んん」 佑介はキスに応えるように陸斗の後頭部の髪を掴んで離すまいとした。 佑介の体の緊張が解けていくのを確認しながら、陸斗は中指を中でぐるぐると回し、出し入れをする。 時折前立腺に当たるようで、その度に佑介はキスから逃れて、はあ、と息を吐いて大きく吸った。 「ゆうちゃん、きもちいいね?」 「…うん」 羞恥からだろう。気持ちいいかと真っ直ぐ問うと佑介はどうも答えを逃す。しかし陸斗が共感を欲するように問うと、決まって頷くだけ答えた。 解されてきたアヌスに、もう一本指を増やす。 「っ、ふ、うう」 空いた左手で腹部と脇腹を撫で、乳首を舐める。 「ぅぅ、あ、っはぁ」 意味をなさない音を羅列してシーツをくしゃりと掴む。 「ゆうちゃんのおちんぽ、とろとろ。エッチなおもらししてる。」 「んう、やめろぉ、んあっ」 陸斗は中で指を動かしながら、佑介のペニスをぱくりと咥えて扱いた。 「きもひいいれしょ?やめないよね?」 「うううあうあっ、ぅん、っ、んんッ」 前と後ろそれぞれの刺激に、体の落ち着く場所を無くした佑介は腰を浮かせ快感を逃がそうとする。しかし陸斗は、左手で佑介の腿の付け根をベッドに固定し、決して逃がしはしなかった。 ペニスを再奥まで咥えこみ、ほんの少し歯を立てて裏筋からカリ首までを刺激して吸い上げる。後ろもぐり、と指を折り曲げて前立腺に当てる。 「あっ、は!、ぅ、ああ!あ!」 シーツを掴んだままの手でじたばたと抵抗し、背中を反らす。 「、やぁっ!あ、やめ、てええ、ん、りくっ、…りくの、っ…、ぅ、で、ふっ…」 陸斗は自分の名前を聞き取って、指はそのままに口を離す。 「オレの、なに?」 「……っ」 濡れた目でキッ、と陸斗を睨んで口を結ぶ。しかし陸斗も譲らない。 「ゆうちゃん、気持ちいいね、どうなりたい?今日はもうオレの口に出して終わる?」 話しながらも指は休めずに容赦ない快感を招く。早く答えなければこのまま果てさせることも厭わないようだった。 「んうう」 佑介が唇を噛み、ふるふると首を振る。 「終わらない?じゃあどうしたい?」 ちゅ、ちゅ、と鬼頭にキスをして鈴口をべろりと舐める。 「んひ、」 「うーん、あんあん言われちゃうとオレ、このままゆうちゃんのこともっと気持ちよくさせたくなっちゃうな…。」 がぶりとペニスを咥えて、ぢゅううう、と音を鳴らして吸い上げる。 「あああっひ、ひぅ、リクぅ…」 「うん、なあに。」 陸斗に頭を撫でられると、快感と羞恥で、目からポタリと涙が落ちた。 「ゆうちゃんのこと、オレ気持ちよくしたいよ。」 陸斗はアヌスから指を抜き、汗でぺたぺたとする佑介の背中に腕を回して目の前に座らせた。 「リク…」 佑介が陸斗のペニスに手を添える。 「ちょうだい。」 「ん?」 そしてゆるゆるとペニスを握って上下に扱き、もの欲しげに陸斗の胸に倒れ込み顔を見上げる。 「っん、ゆうちゃん、オレのおちんぽ欲しい?」 コク。と頷く。 「欲しいって言って」 「ほし、ぃ、」 陸斗は佑介の髪をすぅ、と撫でて、反対の手で顎をすくいあげた。 音をさせるだけのキスをして、 「オレの言葉、繰り返してね」 乳首をクルクルといじって焦らす。 「りくとの」 「ふ、ぅ、リクの」 佑介も負けじと陸斗のペニスをゆるゆると扱く。 「っ、おちんぽを」 「あぅ、リクのちんこォ…」 「だめ、おちんぽっていって、ゆうちゃんが言うの聞きたい、」 「……っ…」 佑介を急かすようにペニスを指で弾く。 