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第10話
「僕、お名前は?」
ぼうっと細身でハーフのような淡い栗色の髪と緩やかなウェーブ、透き通るような白い肌を持つ、史哉を小さな結月は見上げた。
史哉は腰を落とし、結月の黒目がちなあどけない顔を見つめ、口元を綻ばせた。
「ゆ、結月」
「結月くんかあ、いい名前だね」
くしゃくしゃ、と史哉は結月のサラッとした艶めいた黒髪を撫でると、背後にいる穂高を振り返った。
「ねえ、穂高。この子、僕たちの養子にしない?お腹の子も僕の子にしてしまうといいよ。13歳で妊娠なんて可哀想だし。纏めて、僕たちの子供にしようよ」
綺麗な人だなあ、と感心するように見蕩れていた結月だったが途端にムッとした。
「か、勝手に決めないで。それに僕、来週には14歳になるんだから」
口を尖らせ史哉を睨むが、史哉はせせら笑った。
「13歳も14歳も変わらないよ」
「穂高先生、この人だれ、すごく失礼」
結月は史哉を指差した。
「史哉、いい加減に...」
立ち上がった史哉は穂高に軽く腰を回し、余裕な顔で口付けをした。
2人のキスに結月はただびっくりし、見上げるだけだった。
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