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第139話「全部、君としたい」
自分だけ気持ち良いのが嫌だ、と言う彼の誠実さが堪らず、芽依はニコ、と優しく微笑んで彼を見下ろす。
「じゃあ素股していい?」
「ん、す、?でき、んの?」
「鷹夜くんの太ももの間に入れて擦るの。お尻触れないけどいい?」
「いい、はんっ、んっ、芽依とイキたッ、ん、、芽依と、イキたい」
鷹夜の返事を聞くと、ぬぼっ、と穴から指を引き抜き、今度は開いていた彼の脚をピタッと太ももをつけて閉じさせ、そのまま腹の方へ膝を曲げて倒す。
「芽依、、?」
「ぁあ〜〜」
綺麗に揃えさせた白い太ももの裏の下。
小さめの尻の間のそこが良く見える。
充分に解され、潤滑ゼリーでぐちゃぐちゃにされたその穴は、芽依に見られていると分かったのか、ヒクッヒクッと小さく動いていた。
(い、い、挿れたい〜〜〜!!けど我慢。今日は我慢。我慢!!)
下唇を噛んだ芽依が低く呻く。
「め、芽依??」
鷹夜は「ああ〜〜〜」と言いながら自分のボクサーパンツを下にズラそうとしている芽依を見上げて不審な目をした。
(挿れたかったのかな)
後ろの穴に芽依の性器を、と言うのは正直まだ無理だ。
我慢してくれているのだろうその姿が申し訳ないが面白くて、ふっと笑いが漏れる。
芽依はパンツをズラして、鷹夜に「凶悪」と言われた自らの性器を外に出した。
「鷹夜くん、膝抱えてられる?」
「ん、こう?」
「うん、ありがと」
鷹夜に自分の膝を抱えさせ、体育座りから後ろにひっくり返ったようなポーズを取らせた。
(可愛い。いつかマジで挿れる。絶対穴に挿れる)
誓うように心の中で繰り返しそう言って、潤滑ゼリーのボトルの蓋を開ける。
キュポッと言う音に、鷹夜の身体がビクッと驚いたように揺れた。
(ああ〜、何その反応〜!ボトル開けたらえっちなことされるって分かってるんだね〜〜!覚えちゃったんだね鷹夜くん〜〜!可愛い)
死ぬ程興奮した。
芽依は息を荒くしながら自分のそそり立った性器にゼリーを纏わせ、手のひらで温めたものは鷹夜の太ももに塗りつける。
それから彼の腹と太ももの間に手を差し込み、再び勃起した鷹夜の性器にも絡ませた。
「あ、んっ」
「挿れるよ」
「ん、、ん、何か変な感じすんな、あっ?」
ぐり、と自分の性器の裏筋が急に擦られ、鷹夜は思わず太ももを締め、情けない声を漏らした。
「ちょっ!と、鷹夜くん、急にはやめてよ、出ちゃうよ」
「だ、だって、あっ?こ、れぇっ!」
「ん?裏筋擦れて良くない?」
「んアッ、あっ、あっ、出る、無理ッ!」
「我慢して、一緒にイクんでしょ?鷹夜くん」
「あっあふっ、あんっあんっ」
芽依のそれが太ももの間を滑り、下にある鷹夜の性器と裏筋同士を擦り合わせている。
素股で性器同士が擦れると思っていなかったらしい鷹夜は弱いところを何度も何度も芽依のそれで抉るように撫でられ、目に涙が滲んだ。
(気持ちいいッ気持ちいいッ!)
