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第6話
「じゃ、雪翔。俺たちはこれで」
雅紀と龍也はこの後、用事があるとのことで雪翔とはレストラン近くで別れた。
雅紀と再会したのは翌朝。
雪翔は登校、雅紀は通勤だ。
「おはようございます」
「おはよう」
いつも通り、細身のスーツとシンプルながらお洒落なネクタイに釘付けになる。
吊り革を持ち正面を向いている雅紀は笑顔だ。
「なにかいい事あったんですか?」
「え?ううん、別になにもないけど、なんで?」
「いや、なんだか嬉しそうな感じだから」
そう?と雅紀も満更でもなさそうにまた笑った。
そうして、毎朝、雪翔と雅紀は通勤と登校で同じ電車で並び、たわいない話しで時間を過ごした。
とある夜。
唐突に雪翔のスマホが鳴った。
夜9時になろうとしていた。
見てみると、雅紀からだ。
「雪翔ー、月が綺麗だよおお」
どうやら、雅紀は酔っ払っているらしい。
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