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第5話
「...この子は?」
長身の男性が雪翔を怪訝な面持ちで見下ろした。
「ほら、こないだ話した、電車の」
「ああ!雅紀が助けた、て子か」
男性はたちまち笑顔に変わり、空いた椅子を引き、座り、3人でテーブルを囲む。
「2人はもうなんか食べたの?」
「うん、とっくに」
雅紀が答えると、男性はメニューを開いた。
雪翔が不思議そうに眺めていることに雅紀が気づいた。
「俺の友達の龍也。俺の1つ上の、22なんだ」
「そうなんですね」
その間に龍也はハンバーグセットを注文し、雪翔に笑顔を向けた。
「災難だったみたいだね、先日は」
「はい、まさかの展開で」
「君もお仲間?」
雪翔が目を丸くした。
「...お仲間、てなんですか?」
きょとん、と雪翔が尋ねると、慌てたように雅紀が間に入った。
「こ、こら、龍也。雪翔はそんなんじゃないから」
なんのことだろう?と雪翔はただただ、首を傾げた。
雅紀と龍也は随分、仲がいいみたいだ。
「大学から一緒なんだ」
「へえ」
雪翔はそんな2人を何処か、羨ましくも思いながら、見つめていた。
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