「ん、ふぅ」 「ほら、お・ち・ん・ぽだよ。言ってごらん。」 「お、おち、ぅうんっ、」 なかなか口にしない佑介のペニスを陸斗がきゅ、と握る。 「う、あぅ、おちんぽぉ…っ!」 もうどうにでもなってくれと言わんばかりに佑介は天井を仰ぐ。 「おしりに入れてください。ほら、最初から言って。」 ペニスを扱かれ、背中を支える陸斗の手が、指が、つつつと下から背筋を撫でる。 「ふひぁ、う、ぅ、リクの、っ、……。…っ、」 言いかけてふるふると首を振って腰を動かす。もう我慢の限界だった。羞恥を払うように大きく息を吸って 「………、陸斗のおちんぽ、早く俺のケツにぶっこんでぇっ」 一息に叫んだ。 「佑介、可愛い。最高だよ。」 腰を持ち上げて支えられ、そのまま陸斗と向き合って、上に座るようにずぷん、とペニスで貫かれた。 「あひぅっっ、んおおお」 待ちに待った快感の波に全身が震え上がる。 佑介の腿を押さえつけながら、ぐ、ぐ、と陸斗が下から突き上げる。 「ん、あう、おっぅあ、おおん」 前立腺を擦るように突き上げてやると、佑介のペニスからはとろりと先走りが溢れた。 佑介は陸斗の首に腕を回し、声を抑えるために耳を食む。 「は、ふぅ、ん、んっ」 「っ、く、あーー佑介エロすぎ、動いて見せて、ね。」 求められて腿の付け根を抑えていた陸斗の手に指を絡めて握る。 ずぷり。 一度最奥まで咥えこんだペニスを、入口まで引き抜きまた一気に最奥へ導く。 「ああああっ、」 「…はっ、」 ぐじゅ、ぐぷ、 ずぶぶ 臍の裏まで届く圧と、排泄感、前立腺を擦るって生まれる快感を順に繰り返し、佑介は一心不乱に腰を降った。 「う、んえあっ!…も、もっとぉ、」 佑介は背中をのけぞらせて陸斗の肩に手をかけた。陸斗はゆっくりと横たわり佑介の手を引く。 陸斗の腹の上に佑介が倒れる。 尻たぶを掴んで腰を揺らすと浅く早いピストンが繰り返された。 「んっ、んん、っ、ふ、ん」 「っ、好きだよ。ゆうちゃん。」 顔より少し下にある佑介の乳首をぺろりと舐める。 「ふあっ」 穴がきゅ、と締まる。 佑介の頭を撫でると、ぐりぐりと首元に顔を埋められ、肩を噛まれた。 「い゛っ、ゆうちゃん〜。いつも甘噛みにしてって言ってるのに!」 「ごめ、加減できねんだもん、」 佑介はどうも気分が良くなると自身の手の甲や陸斗の肩を噛む癖があった。 「イキたい?」 「うん。」 佑介を腹に乗せたまま陸斗は起き上がり、ペニスを一度抜くと、佑介をくるりと反転させて後ろから抱きしめた。 「好きだよ。ゆうちゃん。」 首筋にキスをして臀を撫でる。 そして覆い被さるようにしてベッドに膝を着くと、佑介を四つん這いにさせ、後ろから挿入する。 「ぅ、」 この体位が佑介にとっては、一番好きなところを刺激されるものだった。 陸斗は佑介の脇腹を押え、腰を打ち付ける。 ぱん、パン、 「っ、」 「ぅ、ひぃあ、うう!」 何度も執拗に佑介のいい所を狙う。佑介のためではなかった。いい所にペニスが当たると、佑介のアヌスはきゅうと締め付け、陸斗にとってもそれは最高の刺激だった。 ぱん、ぱん、じゅ、ぐじゅ。 陸斗は片手で佑介の腰を押え、もう片方の手では尻たぶを揉みしだき、乳首を弄ぶ。 そして背筋を下から上へ舐め上げる。 「んんっ、おおん、あぁっ!?」 背中からは汗の味がした。 白飛びする快感の中、陸斗は幾度となく佑介に好きだと譫言のように繰り返す。 「ゆぅちゃ、すき、すきだよ、可愛い、よっ…ゆすけ、」 「ぅふあ、はぁあう、おれッ、おえも、っうひ、あ」 「すき、すきィ!