下肢を劈く甘ったるい痺れが腰の奥にずくずくと溜まり、脳まで痺れさせていく。
「ぁあっあっ、ああっああっああっ」
堪らず、閉じれない口から嬌声が漏れた。
「ゼリー足していい?」
「あっい、だいじょぶ、あっ」
「ごめんね、一瞬だけ冷たいよ」
蓋を開けると、芽依は温めている余裕もなくとろんとした液体を鷹夜の脚の間に垂らす。
「ぅあっ、あっ、んっ、ハアッはあっ、あっ!」
「んっ、ぅっ、、んっ、可愛い。好きッ」
「だめ、あっ、イクッ、イキそう、芽依ッ」
鷹夜の腰を掴んで勢いよく太ももの間で自分のそれを擦り、わざと腰を浮かせて下方向に目掛けて押し込むと、鷹夜の性器の裏筋にゴリゴリと良く擦れた。
ぼろぼろと泣いて感じる彼を見つめながら、ギッギッとうるさくベッドの軋む音を、芽依は頭のどこかで聞いている。
(可愛い。穴に挿れたい、次はいいかな、ああ、気持ち良い。鷹夜くんの太もも、鷹夜くんのちんこ、全部気持ち良い)
「芽依ッ!芽依、ダメッ、イク、イクッ」
「いいよ。んっ、可愛い、ンッ、イクときの顔見せて。ちゃんと膝抱えてて」
「あ、あうっ、あっ、い、イクッ」
「ッハア、俺もイキそう、一緒にイケる?好きだよ、鷹夜くんッ」
「い、イク、ごめ、あ、」
「好き、だ、、鷹夜、あッ」
「い、い、いぃッ、んふッ、、〜〜ッ!!〜〜ッ!!!」
掠れ切った声が聞こえる。
ビクビクッと大きく鷹夜の腰が揺れ、自分の太ももに爪を立てながら、身体を震わせて2回目の射精をした。
太ももに力が入り、その締め付けが気持ち良くて芽依も何度か擦った後に彼の腹に射精する。
2人分の精液が、鷹夜のヘソの辺りでパタパタと混ざった。
「結婚したい?」
「え?」
ティッシュで身体を拭きはしたものの、2人ともベタついた嫌な感覚がして、結局もう一度シャワーを浴びた。
午前2時6分。
潤滑ゼリーは乾くのが早く変な匂いもしないため、シャワーを浴びながら少しいちゃついてベッドに戻ると、跡形もなくサラサラに乾いていた。
「子供とか、欲しいのかなーって」
お互いパンツだけ履いてベッドに潜り込み、抱きしめ合って眠ろうとした最中、芽依が口を開いてした質問はそんな内容だった。
おおかた、飲み会のときに言った鷹夜の「家庭のある友達が多くて会えない」と言う発言が気になっていたのだろう。
「お前こそどうなの」
今更不安になったのか、と鷹夜は少し呆れつつ、切なそうな顔をしている芽依の顎を掴んで聞き返した。
ただ単に情けない顔の「竹内メイ」が珍しくて良く拝んでおこうと顎を掴んだに過ぎず、深い意味はない。
キスをする予定もない。
ただ、キスしてもらえると思ったらしい芽依は目を閉じていた。
「あんま考えらんないし、結婚とか子供よりも鷹夜くんと確実に一緒にいられる方法が欲しい」
「それ、結婚じゃね?」
「だからあ、できないからあ、どうしようって思ってんのお。何でチューしてくれないの?」
「え?あ、ごめん」
する流れだったか?と思いつつ、顎を掴んだついでに軽くキスをした。
「んー、、俺も良いかなあ」
「何で」
「何でってお前が言うな。うざ」
ぺちんぺちん、と鷹夜は軽く芽依の右の頬を叩く。
布団の中で見つめ合って、2人はそんな会話を続けた。
「子供は?」
「しつこいなあお前」
「、、俺が産めたら良かったなあ」
「はー?」
家庭持ちの話しがやたらと響いたのか、珍しく項垂れた芽依は鷹夜に甘えている。
仕方なくぽんぽんと頭を撫でても、芽依の目からは何故か大粒の涙が溢れた。
「何で急に泣く」
「この先ずっと一緒にいれるか不安になってきた」
「何で」
「分かんない。いつか、結婚して子供作りたいって言って鷹夜くんがどっか行っちゃいそう」
「被害妄想〜」
「そんで俺は1人になって、泰清達にもその頃には奥さんと子供がいて、俺は、」
「やめなさい。うるさい」
バシンッ、と頬を叩かれ、痛みで辛辣だった芽依の表情が変わり、キッと鷹夜を睨みつける。
「ねえバイオレンス過ぎない!?俺今落ち込んでんの!」
そんな事を言っても、芽依が想像した数年後の世界では一体鷹夜は何歳だと言うのだろう。
それこそ、そんなときに芽依を捨てても子供はおろか結婚してくれる人すらきっと見つからないようなおっさんになってしまっている。
相手の女性だって妊娠出産には年齢的に浮かんできてしまうリスクもあるのだ。
そんな歳になって今更「結婚して子供を作りたい」なんて、きっと彼は言わない。
無責任過ぎる、とそんな考えすら起きないだろう。
ただそれをしないと言い切れても、確証と言うものを芽依には見せてやれない。
「確証もできないことで落ち込まれても困るんだって。俺だって嫌だよ、お前がもしかしたらいなくなるのも、若くて可愛い彼女できちゃったとか急に言われるかもしんねーのも、もしかしたら俺よりいいケツ見つけたとか言って若いツバメ連れて来られるのも!」
「そんなこと考えてんの!?」
「お前もな!?」
やはりお互いに被害妄想癖があるようだ。
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