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第110話「誘導」
赤、白、紺色のチェック柄のトランクスの股間が、もっこりしている。
「ひッ、、!?」
鷹夜は予期せぬ自分の勃起に戸惑い、脚の間のそれをわなわなと肩を震わせながら見つめる。
「脱いで脱いで」
「え、え!?」
「シー。そんなデカい声出したら皆んな起きてくるよ?」
芽依はボクサーパンツを脱ぎ捨て、四つん這いになってベッドをギシギシ言わせながら固まってしまった鷹夜に近付いた。
「た、勃ってる、どうしよッ、芽依ッ」
「苦しいっしょ。脱ごっか」
「待て待て待て待て待て!ここで脱いだら俺の俺が小さいって丸分かりじゃん!比較対象デカ過ぎる!!」
ビシッと鷹夜が勃起したままの芽依のそれを指さした。
「大きさ競う為に脱いだんじゃないんだけど」
「いやでも比べちゃうだろ!?」
「どうでもいいって」
「俺が良くない!!」
はあ、と呆れて肩をすくめる。
芽依は鷹夜の身体を脚の間に入れるようにしてガバッと股を開いて座ると、容赦なく彼に勃起したそれを見せつけた。
「うわデッカ」
「あのさあ、俺だって恥ずかしいからね、これ。俺だけちんこぶらぶらさせてる状態」
「竹内メイのちんこデッカ」
「聞いてます?」
コンコン、と大きな手が鷹夜の顎を小突いてくる。
「うっ、、だ、だってデカ過ぎ、、俺の見ただろさっき。勃ってもこんなんならん」
「大きさ求めてない。さっき見たけど肌白いだけあって色薄いし亀頭綺麗だし毛少ないのにバッキバキに勃ってて血管浮いててえっちだな、としか思わなかったよ」
「結構色々観察してんな」
感想を聞かされ、鷹夜は更に顔を赤くする。
芽依は相変わらず自分だけが鷹夜に性器を晒している状況に少し気恥ずかしさを感じてはいるが、頑なに自分は下着を脱がず、芽依のそれをジロジロと見てくる鷹夜を相手にもう説得は諦める事にした。
(押してダメなら引くのみ)
そして、決意を固めた。
「自分の見せないなら、せめて俺のちゃんと見てよ」
「わ、」
ギシ、とまたベッドが揺れる。
大きく脚を開いたまま、芽依は鷹夜との距離を詰め、勃起している自分の性器に手をかける。
そしてゆっくりと、鷹夜の視線がそこに注がれているのを間近で見つめながら自分の肉棒を扱き始めた。
「め、芽依?芽依??」
「んー?見ててよ」
「うわ、わっ、、すご、えっ」
鼻先が触れそうな距離に、少しだけとろんとした芽依の顔がある。
「芽依、しなくていいよ、やめ、」
「見てよ、鷹夜に見られてたい」
「ッ、」
「1人でしてるみたいで嫌だ。ちゃんと見てて」
鷹夜の耳元でそう呟くと、彼の身体がブルッと震えた。
低く脳まで痺れさせるような甘ったるい声に誘われて、思わず彼が見てほしいと言ってる部分に目が釘付けになってしまう。
(え、え、、)
先端からぬるぬるとした透明な液体が溢れて、亀頭が鈍くテカっている。
肌と肌が擦れる軽く乾いた音が規則的に聞こえており、芽依の手がそれの根本まで下がったり亀頭まで上がって来たりしている動きを見て、鷹夜は本当に目の前で芽依が自慰行為をしているのだとやっと頭で理解した。
「っ、ぁ」
「ん、、ふぅ、、ん、」
耳元で静かに深く息をする音が聞こえる。
トン、と芽依の額が鷹夜の肩に乗ると、他人の体温にゾワリと変な感覚がした。
「ふぅ、、はあ、、ふぅ」
首筋に当たる熱い吐息。
段々と視線の先からはぬちゅっぬちゅっと粘着質な音がし始めている。
「鷹夜」
「あ、」
名前を呼ばないでほしかった。
何かの糸が切れかかっていて、鷹夜は今それを保つのに必死だからだ。
「鷹夜、見て」
「み、てる、から」
赤黒い性器が何度も何度も手のひらで擦り上げられている。
他人の、それも男の自慰行為なんてものをAV以外で初めて目にしていた。
「はあ、、はあ、、ん、はあ」
息が上がっていくのがこんなにも近くで分かる事に緊張した。
そして何より、自分の股間が痛いくらいに勃起していて強く下着の布を押し上げているのがよく分かった。
「、、ッはあ、」
息をするのを忘れていた鷹夜が、熱い吐息を漏らす。
振り払えない熱が脚の間に集まって来てしまって、目の前で気持ち良くなっている芽依が少しだけ羨ましい。
(ヤバい、、したい、、オナニーしたい、こんなの見せられたら、)
我慢できなくなってきた。
鷹夜は甘えるように肩に置かれた芽依の頭に頬を擦り寄せる。
「ん、、はあ、、鷹夜?」
名前を呼ばないで欲しかった。
ブツン、と切れる音がしたものだから。
「芽依、キス」
「ん、」
ベロオッと舌が合わさって、すぐに芽依の舌が鷹夜の口の中に入った。
「ん、んふっ、んっ、、ふぅ、んっ」
それを合図にしたように、鷹夜はキスしたまま夢中で自分の下着をズラし、勃起した性器を外に出す。
(あ、ちんこ出した)
芽依は目をつぶって必死にキスに応える鷹夜を見つめてから、チラリと彼の手元に視線を落とし、下着から取り出された勃ち上がった性器を見つけて目を細めた。
「鷹夜、好きだ」
「ん、芽依、芽依っ」
「好きだよ」
自分にできる限りの優しく甘い声で鷹夜に愛を捧げる。
鷹夜は噛み付くようなキスに応えながら、自分のそれをゆっくりと扱き始めた。
「はあ、ンッ、、ふ、んっふっ」
「ん、、、ん、」
乾いた肌の擦れる音と、もう射精寸前のちゅこちゅこと水分が混じった音が部屋に響く。
2人分の吐息は苦しそうで、覚えたてみたいに荒々しくキスを重ねている。
「鷹夜、鷹夜ッ」
「芽依、い、イキそう?」
「っん、イク、、ごめ、んッ、」
「あっ」
目の前で他人が射精をしている。
それも、鷹夜の性器に精液を掛けながら、鷹夜にキスをしながら。
掴まれた右側の二の腕が痛かった。
彼は驚きつつもしっかりとその光景を見下ろして、ぴゅっぴゅっと最後まで出し終えるのを見届けた。
「ん、、ごめん、先、出しちゃった」
「ちょ、、か、かけんでよ、精液」
「だから、ごめんて、」
すり、と鼻先を擦ってくる芽依が可愛らしくて鷹夜は困った顔だけ返しておいた。
「鷹夜のそのままシコろ」
「え?あ、なにっ!、わっ!」
そして、芽依が自分でかけた精液を使ってそのまま鷹夜の性器を扱き始めた事に、鷹夜はまた死ぬ程驚いて固まってしまった。
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