ゆ、ちゃも、言っ、てぇ」 「んっんん、す、ひ、すひぃんッ」 言葉にする度互いの接合部はぎゅうぎゅうと苦しく密着して限界へと誘う。 「ゆ、すけ、オレもうっ」 「ひ、おへもぉ」 「うん、う、んくッ」 ギリギリまで引き抜いたペニスを最奥に打付ける。上から覆いかぶさり、佑介の顎を掬ってキスをする。 パンパン、パンパンパン 「りく、おれイくゥ、イくううう」 「イって、ゆ、ちゃ、オレもイくからッ」 パンパンパンパン、 そして何度か腰を打ち付けると佑介が痙攣をした。 「あ、ひ、あうあ、あ、いやっうあ、あ、あああ、んお、おおおんんああおォッ…う゛ッあああ」 「オレ、もッ、ぅくッっっ…」 どぷ、ん。佑介のナカへ陸斗の精液が放たれ、腹の中で暖かな違和感となる。 佑介のペニスからはびゅる、と精液が僅かに零れており、陸斗は残りを吐き出させるようにそれを扱いてやった。とぷ、とぷ、と後を追って精液が溢れる。陸斗は手に着いたそれを、愛おしげに眺め、ちゅ、と舐め取り、佑介を後ろから抱きしめる形でベッドの上に座った。 「大好きだよ。ゆうちゃん。」 「うん」 「ゆうちゃん。」 「俺も、…好き」 佑介が先程のペットボトルを拾い上げて水を飲む。 「オレもちょうだい。」 情事の後は喉が渇く。 佑介から手渡されたペットボトルはすでに軽いが陸斗は口をつけた。 「……え?カラじゃん?ちょっとゆうちゃん〜。」 「どうせ今からシャワーじゃん。その水でも飲めばいい」 悪びれることも無く佑介は笑う。 「オレ犬とか猫じゃないんだから〜!」 「はは、」 陸斗は佑介の頬を背後から、みっ、と軽くつねってから立ち上がると、冷蔵庫へ向かう。 しかし戸を開けても目当てのものはない。 「あーーーーコーラ飲みたい」 「ねえの?」 「ない」 「シャワー浴びてコンビニ行くか」 佑介もベッドから立ち上がり、先程まで履いていた二人のパンツを掴んで浴室へ向かう。 先にシャワーを浴び始めるのはいつも陸斗だった。温水になるまでの冷たい水に肌を冷ますのが好きな陸斗と、温まった頃にお湯を分けてもらいに来る佑介。 二人はシャワーを済ませると、下着から何から全て着替えた。 「コンビニどっちがいい?」 「オレ欲しいのコーラだからどっちでもあるよ。」 「じゃあ近い方か。俺腹減った。」 陸斗がクロックスに足をかけて、ぴたと止まる。 「そうだ、せっかく予定何も無いんだし、いつも行かないパン屋さん行こうよ。」 「いいの?」 佑介もせこせこと履いたサンダルを脱ぐと靴下を取りに行く。 ついでに陸斗の靴下も手にして投げつける。 「わ、」 「ナイスキャッチ、あ、うそ片方落ちた」 「もー!ありがと。」 そうして色違いのスニーカーに足を入れる。別に一緒に買った訳では無い。共に暮らし始めた時には、既に互いが持っていたものだった。 「ていうかこの靴ボロくなってきたよね、オレのもゆうちゃんのも」 「まあ」 がちゃがちゃと扉の施錠を確認する。 「今度、新しい靴探そう」 「うん」 アパートの狭い階段をおりる。 「何色がいい?」 「リクと別のやつ」 「ええ?次は色も一緒でもいいよ。」 「型が違うやつがいい。」 「なんでー」 「お前、前白スニーカーがいいって言ってた」 「そうだよ。」 「俺も白がいい。」 「じゃあオソロじゃん。」 「サイズ一緒だし。別の買って借りる。」 「…あー。」 「……」 「それがいっか!」 「な、」

ともだちにシェアしよう!